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勝ち続けるというのはかくも難しいものか。鳥取、栃木と２試合連続の無失点勝利で今季初の３連勝を狙って徳島に乗り込んだ熊本だったが、結果は０−１の敗戦。ほんの小さなミスが勝負を分けるという厳しさを改めて思い知らされた。立ち上がりから慎重な入りを見せ、最終的には同数に近いシュートを放つ展開に持ち込んだからこそ、徐々にペースをつかみつつある時間帯の失点だったことが悔やまれる。しかし戦いは続く。リーグ戦も終盤に入る中、とにかく目の前の試合に全力を尽くして、１歩ずつ前に進んでいくだけだ。
今節迎えるのは草津。勝点差は２で結果次第では順位が入れ替わる状況、さらに昇格圏にいる上位陣との勝点差と残り試合数を考えれば、ともに負けられない一戦であることは間違いない。前回対戦（第９節）では徳島戦と同じようなサイドからの形で熊林親吾に得点を許して０−１で敗れているだけに、同じ轍を踏む事態は避けたい。熊本としてはやはり、まずはしっかりとした守備でペースを握った上で、いかにして点を取り、優位に試合を運ぶかということになろう。
ただ、中２日という厳しい日程を踏まえれば、この一戦に向けて特別な事に取り組むという時間的な余裕はないのが実情。となれば、今までトレーニングで積み上げてきた事を、疲労などの影響も考慮して新たに出場機会を得る選手も含め、チームが一体となって発揮できるかが焦点になる。実際、午前中に遠征メンバーが移動したこともあって軽めの内容となった29日の練習では、全員の前で高木琢也監督が約15分に渡って話し、「トレーニングしている事を試合で出そう」と伝えたようだ。
草津に関しては、「中盤に上手い選手が多く、ポゼッションするスタイルを数年かけて作っている」（福王忠世）との声もある通り、このところ勝っておらず順位こそ下にいるものの、個の力も含めて決して侮れる相手ではない。熊本にとって大きなホームアドバンテージであるはずのKKWINGのすばらしいピッチコンディションは、草津にとってもそのストロングポイントを引き出すのに有効に作用するだろう。
ただ、鳥取戦から採っている新システムによって「役割分担が徹底して、（ボールの）取りどころがはっきりした」（原田拓）という手応えが熊本にもある。仮にボールを握られる時間が長くなっても、セットプレーの場面も含め、ゴール前におけるマークやクロスの対応など、最終局面をしっかりと凌ぐ事で相手を焦らしたい。
一方の攻撃は、特に今週の徳島戦では、打てる場面でシュートを選択していないなど、思い切りに欠ける印象もあった。トレーニングで取り組んでいることを試合で出すのはもちろんだが、形にこだわらず、「相手のいやがること」（市村篤司）を主体的に判断して、流れにもメリハリを加えたい。そうした意味では、徳島戦で途中出場した田中達也ら、若い選手の積極的な仕掛けも鍵を握る要素と言える。このところ先発から外れている長沢駿が「自分がやれること、やるべきことを精一杯やることが大事」と話していたが、１人ひとりがそうした思いをプレーに表すことで、チームに勢いを生み出せるか注目したいところだ。
ともに先制した試合は高い勝率を誇る熊本と草津。草津は水曜の鳥取戦、後半に追いついたものの立ち上がりに失点していることから、試合の入りも重要になる一戦。日中の試合とあって、天候次第では気温も上がることが予想されるが、厳しい日程は同じ。相手に合わせるのではなく、自分たちからアクションを起こして主導権を握り、そして結果を手にするには、プレーや判断のスピードと質に加えて、「どん欲さ」も求められる。多くの来場が見込まれる観衆の前で、ホームの意地を見せたい。
以上
2011.09.30 Reported by 井芹貴志
