10月1日(土) 2011 J2リーグ戦 第30節
熊本 1 - 0 草津 (13:03/熊本/6,797人)
得点者:17' ファビオ(熊本)
スカパー!再放送 Ch183 10/4(火)後00:00〜
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スコアは1点差だったが、内容的にはほぼゲームをコントロールしていた感覚がある。水曜の徳島戦から中2日という厳しいスケジュールでホームに草津を迎えた熊本は、17分にファビオが挙げた1点を守って勝ちきった。ただ、同じ1−0でも1週間前の栃木戦ともその濃さは違い、しぶとく、粘り強く、耐えると言うよりもいなすような試合運びは、昨シーズンから築いてきたスタイルをここに来て思い出したかのよう。これで3位との勝点差は暫定で9。一時は遠くかすんでいた二文字も、輪郭が見えるぐらいにはとらえたと言える。
この試合のポイントになると思われた立ち上がり、熊本はセーフティに入りながらも、攻撃に移った場面では細かいつなぎと大きな展開を交えながら、草津陣内にボールを運んでいった。副島博志監督が話している通り、短いスパンでのアウェイ連戦、しかも日中ならではの高い気温(公式記録によればキックオフ時27.5℃)などの条件から、草津からしてみれば様子をうかがうような時間帯だったであろう。お互いに10分過ぎまで決定機と呼べるような形を作れない中、熊本が均衡を破る。
14分頃からか、熊本がじわじわと押し込んでいったメインスタンド側タッチラインからのスローインは、4度目の流れで先制点に結びついた。市村篤司が入れた長めのボールを、4試合ぶりに先発に復帰した長沢駿が競り、こぼれを拾った市村がドリブルで切れ込む。市村はブロックされたがフォローに入って外側を追い越した片山奨典へつなぐと、深くえぐった片山はグラウンダーで球足の速いマイナスのセンタリング。草津のDFも一度は足に当てたがしっかりとはクリアできず、浮いたボールを右足でとらえたファビオが、ふかさずにきっちり突き刺した。映像を見直すと、市村と片山の右サイドでの崩しもさることながら、相手を引っ張ることでクリアミスを誘った大迫希のニアへの動き、それに合わせてポジションを調整したファビオの動き直しなど、まさしくトレーニングで意図した要素が絡んだ得点だった。
草津にとっては前節(5節)に続く立ち上がりの失点。これで点を取りに行かざるを得なくなったが、自陣でボールを動かすも熊本の中盤のチェックを嫌って起点となるべき熊林親吾がDFラインの近くまで下がるなど前線との距離は遠く、またアレックスと後藤涼の2トップに対しては、やはり4試合ぶりの先発となった福王忠世ら熊本の最終ラインがケア。リードした熊本もここ最近のゲームのように決して引くのではなく、前のプレッシングに合わせてコンパクトな陣形を保っていたため、裏のスペースはあるものの中盤ではしっかりスペースを消して草津のつなぎを抑え、前半はほとんどチャンスを与えなかった。
先に動いたのは草津の副島監督である。ハーフタイムには「前からプレッシャーを」と指示し、まずは後藤に替えて萬代宏樹を前線に送る。これで草津は両サイドバックも高い位置取りで徐々に流れをつかんでいったが、肝心な場面で足下に入らない、あるいはコントロールのミスなどでチャンスを得点に結べない。一方の熊本は、前に出てきた草津の裏のスペースを狙い、福王のフィードから長沢がつないで大迫が狙った後半開始直後の場面、ファビオのドリブル&キープから長沢に合わせた67分の場面など、カウンターから追加点を狙いに行くアグレッシブな姿勢は失わなかった。
草津が迎えた最大のチャンスは70分。エジミウソンの横パスをさらった萬代が持ち込んで1対1の状況を作ったが、ここは熊本の守護神・南雄太が果敢に飛び出してセーブ。激しい接触によって傷んだ南の状態を確認するため5分ほどゲームが中断したことで、流れに影響する可能性もあった。しかしエジミウソンや原田拓など、熊本の中盤が状況に応じた判断から身体を張って草津の流れを断ち切る場面も少なくなかった。その後も西森正明、仲間隼斗、ソン イニョンと、時間を使いつつ切ったカードがそれぞれに役割を果たし、押し込まれる時間が長くなった後半を含めても、やはりゲームを通じては熊本が主導権を握っていたと言っていい。
草津にとっては痛い敗戦である。ただ、熊林も話していたように、鳥取戦の反省を生かして主体的にボールを動かすという点では、本来のポゼッションの片鱗は感じさせた。とは言えミスでチャンスをつぶしたり、前線の動きがかぶったり、あるいはサポートが足りなかったりと、より機能させるための精度の向上と工夫は必要だろう。繰り返す事でどこまで高められるかが、今後の展開にも関わってくる。
さて、勝った熊本だが、勝点3という結果を得るとともに、戦い方の原点を思い出せたのも小さくない収穫。しかしこれで状況が好転したというわけではなく、目標の実現に向けてはまだ厳しい段階にあることに変わりはない。それでも選手1人1人がやれる事、やるべき事を全うし、目の前の相手を倒す事に注力したという点においては、さらに1段上がったのではないか。残り10試合、最後の笛が鳴るまで、歩みを止めずに進もう。
以上
2011.10.02 Reported by 井芹貴志
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