本文へ移動

今日の試合速報

夏休みはJリーグに遊びに行こう! 全国で180,000名様ご招待!
夏休みはJリーグに遊びに行こう! 全国で180,000名様ご招待!

J’s GOALニュース

一覧へ

【第91回天皇杯 2回戦 甲府 vs 町田】プレビュー:J1残留、J2昇格という大きな目標を持つチーム同士の対決。守るつもりのないJFL・町田をJ1甲府はどう迎え撃つのか(11.10.07)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
10月8日(土)第91回天皇杯 2回戦 甲府 vs 町田(15:00KICK OFF/中銀スタ)
-試合速報はこちら-
★第91回天皇杯特集
----------
「タクシーが必要か?」
11対11のゲーム形式のトレーニングでサイドハーフの酒井良の戻りが遅れたときにランコ・ポポヴィッチ監督が掛けた言葉。語気の強いセルビア語でまくし立てているときは何のことか分からないが、通訳兼コーチの塚田貴志が日本語にして伝えるとちょっと笑ってしまう。津田和樹は「最初は抵抗する選手もいたんですが、言い返すとそれ以上の言葉が来ますから(笑)。積極的なプレーからのミスだと怒らないが、怒るときはやるべきことをやらなかったとき。目先の結果にこだわり過ぎない指導者と一緒にサッカーを出来ることは幸せ」と、選手はポポヴィッチスタイルを信頼して受け入れている。甲府戦についても「守るサッカーはしない」、「リアクションのサッカーをやると自分たちの良さを出せない」と正面から戦うつもりであることをどの選手も言う。

町田市の人口は約42万人で政令指定都市ではないが、山梨県のほぼ半分で甲府市の2倍強。F東京と東京Vは「東京」をチーム名に入れているが、ゼルビアは「町田」にこだわり、ホームタウンのコアがどこなのかが明確。もちろん、広く都民に応援してもらいたいと思っているがそれはこれからの話で、まずは町田市民に応援して欲しい。行政区域は「東京」だが、気持ちは「東京(の一部)」ではない「町田」。もちろん、神奈川県「町田市」でもない。あえて言うなら少年サッカーの街・町田。甲府で現役を終えた林健太郎もFC町田の出身。甲府に在籍したこともある津田和樹は「生まれ育った街(町田)にJクラブが出来れば、子供たちの目標にもなるし帰ってくる場所にもなる。その場所作りを自分たちの力で出来る状況にあることが嬉しいし励みになる」と話す。FC町田ゼルビアの守屋実代表は「このチームを町田の人が必要とするか。町田のシンボルになれるか。『ゼルビアがあって良かった』と思われる活動を行ってきた。少しずつ価値を上げていく作業に時間がかかったが、町田の少年のお手本になるサッカーをするチームになりたい」と話すが、昨年は例えようのないショックを受けた。

覚えている人は少ないかもしれない。甲府もクラブ消滅の危機から立ち上がってきたが、町田ゼルビアも昨年大きな危機を迎えた。JFLでJ2昇格圏内の4位にいて、施設面などの課題も条件付きながら満たしていると判断されると思われていたが、9月5日・天皇杯2回戦(対東京V)の数日前に基準を満たさず昇格を断念することが選手に伝えられた。フロント、選手、サポーターは言葉に出来ないほどのショックを受けた。酒井は「このままモチベーションをなくして4位以内に入れずに終われば『結局駄目だった』といわれてしまう。『チームはJリーグに上がる実力があるところを見せよう』という気持ちで戦った」という。まずは天皇杯2回戦で東京Vを倒し、リーグ戦は3位で終えた。この頑張りは凄まじかったと思う。サポーターもその姿を見てより応援する気持ちが強くなった。1年で監督が替わった今年は現在JFL・5位で4位以内の可能性は充分。勝ちきれない試合があるが、内容では圧倒することが多い。Jリーグ入会申込書を提出し、結果を待つ身であることは今年も同じだが、今年は吉報が届くことを外野ながら願っている。

迎え撃つ甲府は天皇杯の初戦はいつも苦労する。これにはサポーターも慣れている。町田がJFLで4位以内に絶対に入らなければいけないのと同じく、甲府はJ1で15位以上に絶対に入って残留したい。この状況で戦うカップ戦は難しいが、甲府は次節のアウェイC大阪戦でダニエルと内山俊彦が出場停止のため、これを想定した先発になる可能性が高い。そして、期待するのは新たにチャンスを貰う選手のプレー。内田智也、堀米勇輝、加部未蘭らがトレーニングマッチで質の高いプレーを見せているので出場すれば見所になる。そして、川崎F戦で効果的なプレーが出来なかったダヴィが日本代表選出で出場できないハーフナー マイクに替わってどれだけ軸となるプレーが出来るかどうかも注目点。ダヴィにとって、信頼を勝ち取って残り少ないシーズンに出場のチャンスを増やすことが出来るかどうかのテストでもある。佐久間悟監督は「ダヴィには良くなって欲しい。川崎F戦後には『期待に応えられずに悔しい』という話をしていた。コンディションが充分ではないが、練習はしっかりやっている。今後、マイクとパウリーニョが出場停止になる可能性があるが、そのときは前線で大きさかスピードのある選手でアドバンテージを取らないと苦しい。ここでやれなければ(コンディションを上げるために)別メニューにするなど考える必要がある」と難しい判断だったことを匂わす。ダヴィに結果を出して欲しい気持ちと同時に、加部を見てみたいという思いもあって結構複雑。展開次第では加部のデビューもありうるので楽しみにしたい。

「JFLを代表して甲府と戦う」というポポヴィッチ監督率いる町田は、縦パスが入ると攻撃のスイッチが入る。甲府はこのパスからの展開を狙えればショートカウンターを仕掛けるチャンスも増えるが、町田の精度と甲府の精度の対決。普通に考えればJ1の方が精度は高いはずだが、町田のモチベーションが高く、甲府が受けたり自分勝手なプレーをしたりする選手が出てしまえば分からなくなる。J1残留に向けてレギュラーはいつも通りやることをやり、チャンスを貰った選手がアピールして勝ちたいが、そうならない難しさがあるのが下剋上の天皇杯。それに、スタジアムもゴール裏もいつもと違う雰囲気。ポポヴィッチ監督は基本的にはスカウティングビデオを選手に見せないそうだが理由は、「甲府の選手のいいところはいくつでも挙げることが出来る。しかし、相手のことを考えすぎると自分たちがやりたいことが薄くなってしまう。自分たちがどうするのかを優先したい。そして、サポーターに喜んでもらえる試合をしたい。結果だけでなく、やるべきことをやる姿勢を見せたい」と現状ではアクションに重点を置いたほうがチームが成長すると考えている。こういうチームと戦うことが出来ることは幸運。戦いやすいという意味でなく、甲府のサポーターもリアクションよりもアクションの方が好きだから。お互いにJ1残留、J2昇格という目標があるが、この目標を達成する流れに勢いをつけるような内容で決着をつけよう。

以上

2011.10.07 Reported by 松尾潤
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/07/29(月) 00:00 ハイライト:岐阜vs鳥取【明治安田J3 第23節】