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Ｊ2は今節から、当初の日程に東日本大震災による延期分が加わり、10月末までの約2週間に5試合を消化する連戦に突入する。各試合の準備期間が限られるため、悪い流れになると抜け出すのは簡単ではないだろうが、波に乗ることができれば、一気に勝点を伸ばすことも可能になる。鳥取、大分とも当然、まずは『初戦』で結果を残したいところだろう。
ホームの鳥取は、10月1日の第30節、アウェイでの湘南戦に1‐0で勝ち、6試合ぶりの勝利を、しかも12試合ぶりの無失点で飾った。さらに10日の天皇杯2回戦・熊本戦は3‐0で勝ち、公式戦2試合連続の完封勝利。6月19日に湘南を4‐0で下して以来、約4カ月ぶりとなるホームでの公式戦勝利をつかみ、良い流れを保ったまま大分を迎え撃つ。
7月から9月にかけては、先制された後に攻撃陣が奮起するものの、1点が奪えずに完封負けが続いた時期があり、その後は、先制した後に追加点を奪えず、追い付かれる展開が続いた。松田岳夫監督は選手やシステムを入れ替えながら、攻守両面のレベルアップを図ってきたが、そのバランスが少しずつ良くなってきたことが、2連勝という結果につながっている。松田監督は熊本戦の後に「（苦戦が続いている期間は）負けはしていたけど、中盤でポゼッションはできるようになっていたし、チームの向上している部分は、僕なりには感じていた。それが結果につながったことで、やってきたことは間違いではなかったと、選手も実感できるでしょう」とコメント。その言葉通り、練習での選手たちの表情は明るくなり、間違いなくチームの士気は高まっている。
一方の大分は、リーグ戦の最近4試合は3分1敗と失速していたが、天皇杯2回戦では徳島に1‐0で勝利。田坂和昭監督は、3‐4‐2‐1の3バックや2シャドーに新しい選手を起用して変化を促していたが、特に2シャドーの一角に永芳卓磨を起用したことは、攻撃陣の活性化につながっている。それまでは2列目からゴールを狙うアタッカータイプが併用されていたが、本来はボランチで、巧みな配球ができる永芳が入ることで、前線でタメができるようになり、後方の選手の追い越す動きなども活発に。最終ラインからも積極的に攻め上がってサイド攻撃に加わるなど、攻撃志向の強いチームだけに、攻めの幅が広がったことは好材料と言える。
勝敗を分けるポイントになりそうなのが、両サイドの攻防だ。サイドを幅広く使った攻めを狙ってくる大分に、鳥取がどう対応するか。事前の紅白戦では控え組を大分と同じ3‐4‐2‐1にして、前線からのプレッシャーのかけ方を確認している。まずは守備で主導権を握る戦いを目指す鳥取としては、そこがうまくはまれば、攻撃にも良い影響が出てくるだろう。逆に、3バックの左に本来ＦＷのイ ドンミョン、右に本来ＭＦの土岐田洸平を起用している大分は、2人が守備に追われるようだと苦しく、効果的に攻撃に参加することで相手を押し込み、自分たちのリズムで戦えるかどうかがカギになる。
ホームの大分が2‐1で勝った6月26日の対戦では、大分の2得点はいずれも、鳥取のバックパスのミスを突いたものだった。1失点目はハーフウェーライン付近でのバックパスを森島康仁が奪い、そのままドリブルで持ち込んでゴール。2失点目も同じような位置でのミスからＣＫを獲得し、三平和司の決勝点につなげた。松田監督が語るように、鳥取は中盤でのパスワークを攻撃の基盤としているが、まだまだ発展途上で、危険なエリアでのミスも多いだけに、そのあたりも勝敗を分ける要素となるかもしれない。
鳥取は公式戦2連勝中とはいえ、Ｊ2昇格後、リーグ戦では一度も連勝したことがなく、今回は『七度目の正直』を狙う。大分もアウェイでの勝利を、シーズン終盤の巻き返しにつなげたいはず。連戦のスタートダッシュに成功するのは、どちらだろうか？
以上
2011.10.14 Reported by 石倉利英
