10月8日（土）第91回天皇杯 2回戦 福岡 vs 高知大（15:00KICK OFF/福山）
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★第91回天皇杯特集
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1921年11月26、27日に４チームの参加（最終的に１チームは棄権）で始まった全日本選手権大会（当時は、ア式蹴球全国優勝競技会と呼ばれた）は、その後、変遷を繰り返して拡大してきた。優勝チームに天皇杯が授与される現在の形になったのは、第31回大会（1951年度）から。第52回大会（1972年度）では、地域大会を実施することによる「オープン化」が行われ、第76回大会（1996年度）では第２種加盟チームへの門戸開放を行うとともに、出場チームを全国９ブロック代表から、各都道府県大会優勝チームへと拡大。天皇杯全日本サッカー選手権は「日本最大・最古の大会」という名にふさわしい大会へと発展を遂げてきた。そして迎えた第91回大会。その２回戦が、10月８、10、12日の日程で全国32会場で行われる。

２回戦32試合のうち26会場で、各都道府県代表同士の１回戦を勝ち抜いてきたチームがＪリーグ勢と対戦する。技術、戦術等々、様々な面でＪリーグ勢の力が都道府県代表を上回っているのは当然のこと。しかし、サッカーは必ずしも実力で勝る者が勝つとは限らない。「サッカーは何でもアリ」「これがサッカー」「サッカーの神様が決めたこと」等々、サッカーに関わる者なら、一度や二度は耳にしたことがあるように、何が起こるか分からないのがサッカーだ。まして、それが一発勝負のトーナメント戦ならなおのこと。いわゆるジャイアントキリングを目指して、各都道府県代表はすべての力を合わせてＪリーグ勢にぶつかっていく。そして、福山市竹ヶ端運動公園陸上競技場では、高知大学（高知県代表）がアビスパ福岡に挑む。

高知大学は言わずと知れた高知の雄。過去、約30年近くに渡って県内のタイトルをほぼ独占してきた。天皇杯への出場は９年連続16度目の出場。１回戦で三洋電機徳島を４−０で下して福岡への挑戦権を得た。しかし、過去の大会では全国大会の厚い壁が破れずに、86回大会（2006年度）の３回戦進出が最高。Ｊリーグ勢とは３回対戦しているが、勝利どころか、得点さえ挙げられていない。それだけに「今大会こそは」の思いは強いはずだ。高知大は敗れる心配をする必要はない。ただアグレッシブに、ただ勝利だけを目指して、福岡にぶつかっていくことだけを考えればいい。そして、押し込まれても、ピンチになっても、運動量を落とさずに、しつこく、しつこく喰いついていくこと。そこに勝利への鍵がある。

そして迎え撃つ福岡は、わずかばかりの手加減も見せるつもりは全くない。Ｊリーグで厳しい戦いが続く福岡にとって、目の前の戦いを、ひとつずつ勝ち抜いていくことが自分たちの立場を変える唯一の手段。そのために目の前の試合で全てを出し切り、１戦必勝の態度で戦うという姿勢は天皇杯においても変わらない。昨シーズン、ハードスケジュールの中、Ｊリーグと並行して天皇杯を勝ち抜くことでチームの勢いを得たことからも分かるように、Ｊリーグと天皇杯はチームのメンタル面と密接な関係を持つ。どんな試合であろうと、どんな相手であろうと、手を緩めることなく、驕ることなく、ただ自分たちの力の全てを発揮して勝ち続けることで、チームは自信と勢いを手に入れ、その結果、福岡に今まで見えていなかったものが見えてくる。

両チームにとって変わらない条件は、負ければ終わりということ。技術・戦術は勝敗を分ける大きな要因であることに間違いないが、ギリギリの勝負になればなるほど、球際での戦いや、ゴール前での攻防など、ギリギリのところで90分間戦い続けられるか否かの重要性が増す。それはサッカーの基本とも言える部分。そして、浅野哲也監督（福岡）が選手たちに求め続けている部分でもある。

高知大は、挑戦者らしく、最後まで諦めずに粘り強く戦い、チャンスにはアグレッシブに仕掛けるられるか。そして福岡は、相手の勢いを受けるのではなく、あくまでも主体的に自分たちのサッカーを表現し、今ある全ての力を発揮して挑戦者をねじ伏せられるか。そこが勝負のポイントになる。いずれにせよ、互いが力を出し切った好ゲームを期待したい。

以上

2011.10.07 Reported by 中倉一志