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【J1:第28節 清水 vs 名古屋】レポート:目指すサッカーを見事に体現した清水が、90分間名古屋を圧倒。チームの未来につながる大きな1勝をつかむ(11.10.03)

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10月2日(日) 2011 J1リーグ戦 第28節
清水 2 - 0 名古屋 (15:04/アウスタ/20,181人)
得点者:73' 大前元紀(清水)、84' アレックス(清水)
スカパー!再放送 Ch181 10/5(水)前06:30〜
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痛快、爽快、最高、至福、溜飲が下がった……試合が終わった瞬間の気持ちを、清水サポーターはどんな言葉で表現するだろうか?
ついそんなことを考えてしまうほど、清水にとっては気持ちの良い完勝劇だった。フレドリック・ユングベリと小野伸二が初めてトップ下に並び立った試合で、清水の選手たちは日頃から取材している清水担当の報道関係者たちさえも驚くほどの素晴らしいサッカーを見せ、90分間名古屋を圧倒。昨年のリベンジという意味だけでなく、自分たちの未来に向けても、本当に価値のある1勝を自力でつかみ取った。

ユングベリと小野が揃って先発することは、守備や運動量の面では多少のリスクもあった。自分たちがボールを支配できている場合は問題ないが、逆に主導権を握られて攻め込まれた場合には、守備に追われる時間が多くなり、体力的に消耗して、攻撃でも彼らの良さが出にくくなってしまう。しかし、この試合に関しては、その心配は無用だった。なぜなら90分間、相手に主導権を渡すことがほとんどなかったからだ。
そうした試合運びは、ゴトビ監督が目指しているものでもあり、それが初めて満足いく形でやり通せた試合でもある。それが可能になった理由は、大きくいって3つある。

1つは、ユングベリと小野の2人にカルフィン・ヨン ア ピンを加えた中盤のトライアングルがイージーにボールを失うことがほとんどなく、確実にボールを前に運んだことだ。それによってチームにリズムが生まれ、カウンターのリスクも減って全体を押し上げやすくなり、ポゼッションする時間は当然のように増えた。
2つめは、名古屋のロングボールや縦パスに守備陣がしっかりと競り勝ち、セカンドボールもほぼ支配したこと。だからこそ、DFラインを高く保つことができ、攻撃陣があまり下がらなくても全体のバランスとコンパクトさを保ち、高い位置から守備をすることができた。「今日は深い位置まで下がったという場面があまりなかったし、ずっと前に行けていたので良かった」(高木俊幸)という展開だったため、ユングベリと小野も無用な体力の消耗を抑えることができ、終了直前まで2人揃ってピッチに立ち続けることができた。
最後の3つめの理由は、名古屋の攻撃が精彩を欠いたことだ。「相手もプレッシャーかけてきて、自分たちの形でうまくつなげなかった。通さなきゃいけないパスを通せなかったし、カウンターでチャンスになりそうなところでミスしたりしたのが痛かった。そこが敗因です」(小川佳純)というように、攻撃の過程でミスが目立ち、清水を押し込みきれなかったことや連続攻撃ができなかったことは、名古屋らしくない部分だった。
また、ケネディの高さや両サイドの飛び出しを生かす効果的なロングフィードによって、清水のDFラインを押し下げられなかったことも痛かった。その意味では、田中マルクス闘莉王の出場停止が影響したことも否めない。清水としては、それをやられると苦しかったので、助けられた部分もかなり大きかった。
以上のような要素が相乗的に組み合わされて、前半から清水ペースの試合が続き、選手交代や得点で試合が動いても、その流れが変わることはなかった。

そんな中で、小野やユングベリの多彩なパスから清水が多くのチャンスを作り、前半だけで13本ものシュートを放つ。これまで90分間でも13本に満たない試合が多かったことを考えると、いかに自分たちがやりたいサッカーができていたかがわかる。
ただ、清水にとってこの試合唯一の問題は、決定機をなかなか生かせなかったこと。前半だけで1、2点取れるだけのチャンスは十分にあったし、後半はさらに惜しいチャンスが続いた。とくに後半20分の太田宏介の絶妙な左クロスからの大前元紀のシュートなどは、絶対に決めなければいけない場面だった。
通常ならこうした逸機が続くと、流れは徐々に相手に移っていくものだが、それを許さないゲームコントロールができたのは、清水のベテランのなせるワザか。なかなか決めきれない展開にも焦れることなく、辛抱強く攻め続けた結果、ついに後半28分、高木の左クロスから大前が今度こそとばかりに難しい角度から頭で決めて突破口を開いた。大前は、公式戦ここ6試合で5得点。彼自身が本来持っている点取り屋の本能が、いよいよ覚醒してきた感がある。

リードした後の試合運びという面も、清水にとっては最近の大きな課題だったが、その意味でもこの試合は完璧だった。チーム全体として守りに入ることなく、名古屋の攻勢にもひるむことなくボールを保持しながら試合をコントロールしていく。そして後半39分、右サイドからユングベリが鮮やかにドリブルで突破し、マイナスの折り返しをアレックスがうまく流し込んで追加点をゲットし、試合を決定づけた。この時間帯でもあれだけの切れを見せたユングベリと、彼のラストパスから早くも2点目を決めたアレックス。このコンビは、今後ますます楽しみになってくる。
また、この試合でもう1人強い輝きを放っていたのが、アンカーのヨン ア ピンだ。日本に来るまで、このポジションでプレーした経験はほとんどなかったが、試合を重ねるごとに急速に新しいポジションに馴染み、貢献度を増しているのはクレバーさも感じさせる。この試合でも、守備ではポジショニングの良さと抜群の1対1の強さで名古屋の攻撃を止め続け、攻撃でも確実にボールをキープしながら的確に散らして、チームのリズムを作っていた。

清水は、2点目を決めた後も名古屋に決定機を作らせることなく、自分たちが攻める時間を作りながらアディショナルタイムにも余裕を持って試合を進め、完封という目標もクリア。90分間のシュート数は、清水が23本、名古屋が4本。名古屋の出来がかなり悪かったとはいえ、今季も2位につける昨年の王者をこれほど圧倒したことは、他の16チームをも十分に驚かせたことだろう。
一方、攻撃面で良いところなく敗れた名古屋は、首位・G大阪との勝点差が4に開いてしまう手痛い1敗。闘莉王が戻る次節のG大阪戦に向けて、どれだけ自分たちのサッカーを取り戻せるかが本当に重要になってくる。

この試合は、アウスタの観客数が今季初めて2万人を越えたゲームでもある。名古屋サポーターにとっては本当につらい結果と内容だっただろうが、清水を応援に来た人たちにとっては、倍のチケット代を払っても惜しくないほど見応えたっぷりの一戦。
コアなサポーターにとっては、一晩飲み明かしても語り尽くせないぐらい、大きな喜びと希望が得られたはずだ。そうした試合前後の楽しみも含めて、清水ファンにとっては、サッカーは本当におもしろいと心から思えるようなゲームだった。

以上


2011.10.03 Reported by 前島芳雄
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