10月1日(土) 2011 J2リーグ戦 第30節
東京V 0 - 0 栃木 (16:04/味スタ/4,311人)
スカパー!再放送 Ch183 10/3(月)後11:00〜
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互いのクラブ目標である【J1昇格】を達成するためには、第29節終了時点で6位栃木、7位東京Vとも残り試合全勝ぐらいのペース、勝点の積み上げが必要というのが現状だ。それだけに、直接対決でのドローという結果は、互いにとってあまりにも痛すぎた。
内容を見ると、より無念さを強く感じているのは東京Vではないだろうか。勝利を逃した原因は「前半のうちに点が取れなかったから」と、誰に訊いても一致。それぐらい、前半は明らかに東京Vのゲームだったと言えよう。
中でも、前半35分ぐらいまでは被シュート0、ボール保持率でも圧倒し、栃木にほとんど何もさせなかったほどだった。だからこそ、その間で迎えた何度かの決定機で決めなければならなかった。
立ち上がりから中盤を制し、非常に良くボールが回っていた。得意とする、狭いスペースにボールを出し入れしながら個人技などを織り交ぜて、細かくダイレクトバスなどをつないで崩していくという形は、まさに理想通りとも言えた。特に効いていたのが右サイドからの攻撃。河野広貴がボールをキープしているところでその外を上がる森勇介を使って好クロスが入るという形は、何度か得点の可能性を感じさせた。
また、前に出ていたGKのポジショニングを見て放った菊岡拓朗の巧みなループシュート、小林祐希から阿部拓馬、富澤清太郎からマラニョンと、それぞれFWへの縦のスルーパスからのシュートシーン、こぼれ球への森のダイレクトボレーなど、さまざまな攻撃パターンで決定的場面を作り出せていただけに、「僕が決めていれば」(菊岡)、「点が取れそうな手応えがあったのに…」(阿部)など、逸機を悔やむ言葉が並んだ。
これまでも、内容で圧倒的に押し込みながらも決め切れず、逆にワンチャンスを相手に決められて、最終的に落としたというゲームが何度かあったため、前半35分過ぎから徐々に栃木がボールを触るようになってきたあたりから要注意の展開へと傾きつつあったが、さらに流れを変える要素となったのが、前半44分の河野の負傷交代だったのではないだろうか。味方と絡んでのテンポ良いパスももちろんだが、中央へのドリブル突破、そしてシュート意欲も見せていただけに、そこでのタメが無くなったことで、後半、特に序盤は栃木が中盤を制す形となった。セカンドボールの多くを相手に拾われるようになると、後半11分、DFとGK間のパスをリカルド ロボに奪われてGK柴崎貴広が交わされ大ピンチを迎えるなど、過去の失敗を繰り返しそうな流れにはなったが、柴崎が間一髪で凌ぐ。守護神は、その後も何度か作ってしまった決定的なピンチにも好セーブを見せ、無失点に守り切った。
東京Vは、後半30分過ぎからは再び盛り返しを見せたがゴールネットは揺れず。
前半、東京Vサポーターに「いつ点が入ってもおかしくない」「いつか点が入る」そんな期待を大いに抱かせたが、その「いつか」はこの90分間では訪れることなく終わった。
ただ、あえて今後へのプラス材料を見出すとすれば、平本一樹の存在ではないだろうか。もちろん、完全復活からは程遠いと言わざるを得ないが、エリア内での強さ、相手DFを威圧するドリブルなど、彼の魅力の一端を垣間見せ、得点に迫ったことは、今後のチームが持つさらなるキャパシティの広さを感じさせた。阿部、マラニョン、菊岡、河野、飯尾一慶、さらには巻誠一郎と、ただでさえ個性溢れる前線選手たちが、どの組み合わせでもポジションにこだわらず幾多の攻撃パターンを演出するシーンは、想像すればするほど胸躍る。「決めるべきところで決めること」という最大の課題とともに、ぜひ『元祖エース完全復活』も追求してほしい。
栃木にとっては、「昇格を目指す上では勝点1は残念だけど、4連敗中だったという点では、前向きに捉えていくべきだと思います」(GK武田博行)との思いが強いようだ。
連戦だったとこと、4連敗中で流れを変えたいとの意図もあったに違いない。松田浩監督はGKを含め前節から5人の選手を入れ替え、フレッシュな状態で挑んだ。しかし、「フワフワした入り方をしてしまった」(水沼宏太)ため、前半はまったく球際でプレスがかからなかった。ボールの奪いどころがなく、中盤を完全に支配されて相手の思い通りにゲームを展開された。しかし、最後のところできっちりと跳ね返し、前半の終わりごろから徐々に流れを引き込んだことは、1つ大きな収穫だったのではないだろうか。
「しっかりプレスをかけてセカンドを拾おう」という指揮官のハーフタイムの指示通り、後半頭から激しく行き、ほとんどのセカンドボールをマイボールにして、そこから素早く攻撃に転じてビッグチャンスを作ることに成功したが、せっかくの好機に決め切れないところが、以前からの変わらぬ課題。これで3試合連続の無得点となるなど、栃木の得点力を鑑みてもやはり少ないチャンスの中でいかに決め切るかが、これからの勝点3への重要ポイントとなろう。
とはいえ、連敗を脱したこと、破壊力ある東京Vを無失点に抑えられた点はプラスに捉えたい。きっかけさえつかめれば、と常々口にしていた水沼は、「弾みになる勝点1だったと思う。天皇杯、そして残り10試合のためにも、これを良いきっかけとしたいです」と、しっかりと前を向いていた。
試合後、東京Vの選手たちにはサポーターから厳しいブーイングが待っていた。主将・富澤清太郎は「何も残らない試合だった。残り10試合、こんなみっともない試合はしたくない」と、猛省した。「ヴェルディを愛してないからブーイングをする人はいないと思う。ヴェルディへのいろんな人の思いと受け止めています」と、巻。チーム同様、昇格を懸けて必死で戦っているサポーターの思いを一人一人がもう一度背負い直し、残りの試合最後まであきらめずに戦い抜くことを誓った。
以上
2011.10.02 Reported by 上岡真里江
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