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【第91回天皇杯 2回戦 岐阜 vs 北九州】レポート:北九州の素晴らしい修正力が光った試合。岐阜は後半勝負のスタイルの修正を。(11.10.11)

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10月10日(月) 第91回天皇杯 2回戦
岐阜 0 - 1 北九州 (13:00/長良川/2,062人)
得点者:6' 池元 友樹(北九州)
★第91回天皇杯特集
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「前半はウチがマイナスで、後半は共にゼロ。これで前半と後半を足したら、マイナスにしかならない」。
このFW西川優大の言葉が、1-0というスコアの内実を的確に表していた。このスコアは、前半と後半を通してみると、まさに必然のスコアであった。

前半、北九州は立ち上がりから、桑原裕義をアンカーに据え、左の森村昂太、トップ下の安田晃大、右の木村祐志がフレキシブルに動きながらボールを繋ぎ、岐阜のバイタルエリアを果敢に突いた。これは完全に北九州の狙い通りのサッカーであった。
「前の試合で、岐阜はウチに対して、前線から果敢にプレスに来た。それに対し、うちは後ろの方でボールポゼッションをしてしまい、深い位置で奪われて失点をしてしまった。なので、今日は前でボールを回そうとした」と安田が語ったように、ボールを奪うと、すぐにDFラインからでも前線の4人に当てて、そこから全体のビルドアップを仕掛け、バイタルエリアでポゼッションをした。

完全に面を食らった形となった岐阜は、DFラインがズルズルと下がりだし、ボールホルダーに対してプレスがうまくかからず、池元友樹と大島康明の2トップも簡単に前を向いてプレーできるスペースを与えてしまった。
開始6分で右CKからの混戦を池元に詰められ、先制点を献上してからは、さらに北九州ペースで試合は進んだ。前半のシュート本数が岐阜が3本に対し、北九州が10本という数字が示す通り、岐阜は終始押し込まれ、カウンターを繰り出しても、単発で終わってしまう状況だった。

後半、岐阜もようやく修正を施す。調子の上がらないFW佐藤洸一に代え、西川を投入。西川が前線と2列目を動き回り、右MF嶋田正吾と左MF押谷祐樹をより中央にダイアゴナルで仕掛けられる環境を作り出すと、前半は低い位置にいたボランチの橋本卓もバイタルエリアに侵入できるようになり、ようやくテンポの良い攻撃を仕掛けることが出来た。

だが、ゴールが遠かった。66分に橋本の浮き球のスルーパスに嶋田が抜け出すが、放ったシュートはサイドネット。68分には途中出場のMF染矢一樹のスルーパスに再び嶋田が抜け出す。するとこれを北九州のDF冨士祐樹が引っ張って倒し、一発レッドで退場。一人優位な立場に立った。そして、これで得たFKから再び嶋田がGKと1対1になるが、放ったシュートはGK佐藤優也のファインブロックに阻まれた。

岐阜はこのチャンスを立て続けに逃したことが後を引いた。そこからは守備を固めた北九州の堅守を打ち破ることが出来ず、そのままタイムアップ。一人優位な状況も生かし切れず、岐阜の天皇杯は2回戦で終了した。
「この試合に向けていい準備が出来ていたと思っていましたが、セットプレーに注意しろと言っていたのに、セットプレーから失点をしてしまい、これがダメージになって、そのあとのゲームはうまくいかなかった。ベンチからももっとシンプルにボールを動かして、前線に繋げるように言っていたのに、暑さもあるのか、ピッチ上にリーダーがいなかったのか、チームとして力がないと思わせる前半でした」。

試合後の記者会見で木村孝洋監督が語ったように、前半はマイナスの出来だった。結局そのマイナスを最後まで埋められず、敗退の時を迎えることになった。今後、岐阜がリーグ戦において勝点を掴むためには何が必要か。それは前半をマイナスにしないこと。実に答えはシンプルで、後半に巻き返せばいいという考えは捨てるべきだ。ここのところの岐阜の戦い方は、前半は耐え凌いで、後半勝負というパターンが多いが、それで前半をマイナスにしてしまっては本末転倒。ならば後半勝負ではなく、前半から勝負の姿勢を持ち、前半が凌ぐ形となったら後半勝負でいい。
「プレスを掛ければ取れていたと思う。前半はどこか全体的に引き気味で、前に行くのが遅いから、相手に自由につながれてしまった。後半のサッカーを前半からできるようにしないといけない」。
西川の言葉通り、前半、北九州が付け入る隙は充分にあった。相手が岐阜のサッカーを警戒して、立ち上がりから前に仕掛けてくれたことを見れば、それは分かるだろう。しかし、それをしなかった。出来なかったのではなく、このチームは出来るだけの力を持っている。だからこそもったいない。今週末には、すぐにホームの横浜FC戦が待っている。それまでに意識改革も含めて急ピッチで進めてほしいと切に願う。

反対に勝利した北九州は、前の試合をうまく教訓に生かす修正力に長けた好チームだった。北九州の試合は、この試合で今季初めて生観戦をしたが、このチームが昨年の低迷が嘘のように躍進を遂げている理由が、十分にうなずける一戦だった。

以上

2011.10.11 Reported by 安藤隆人
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