10月1日(土) 2011 J1リーグ戦 第28節
山形 1 - 1 磐田 (13:04/NDスタ/7,475人)
得点者:3' 伊東俊(山形)、57' 前田遼一(磐田)
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前節で0-6の大敗を喫した山形と、中2日の強行日程となる磐田の対戦。立ち上がりの主導権を握ったのは山形だった。右サイドバックの小林亮から縦に飛ばしたボールを太田徹郎が走ってスローインを取り、そこからコーナーキックも獲得。攻めて、拾って、さらに攻める波状攻撃が実を結んだのは3分のこと。長谷川悠のヘディングシュートをGK川口能活が弾いたが、これを右サイドで拾った秋葉勝が左足に持ち替えてクロス。ボールは中央で待つ長谷川の頭上を越えたが、その後ろから飛び込んだ伊東俊が165cmを大きく跳躍させる。しっかりと頭を振ってコースを狙ったシュートは枠をとらえた。
そこには、まぎれもない「チーム」があった。前節では一生懸命に自分の役割をこなすあまり、全体への目配せが足りず、それが大量失点の一因にもなっていたが、試合2日前には、小林伸二監督が円陣になった選手たちの手をつながせ、目をつぶり、隣の選手の名前を順繰りに呼んでいくという試みも見られた。「つながるっていうのはどうしたらいいのかなと思ってさ。みんな『チーム一丸』とか言葉では頑張ろうってことになってんだけど、少しでもみんなが触れると…。それを『まさかそんなことあるわけないじゃん』って思うと、こういうのもしなくていいと思うしね」と言って掲げたのは、左手首に巻きっ放しにしている青いリボンだった。山形がJ1残留へ心をひとつに戦うための「絆リボン」。原始的な方法だが、選手たち味方を信じることの大切さを再確認し、それがプレーにも反映されていた。ラインも落としたことも、それをよりやりやすいものにした。
22分、那須大亮、ジウシーニョ、山崎亮平と左タッチライン際でつながれるパスは、太田徹郎、小林亮で徐々にコースを限定し、山崎に渡る直前で前田和哉がカット。26分、右サイドで前田和哉が前田遼一とマッチアップした際には、小林亮が戻ってサンドし、マイボールのスローインにした。32分、バイタルエリアでくさびを受けた山崎がフリーでターンした時には、船山祐二が戻ってプレスをかけ、センターバックも慌てて飛び込むことなく対応した。船山は細かいポジショニングの修正で常にバイタルエリアを埋め、セカンドボールや、秋葉がアプローチしてこぼれたボールにも素早く反応した。後半に入っても、中盤に下りたジウシーニョを深く追った小林亮のスペースを、太田が戻ってカバーするなど、味方のため、チームのためのプレーは磐田にボールを持たせはしても、多くの攻撃機会を与えなかった。
山形のスローインや早いリスタートでボールを動かされてもリアクションが極端に遅れるなど、直近のヤマザキナビスコカップから先発2人を入れ替えただけの磐田には、中2日の影響が色濃く残っていた。守備ではボールに行けずにゴール前のシュートやラストパスを許し、攻撃に移ってもコースを巧みに限定する山形の守備にパスがタッチを割ることが多かった。風上に立った後半も、裏へ走るジウシーニョには秋葉がピタリと付けられてチャンスをつくれず、逆にカウンターから宮沢克行のシュートを浴び、川口が弾いて事なきを得るなど、流れは変わらなかった。
しかし、柳下正明監督がジウシーニョに代え、ナビスコカップ仙台戦で復帰したばかりの金園英学を投入したその4分後、戦慄の一閃が山形を襲う。右サイドで駒野友一が高く持ち上がったシーン。駒野は前のコースを塞がれたが、そこから左後方に逃げながら左足でくさびを入れる。中央には金園が張っていたが、くさびのタイミングで前田遼がスッと金園の前に出て、一転スルー。大きな旋回のプルアウェイに、山形のセンターバック石井秀典はステイしたが、金園のダイレクトで正確に落とすと、やや距離はあったがフリーの状態で左足を振った。巻いて左隅。コースも完璧なゴールで試合は振り出しに戻る。
勝たなければならない状況で追いつかれた山形に、落胆している暇はない。再びリードを取り戻そうと、強気の攻撃を続けた。特に小林亮はハーフウェイライン近くまで押し上げる。68分には那須からのダイアゴナルなスルーパスで金園に潜り込まれシュートを打たれたが、怯まずに右サイドは高い位置を取り続けた。しかし、交代で攻撃的な選手を送ったものの、そうした押し上げから決定機をつくり出す代わりに、自陣バイタルエリアででき始めたスペースを突かれ、磐田の確実なポゼッションの前に守備に追われたことでスタミナも奪われていく。「限定できなくなってきて、僕らボランチの前で相手のボランチが前向きでどこでも出せるような状態が非常に多かった」(秋葉)。守備のアプローチの出足も、奪ってから飛び出すパワーもなくなりかけた時間帯に、またしてもゴールを襲われる。37分にはスルーパスに金園に抜け出され、シュートは飛び出したGK清水健太が体を張って防いだが、40分にもクロスから金園がヒールでシュート。完全にフリーで打たれたが、これはポストの跳ね返りに救われた。
「相手も勢いがありましたし、自分たちとしても厳しさが欠けていたと思います」(藤田義明)と、磐田の多くの選手は先制を許した立ち上がりを悔やんだが、わずか3日前にカップ戦でベスト8進出を決める試合を終えたばかり、4日後にもG大阪との対戦を控えているという連戦のなか、1失点でしのぎ、追いついた。苦しい試合になったが、アウェイで勝点を増やした結果は次に推進力をもたらすものだ。「勝点3が欲しかったのですが、この勝点1をよしとして、次の(ナビスコカップの)ガンバ戦に向けてしっかり準備していきたいと思います」(柳下監督)。王者の記憶は、すでに呼び覚まされている。
山形は前節の大敗を引きずらず、逆にバネにしてピッチ上のプレーで表現できたことは、勝点1以上の進歩と言っていい。前田和が「山形らしいサッカーができた」と振り返るように、特に前半は直前の2連敗中には見失っていたチームワークの核心部分を取り戻したことも大きい。ただし、ラインを落としたことで守備の時間が長くなり、攻守両面でパワーやスタミナを奪われた。「流れを読んでボールがキープできるようになれば、守備のときの集中力も90分持つようになるし、よくなると思う」(石川竜也)と解決方法は見えているが、2週間後には次のリーグ戦が待ったなしでやってくる。10月の残る対戦は柏戦(10/16)、そしてクラブが「NDスタ満員計画」で威信を懸けるG大阪戦(10/22)。強豪にどれだけ力が通じるか、楽しみなチャレンジが続く。
以上
2011.10.02 Reported by 佐藤円
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