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【J2:第30節 横浜FC vs 札幌】レポート:これが昇格への勢い。結果を出す力と執念で上回った札幌が、横浜FCを土壇場で振り切る(11.10.03)

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10月2日(日) 2011 J2リーグ戦 第30節
横浜FC 1 - 2 札幌 (16:03/国立/16,813人)
得点者:59' 内村圭宏(札幌)、78' 野崎陽介(横浜FC)、88' 上原慎也(札幌)
スカパー!再放送 Ch182 10/4(火)前04:00〜
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試合後、この試合に敗れた横浜FCの藤田優人が「(内容的には)勝ち試合だった」、勝利した札幌の河合竜二が「負け試合だったかもしれない」と振り返った。ゲームプランに従って、狙い通りのサッカーを続けた時間が多かったのは横浜FCだったが、これぞ昇格への勢いと言うべきか、要所での勝負強さで上回った札幌が、その内容の差をものともしなかった。

横浜FC・岸野靖之監督と札幌・石崎信弘監督の対決だけに、激しいプレッシングの応酬となることも予想されたが、前半はその予想に反してお互いにパスをつなぐ展開に。河合が「前半は取りどころがなくて、前からはめようとしても取れなくて後手に回った」と振り返るように、出場停止の高地系治の代わりにボランチに入ったカイオが中盤でボールを引き出しながら配球する役割を高いレベルでこなすと、横浜FCがゲームを支配する展開となる。特に高いラインを設定しコンパクトな陣形を維持することで、ジオゴと周囲の連係も寸断した。
しかし、16分の三浦知良のヘディングシュート、22分の野崎陽介のミドルシュート、そして31分の難波宏明のフリーでのシュートと、決定機を繰り返し迎えるが決めることができない。札幌も、前半の途中からは左右の幅を持たせた攻撃で横浜FCの陣形に穴を作り、30分、39分とシュートチャンスを迎えるが、シュートはこの2本だけ。「前半の良い時間のうちに決めないといけない」と藤田優は悔しがったが、前半優勢に進めた横浜FCがその優位を生かせないまま、ハーフタイムを迎えることになる。

そして、横浜FCのパスワークに対する守備を修正すべく、札幌は4-5-1から3-5-2とフォーメーションを変更。さらに、ビルドアップに難がある横浜FCのDFラインに対する前線での圧力を高めることで主導権を狙う。前半の勢いをそのまま維持したい横浜FCと、前からの守備を強化する札幌がお互いに前向きに体重を掛ける展開となる。
そして、横浜FCがゴールを決めるべく、交代のフランサを準備している目の前で、先制点は札幌にもたらされる。59分、左サイドの密集から野崎がバックパスをすると、そのパスがジオゴに渡ってしまう。ジオゴから内村圭宏にパスが易々と渡ると左足でゴールゲット。札幌が一瞬の隙を見逃さずに先制を決める。それでも横浜FCも、フランサの前線でのキープを生かしながら、攻撃をさらに加速させる。そして、そのプッシュが実り、78分に荒堀謙次からパスを受けた野崎が鋭い反転から抜け出しミスの穴埋めをするゴールを決めて同点とする。

緊迫感が増す終盤の展開の中、石崎監督は高さのある上原慎也を投入。そして、後半強さを増したフォアチェックが、この試合の勝負を決めることになる。
86分、横浜FCがセンターバックでパス交換した際に、砂川誠が朴台洪にプレッシャーを掛ける。苦し紛れに出した縦パスをカットした札幌の攻め上がりを、森本良が倒してFKに。FKは関憲太郎が一度は弾くが、その次のCKで砂川が蹴ったコーナーキックを上原が高い打点で決めて、土壇場で勝ち越した。石崎采配が、横浜FCの弱点をうまくこじ開けることに成功。国立競技場のアウェイ席を札幌サポーターが埋め尽くす、その勢いをピッチ上にも感じさせる勝負強さを見せた。

横浜FCに欠けていたのは、自らペースを作り出していた時間に勝利を呼び寄せるゴールを決める執念。そして、勝負どころをかぎ分ける経験だろう。特に経験不足により、内容が良くても勝点に結びつけられないことが現在の横浜FCにとって大きな課題。けが人と出場停止が重なる中、経験の少ないルーキーを多く起用せざるを得ない状況で、経験不足からのミスで勝点を失うゲームが少なくない。この日のカイオのボランチ起用も、経験の足りないセンターバックのビルドアップを助けることが大きな理由だった。内容は札幌を上回る部分が多かっただけに、勝利という成功体験を付けながら、若いチームの経験を増やしていきたいところ。横浜FCの将来のためにも、我慢の舵取りが必要となる段階だ。

札幌は、フォーメーション変更、途中出場選手のゴールなど、打つ手がことごとく機能しての勝利。昇格争いに向けて、さらに勢いを付けることとなった。ただ、打つ手が当たるというのは、チームとして様々な場面への対応能力がある証拠であり、単なる勢いとも異なるものだ。
しかし、石崎監督が「入り方、前半の戦いは許せない」と強い言葉で振り返ったように、佳境となる残り10試合に向けて反省点も多い試合だった。内容で負けている試合を勝利に結びつけられるのは強いチームの条件だが、このような試合を続けると苦しくなる。次に向けた修正がより重要となるだろう。

オフィシャルクラブスポンサーの「TOMAS SPECIAL MATCH」として開催され、この塾生など日本の将来を担う子どもたちも多く駆けつけ、16,813人が観戦したこの試合。緊張感のある内容は、観戦する価値があったことは間違いない。残りの10試合、この緊張感と勝負に対する執念を見せる試合を期待したい。

以上


2011.10.03 Reported by 松尾真一郎
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