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【第91回天皇杯 2回戦 鳥取 vs 熊本】レポート:序盤の先制点で勝機をたぐり寄せた鳥取が、熊本の反撃をしのいで効果的に加点。クラブ史上初の3回戦進出を果たす(11.10.11)

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10月10日(月) 第91回天皇杯 2回戦
鳥取 3 - 0 熊本 (13:00/とりスタ/3,125人)
得点者:8' ハメド(鳥取)、75' キム ソンミン(鳥取)、86' 吉野 智行(鳥取)
★第91回天皇杯特集
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プレビューでも記したように、9月18日のJ2第28節で対戦している両チームは、10月26日にもJ2第7節の延期分で対戦(@とりスタ)することになっており、この日はいわば『3連戦の第2戦』。9月の対戦で2−0と勝ち、現在J2で9位につけてJ1昇格の可能性を残す熊本の優位が予想されたが、終わってみれば、同19位の鳥取が会心の勝利を収めた。

試合は序盤から動いた。8分、鳥取の実信憲明が右サイドのスペースへ送ったミドルパスをハメドが受け、ドリブル突破を図る。オフサイドトラップの裏を突かれた格好になった熊本のディフェンスは、それでも福王忠世が戻って対応していたが、ペナルティーエリア内に入ったハメドは簡単にかわすと、ゴールライン際から左足でシュート。ほとんど角度はなかったが、この日が熊本加入後、公式戦初出場となるGK岩丸史也の股間を抜け、早くも均衡を破った。

その後は熊本も反撃に転じ、ロングボールを正確に処理する長沢駿のポストワークや、リスタートなどからゴールに迫った。しかし、高木琢也監督が「たとえるなら、良い波を見つけて、良い波に乗りかけている中で、その波に最後まで乗れなかった。そういう試合だったと思います」と振り返ったように、良い形は作るものの、鳥取の守備網を破ることができない。
熊本はビルドアップの際、エジミウソンがディフェンスラインに下がって配球役となり、センターバックが左右に開いて、両サイドバックが高い位置に張り出す。これまで鳥取は、こうした相手に対しては4‐3‐3で臨み、3トップが組み立てを担う3人にプレッシャーをかけることで、主導権を握る戦いを目指してきた。この日も同様の形を狙ったが、うまくプレッシャーをかけることができず、簡単に自陣まで入り込まれ、対応が後手に回るシーンが頻発。熊本としては、その混乱を突くことができればよかったが、最終局面のプレーがかみ合わず、ゴールにつなげることができなかった。

1‐0で折り返した後半、熊本は最初から動いた。筑城和人に代えてソン・イニョンを投入し、長沢との2トップに変更。原田拓を左サイドバックに下げ、4‐3‐3から、中盤をダイヤモンド型にした4‐4‐2にしてゴールを目指した。鳥取も前半残りわずかの時点で、服部年宏が1人で務めていた中盤の守備的な位置に三浦旭人を下げ、ドイスボランチにシフトしていたが、高さのある2人が前線に並んだ熊本の迫力ある攻めに押される格好で、苦しい展開を強いられる。
高木監督が「波に乗るためには点を取るしかなかったと思うので、一つでも入っていれば、ひょっとしたら展開も変わっていたかもしれない」と振り返ったように、交代策とシステム変更が奏功していた、この時間帯に追い付いていれば、流れは熊本に傾いていただろう。しかし、49分に原田がゴール前に送った直接FKのこぼれ球を、菅沼駿哉が至近距離から狙ったシュートは、鳥取のGK小針清允の好セーブに遭う。直後の50分には右CKをファーサイドへ送り、福王が折り返したところに、エジミウソンがフリーで飛び込んでヘッドで狙ったが、クロスバーの上へ。前半以上の決定機を作ったものの、生かすことができなかった。

その後も熊本が前線の高さを生かした攻めでゴールに迫る一方、鳥取は熊本のミスに乗じて追加点のチャンスを迎えるが、こちらも決めることができない。しかし、1点差のままで迎えた75分、鳥取が、ようやく熊本のミスを突いて追加点を奪う。カウンターからのハメドのシュートはDFに当たって決まらなかったが、キャッチしたGK岩丸がスローイングでフィードしたボールが短くなったところを、キム・ソンミンが左サイド寄り、ゴールから約40メートルの地点でカット。ドリブルで中央に進んだキム・ソンミンからのパスを受けたハメドが、ペナルティーエリア内にスルーパスを送ると、ギャップができていた熊本のディフェンスラインをしり目に、キム・ソンミンはフリーで抜け出し、GK岩丸をかわして無人のゴールに流し込んだ。
これで一気に動きが落ちた熊本に対し、鳥取は自在にパスを回しながら時間を使うとともに、カウンターで追加点を狙う。86分には加藤秀典のロングパスをハメドが左サイドで受け、センタリング。2点目の直後にキム・ソンミンに代わって出場し、中盤のリズムを巧みにコントロールしていた吉野智行が、自らダメを押す鮮やかなダイビングヘッドで3点目を決めた。

鳥取は前身のSC鳥取時代も含めて、クラブ史上初の天皇杯3回戦進出。ホームでの公式戦では6月19日以来、約4カ月ぶりとなる勝利を収めた。松田岳夫監督が「耐えながら勝利を得た、ということで、ゲーム運び全体が評価できるものだったと思います」と振り返ったように、苦しい状況で粘りを発揮した戦いぶりは、東日本大震災による中断明けから6月頃まで、J2初挑戦ながらも奮闘していた時期を思い出させるもの。リーグ戦の今季残り10試合に向けてはもちろんだが、天皇杯3回戦(11/16@アウスタ)でJ1の清水への挑戦権を得たことで、将来を見据えたクラブの成長にとっても大きな意味を持つ勝利となった。
逆に、熊本にとっては失意の敗戦となったが、片山奨典は「まずは次の愛媛戦(J2リーグ戦 10/16@ニンスタ)。気持ちを切り替えて、良い結果を出したい」と語り、残り10試合のリーグ戦に目を向けた。J1昇格という重圧の中で結果を求めていくことは、鳥取が清水と戦うことと同様か、それ以上に、クラブの成長を促すものになるはず。残り10試合のうちの一つ、10月26日の鳥取との『第3戦』は、今回の雪辱を期すという意味でも、負けられない戦いとなる。
 
以上


2011.10.11 Reported by 石倉利英
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