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愛媛はホーム3連戦の2戦目となる今節、ニンジニアスタジアムに千葉を迎える。リーグ戦自体で言えば、3連戦を締めくくる最後の試合。ハードスケジュールの中でホーム連戦が続くことは愛媛にとって有利な条件ではあるが、相手は過去3戦3敗の千葉だ。チーム事情を考えても今節は高杉亮太と田森大己が出場停止、チーム一丸となって我慢強く戦い、ホームでは8月6日の富山戦以来となる勝利を目指す一戦になる。
こうしておよそ2ヶ月、ホームで勝つことができていないと表現すれば、かなり厳しいチーム状況を想像してもおかしくないが、富山戦以降の戦績は9試合で1敗だけ。しかし、2勝6分1敗と勝ち切れない試合が続き、順位は上がってこない。こういう状況で選手の心理がプラスかマイナスか、どちらの方向を向いているのは気にかかるところだが、スコアレスドローに終わった横浜FC戦後の様子を見ている限りではプラス思考。「距離感が悪くてつなげられなかったところはあったけど、岐阜戦も横浜FC戦も悲観するような内容ではなかった」と渡邊一仁が振り返れば、齋藤学は「前半からいい形はつくれていたし、後半はボールを取ってから早い攻めをしたり、ゆっくりした攻めも悪くなかった」と横浜FC戦を振り返った。
9試合のうち、唯一の敗戦であるF東京戦にしても前野貴徳が退場するまでの45分間に選手たちは手ごたえを感じていた。そういう部分では、この勝ち切れない状況が結果としてマイナス方向に振れてしまう前に、勝利が欲しいというのが愛媛の現状。そのためにはゴールが必要不可欠だが、それでも今節は先に失点をしないことが先決になる。この9試合で勝利を収めた試合は富山戦と9月11日の横浜FC戦だが、いずれもスコアは１−０。シーズン序盤は失点も多かったが、中盤以降で成功した試合展開は昨季のような堅守をベースにした戦いだ。前節の横浜FC戦に関して福田健二は「前半の決定機を決めていれば後半は楽にボールをまわすこともできたし、カウンターが狙いやすい状況も作れたと思う」と振り返ったが、まさにこうした展開が今の愛媛にとって勝利への近道だろう。
それは、相手が千葉であればなおさら。前回、フクアリでの対戦では先制されながらも関根永悟が千葉から初得点を奪ったが、終了間際に深井正樹の素晴らしいゴールで突き放されている。現在の愛媛の得点力を考えれば今回も追いつき、逆転に持ち込むという展開は想像しにくい。逆に、千葉の視点で見れば早く先制点を奪って試合を優位に進めたいところだ。そこで千葉の鍵を握るのは、2列目の選手になるだろう。愛媛は横浜FC戦ではフランサに起点を作られて、中盤から野崎陽介や佐藤謙介に飛び込まれてピンチを招いた。そしてF東京戦ではルーカスに起点を作られ、羽生直剛にゴールを奪われている。最近の愛媛は出場停止で最終ラインが入れ替わることが多く、さらに中盤の右サイドには大山俊輔という攻撃を得意とする選手が入っており、90分を通じて守備のバランスが大きく崩れてしまうシーンが必ずある。千葉はそこをしっかり突くことができればゴールチャンスは膨らむし、逆に愛媛としては出場停止となる米倉恒貴に代わって出場する選手、あるいは深井のポジショニングなどには特に注意深く対応しなければならないだろう。
ただ、愛媛にとって失点しないことが前提とはいえ、「相手が上位でも気負うことなく積極的にプレーしたい」という東浩史のような気持ちは必要不可欠だ。あと一歩で勝点を奪うことができていたフクアリでの対戦でも、アグレッシブな守備でリズムを作った。前節の横浜FC戦のように立ち上がりにラインを下げすぎてしまうと、自らリズムを失ってしまうことにもなる。過去の試合に何を学び、それを千葉戦に生かすことができるのか。横浜FC戦後にバルバリッチ監督が選手に突きつけた要求をどのような形でピッチで表現できるか、愛媛の千葉戦初勝利はそこにかかっている。
以上
2011.10.01 Reported by 近藤義博
