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【ヤマザキナビスコカップ 川崎F vs 横浜FM】レポート:後半アディショナルタイムの逆転弾で川崎Fが等々力での2カ月ぶりの勝利。しかし、2戦合計で準々決勝進出は横浜FMに(11.09.29)

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9月28日(水) 2011 ヤマザキナビスコカップ
川崎F 3 - 2 横浜FM (19:00/等々力/10,528人)
得点者:25' 谷口博之(横浜FM)、40' 田坂祐介(川崎F)、64' 大黒将志(横浜FM)、86' ジュニーニョ(川崎F)、90'+5 山瀬功治(川崎F)
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前半25分に谷口博之に先制点を奪われて、川崎Fの勝ち上がりの可能性は大きく遠のいてしまった。無失点のままであれば4得点でよかったが、この失点により川崎Fが必要とする得点は6点に増えた。アウェイゴールのルールが存在するためだ。

トーナメントを勝ち上がることだけを考えてこの試合に臨んでいた場合、選手のモチベーションは大幅に低下したはず。しかし、ここで川崎Fの選手たちはテンションを落とすことがなかった。その理由の大きな部分が、相馬直樹監督のモチベーション・コントロールに求められる。相馬監督は、勝ち上がる事の大事さを一番に掲げつつ、それが難しければ、等々力で勝ち試合を見せる事も大事なのだと選手たちに伝えていたのである。

この試合を前にした田中雄大は相馬監督の言葉だとして、「勝つつもりで行く。4点、5点を取って次に行きたいが、まずは1点。勝ち上がれなくても勝つことが大事。それがリーグ戦にもつながる」と話していた。厳しい状況を踏まえ、タスクを2段構えにし、1つ目のタスクが無理だとしても2つ目のタスクに移行できるよう心理マネージメントを行っていたのである。変えられない過去をどう今につなげるのかという事を考えた時、そうした逃げ道を作れたという意味においては、初戦での大敗は無駄ではなかったのだと言えるのかもしれない。

と同時に、選手たちを後押ししたもう一つの要素がある。サポーターである。川崎Fにとって横浜FMは今季2連敗中の難敵である。勝ち上がるには最低でも4点が必要な相手との対戦は、サポーターの足が遠のく原因となっても不思議ではない。そういう状況の中、川崎Fサポーターは通常と何も変わらない声援を送り、平日の試合であるにもかかわらず10,528人もの観客が集まった。そんな等々力のピッチで選手たちは奮い立った。
サイドバックとして先発し、終盤はオーバーラップと守備のための帰陣を繰り返し「後半はシャトルランでした(から疲れました)」とピッチを走り続けた田中雄は「平日でもたくさん来てくれた。その中でなんとしても勝ちたかった」と話し、その理由としてサポーターの存在を口にする。
いい時に応援してくれる人が増えるのは当然のこと。ただ、チームにとって本当に大事なのは苦境に立った時に手を差し伸べてくれる人たちである。そしてこの日にスタジアムを訪れたサポーターはまさに苦境のチームを奮い立たせようと声を出してくれた方々だった。そして、そうした人たちの支えを自覚して、選手たちはプレーした。


川崎Fの同点ゴールは、前半の40分に生まれる。大島僚太から右サイドをオーバーラップした田中裕介へパス。このボールを田中裕がゴール正面へ入れると、田坂祐介が頭で合わせた。また得点にはつながらなかったが、川崎Fの勝利への欲求を端的に表したのが前半アディショナルタイムの波状攻撃だった。横浜FMの守備陣が手薄と見るや、高い位置から人数をかけて次々と猛烈なプレスを仕掛けて奪いとり、最後は田中裕がシュートで攻撃を完結させた。

木村和司監督が「こういう試合でもしっかり良いゲームをして勝たないといけないというかね。そういうのを出したかったし、自分が考えているベストメンバー」だったと話すメンバーで試合に臨んだ一方、降格圏に近づきつつある川崎Fの相馬監督は次節の甲府戦も見据えた布陣を組んでいた。若手のパワーにかけつつ、主力選手をベンチスタートさせた。先制点を奪われた事実から明らかなように、この作戦は失敗だったのかもしれない。ただ、若手が先発した川崎Fは序盤から横浜FMを押しに押しまくる。横浜FMは3点差までの敗戦が許されるという有利な状況であり、カウンターを主体とした戦いを選択したという事情もあったのだろうが、それにしても一方的に押しまくった。
横浜FMを一方的に攻め、1−1で折り返した後半の頭から相馬監督は順次交代采配を振るう。1人目がハーフタイムに矢島卓郎に代わったジュニーニョ。2人目は、55分にピッチに立った中村憲剛。そして3人目が77分に登場した山瀬功治である。
その間、横浜FMは64分に大黒将志が2点目を奪っているが、そうした状況でもなお、川崎Fの選手たちの勝利への意欲は削がれることがなかった。田坂はそんなチームの状態について「清水戦でもそうでしたが、点を取られて慌てなかった。2失点目からでも追いつけた」と振り返る。

川崎Fが逆転できたのには、逆転のための条件が整っていたという側面を見る必要があるだろう。というのも、木村監督は2点目を手にした直後の66分に、2枚目の交代として中澤佑二に代えて青山直晃を投入する。「休ませたかった」というこの交代に続き、79分にも同じ理由で兵藤慎剛から狩野健太への交代が行われる。木村監督にしてみれば、このまま逃げ切れる手応えがあったのだろう。しかし、この交代を木村監督は「隙を与えたのが良くなかったゲームだったですね」と悔んでいる。
「5失点までOK」という形での隙が生まれた横浜FMに対し、全力の川崎Fがその本領を発揮する。前述した田坂の証言にもあるように川崎Fは慌てずに試合を進めた。ポゼッションで横浜FMを圧倒する川崎Fは、丁寧にパスをつないで前進。そんな中の終盤の残り時間5分からの逆転劇は、苦しい時こそ応援してくれるサポーターに対する心からの感謝の印だったとも言えるのかもしれない。
ジュニーニョの同点ゴールが86分に決まると、下がりすぎてバイタルエリアをガラ空きにしていたそのスペースを使い、90+5分に山瀬功治がミドルシュートをねじ込む。久しく生まれていなかった後半アディショナルタイムの決勝弾は、まさに等々力らしさであり、「あれがフロンターレの一体感ですね」と田中雄。彼は初めての逆転劇を目の当たりにし「鳥肌が立ちました」と話していた。

川崎Fは試合には勝ったが、ヤマザキナビスコカップではここで敗退。ただ、らしい逆転劇を見せ、サポーターに対する最低限の義務を果たしたと言っていいだろう。
対する横浜FMは、第1戦の4点のアドバンテージを生かし、この試合に負けはしたが鹿島との準々決勝への進出を決定。通常のリーグ戦とは違う条件下での敗戦ということで、おそらくはダメージはほとんどないはず。週末のリーグ戦に向けて頭を切り替えたいところだ。

以上


2011.09.29 Reported by 江藤高志
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