本文へ移動

今日の試合速報

夏休みはJリーグに遊びに行こう! 全国で180,000名様ご招待!
夏休みはJリーグに遊びに行こう! 全国で180,000名様ご招待!

J’s GOALニュース

一覧へ

【第91回天皇杯 2回戦 山形 vs B秋田】プレビュー:出羽の覇権と、それぞれの「生き残り」を懸けた一戦。J1山形が、1回戦で13得点を挙げたJFL・B秋田と対戦!(11.10.07)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
10月8日(土)第91回天皇杯 2回戦 山形 vs B秋田(13:00KICK OFF/NDスタ)
-試合速報はこちら-
★第91回天皇杯特集
----------
昨年2回戦に続いて、約1年ぶりの再戦となる。前回のスコアは3-0で山形が勝ち上がったが、コーナーキックから増田誓志(現鹿島)の先制点が生まれるまで、キックオフから32分を要した。山形の攻撃を耐えたブラウブリッツ秋田(以下B秋田)は、20分頃から今井大悟の展開力を中心に押し込む展開を続け、先制点の行方は違っていたかもしれなかった。さらに、山形はリードを手にしてからもシュートに持ち込む形がなかなかつくれず、小林伸二監督も「あまりいい入りができず、3点入ってよかったなあというところ」と内容に不満を残した。

そして今回の対戦を語るうえで忘れてならないのが、東日本大震災による中断期間中の4月17日にNDスタで行われた両チームのトレーニングゲーム。山形にとってはリーグ戦再開1週間前、最終調整として組まれたゲームだったが、そこで2度のリードを守れず、試合終了直前には自陣でのミスから逆転を許している。さらに控え組で行われた第2試合も0-2と敗れ、大きな不安とともにリーグ再開を迎えることとなった。リーグ戦が再開されても自陣でのミスが収まらなかった山形は、守備を安定させるため、5月に入るとそれまでの4-3-3からボランチを2枚置く4-4-2にシステムを変更。B秋田は今季から4-1-4-1に近い4-3-3で戦っているため、奇しくも昨年とはシステムを入れ替えた形での対戦となる。

B秋田戦ののち、湘南、川崎Fを破り、ベスト8で昨シーズンを締めくくった山形だったが、今季リーグ戦では17位に低迷し、残留争いで土俵際に立たされている。それだけに、天皇杯が与える影響は小さくない。勝って3回戦進出は最低条件。そのうえで、上位の柏、G大阪と対戦が続く10月のリーグ戦に弾みをつける収穫も手にしたい。ヤマザキナビスコカップもすでに敗退しているため、1週間間隔で天皇杯と続くリーグ戦に準備できる日程も悪くない。前節・磐田戦では出場停止だった山崎雅人や、磐田戦でゴールを決めた伊東俊もポジションを左サイドに移して先発出場しそうだ。磐田戦から数人の入れ替えが予定されているが、それをターンオーバーと呼べないほどに、今シーズンは主力組と控え組の差が小さく保たれている。そしてチャンスをつかんだ選手にとっても、ここは格好のアピールの場。昨年の天皇杯と今年のトレーニングゲームの両試合に出場した山田拓巳は、「今年も練習試合をやって負けているし、全然弱いチームと思ってない」と話す。勢いに圧される時間帯があったとしても、相手を格下と見てやるべきプレーを怠る緩みはないだろう。

天皇杯1回戦、B秋田が山形大医学部を相手にした13-0のスコアには、少なからぬインパクトがあった。エース・松田正俊の5得点をはじめ、比嘉厚平、今井大悟も2得点ずつ。実力差は明らかだった。勝つことのみでよしとするなら手を緩めてもよかったはずだが、最後の最後まで得点を狙い、取り続けたところに、彼らのこの大会に懸ける思いの強さと意識の高さが見て取れる。秋田にとっても、天皇杯は勝たねばならない大会だ。

JFL初参戦は06年。北東北初のJリーグ入りを達成すべく、昨年からはブラウブリッツ秋田として再スタートを切ったが、2年目の今季はここまで7勝4分11敗の13位と勝ちきれず、最近のホームゲームでの観客動員は1000人に達していない。加えて、秋田にはバスケットボール・bjリーグ「秋田ノーザンハピネッツ」や、ラグビー「秋田ノーザンブレッツR.F.C.」など集客やスポンサー獲得で競合するスポーツチームが立ち上げられているという事情もある。

昨年の対戦を終えたあと、横山博敏監督は「隣県同士でもありますし、私たちがこれからJリーグをめざすためには、少しでも秋田を盛り上げるために勝ちたかったというのはある」と率直な心境を明かしたが、なでしこジャパンがワールドカップやオリンピックで結果を残すことで国内のなでしこリーグへの注目を集めようとしたのと同じように、B秋田にとっても起爆剤が必要だ。B秋田の選手を主力に構成されている山口国体の成年男子チームは、15日の決勝で鹿児島県チームに敗れたものの2年連続の準優勝。弾みをつけ、次なる獲物を仕留めようと虎視眈々と狙っているはずだ。今週は国体メンバーと別々の調整を強いられ、負傷離脱中の比嘉の復帰も間に合わないが、昨年の中1日での対戦を思えば、条件はさほど厳しくはない。ハングリーさは大きな武器になる。

B秋田の得点力は、JFL得点ランク2位の松田に負うところが大きい。サイドからのクロスに対しては中央で構えるが、決定力が高いからこそ潰れ役としても大きな効果を上げている。その松田はポストプレーもこなすため長いボールも有効だが、一辺倒にならず、アンカー・三好洋央を中心に畑田真輝、川田和宏がつないでゲームをつくっている。それに対して、山形の守備は中央を通されないことがまず第一。松田に強く行くことと、スペースへの飛び出しにしっかり付くこと、クロスに対してマークを外さないことなど、基本的なことを着実にこなしたい。逆に山形に攻撃が移った場合は、相手が1トップ気味のため、ディフェンスラインではボールを落ち着かせやすい状況だ。そこからサイドバックを起点にすることが多いが、バイタルへのくさびと裏へのボールを状況に応じて使いたい。B秋田は守備の組織をコンパクトにするのは絶対条件で、特に守備への切り替えの早さが求められる。

「B秋田にはボールを持てる選手もいる」。山形のFW長谷川悠にとっても、今年春の苦い経験は記憶に新しい。相手の戦い方も気になるが、「でもとにかく、自分たちの形をうまくやっていかないといけない」と、まずは己との戦いであることを強調する。その先にあるそれぞれの「生き残り」を懸けて、ふたつの魂がぶつかり合う。

以上

2011.10.07 Reported by 佐藤円
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/07/29(月) 00:00 ハイライト:岐阜vs鳥取【明治安田J3 第23節】