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【J1:第28節 広島 vs 神戸】レポート:試合前に突きつけた厳しさと苦しい時の声援。サポーターの力を糧に、アディショナルタイムで広島がこじ開ける。(11.10.02)

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10月1日(土) 2011 J1リーグ戦 第28節
広島 1 - 0 神戸 (13:33/広島ビ/12,706人)
得点者:90'+1 中島浩司(広島)
スカパー!再放送 Ch308 10/4(火)前06:00〜
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試合前、広島側に一つの異変があった。

普段ならば、ウォーミングアップ中に選手たち個々に対するコールがサポーターから叫ばれる。ところが昨日の神戸戦では、そのコールがない。淡々とした中で、トレーニングは行われた。その異変を、選手たちは敏感に感じとっていた。「それもまた、仕方がない」と服部公太はポツリ。青山敏弘も「勝たねばならないと、さらに感じた」。

この試合に勝ったからといって、ACL出場権獲得圏内に近づくわけでもない。負けたからといって、J2降格圏内に足をつっこむわけでもない。だが、広島の選手たちは勝利へのプレッシャーを感じていた。福岡戦の完敗で傷つけられた自らへの尊厳と、何よりもサポーターの信頼を回復するために。

だが強い闘志が力みへとつながり、そしてミスを生む。前半の広島は、まるで古くて錆び付いた時計のぎこちなさ。カクッ・カクッというノッキングがあちこちで起きた。ビルドアップのミスが多く、ボールをうまく前に運べない。
神戸は前線からプレスをかける一方、最終ラインとボランチは広島の1トップ2シャドーをマーク。サイド・アタッカーまで最終ラインに入るなど、守備に大きな過重をかけた戦術を仕掛けた。広島のサッカーを潰すことを第一義に考えた戦術は機能し、前半の広島をシュート2本に抑え込んだ。
神戸にとって悔やまれるのは、前半に頻発した広島のミスにつけ込めなかったことだ。16分、18分。共に高い位置でボールを奪えているのに、そこで決定機をつくれなかった。ボールを奪っても前に人数がいないため、個人での突破に頼るしかない神戸の辛さが、これらのシーンにも現れていたと言えよう。

後半、堅さがとれ始めた広島の攻撃が迫力を増す。51分の森崎浩司、53分の李忠成。得点の予感がするシュートが飛ぶ。前半から負傷の森脇にかわってリベロに入った中島浩司が積極性を見せて攻撃に厚みを加え、神戸のカウンターも森崎和幸・水本裕貴が見せたアグレッシブかつ冷静な守備が跳ね返す。70分にポポが放ったFKがバーに当たったシーン以外、神戸にほとんど隙は与えなかった。
時間の経過と共に神戸は運動量が落ち、布陣は間延びしてきた。そのタイミングで、ペトロヴィッチ監督がムジリを投入、高萩が1列下がる広島の超攻撃的布陣にシフトしたことにより、ほぼハーフコーチ・マッチの様相に。
74分、服部公太のクロスから佐藤寿人のヘッド。76分・86分と放ったムジリのシュート。88分に放った山岸智のシュート。
あと一歩だ。だが、ゴールネットを揺らせない。苦しい。歯がゆい。だが、試合前に厳しい態度を選手たちに突きつけたサポーターの声援が音量を増幅させ、選手たちを鼓舞する。諦めるなんてできない。

時計が90分を過ぎようとした時、ドラマは何気なく始まる。

きっかけは、高萩洋次郎の積極的な守備。タイミングのいい出足から神戸のクサビを奪った高萩は、すぐに李忠成にパス。

スルーパスだ。佐藤が飛び出す。だがここは神戸の「壁」北本久仁衛がボールを奪ってクリア。しかし山岸がカットし、ムジリに預ける。シュート。CKだ。

「いいボールは蹴れている」と自信を持っていた森崎浩のキック。クリアだ。セカンドボールは服部公太の前に。「トラップからのシュートも考えた。だけどそれよりも、(李)チュンソンに出した方がいい」ととっさに判断した33歳は、李にヘッドでパス。ジャンプした李、折り返す。オフサイドはない。

フワリと浮いた。この瞬間、ここまでタイトにタイトに守ってきた神戸の守備陣に隙ができる。押し上げを図ったのにその裏をつかれ、3人もの選手がゴールエリア内で、フリーとなっていた。

ゲット!広島に移籍して以降、遅咲きの花を咲かせている34歳のリベロ=中島浩司が両手を高々と天に掲げた。

「自分たちのサッカーができたとは言えない。だけど、今日はとにかく、結果がほしかった」という森崎浩司の言葉は、広島と神戸、両方のチームにとっての全て。ただ、自分たちのスタイルではなく「広島用」の戦術を駆使した神戸と、福岡戦のショックを引きずった形で入った広島との違いは小さくない。そして結果は、後半になって何とか修正し、自らのコンセプトを貫いた広島に「勝点3」がもたらされた。

この日の結果が、何を広島に、あるいは神戸にもたらすのか。それは、誰にもわからない。だが少なくとも広島は、福岡戦と神戸戦、自分たちのサッカーを完遂できなかったこの2試合の結果を分けたものが何だったのか、それを身体と頭脳に刻み込む必要がある。失敗と成功から学ぶことを繰り返して初めて、成功がやってくるのだ。

以上

2011.10.02 Reported by 中野和也
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