9月28日（水） 2011 J2リーグ戦 第5節
栃木 0 - 1 岐阜　（19:03／栃木グ／2,493人）
得点者：66' 嶋田正吾（岐阜）
スカパー！再放送 Ch183 9/29（木）後06:30〜
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巻き返しを狙ったホーム３連戦で、栃木はまさかの３連敗。あまりの悔しさに、水沼宏太はピッチの砂を掴み、その場に叩きつけた。やり場のない思いを、サポーターも抱えていたはずだ。だが、試合後ブーイングは出なかった。戦い続ける姿勢を、その思いを伝えるために、サポーターは「栃木ＳＣコール」を繰り返した。思いを受け止めた河原和寿は、こう話した。
「罵声を浴びせるのではなく、サポーターの方々はチームを支える言葉を選んでくれた。サポーターの思いに、今日ほど胸を締め付けられたことはない。Ｊ１昇格が決まった時に、ＳＣコールを聞けるように、苦しい時期だけど踏ん張って、底力というか意地を見せたい。サポーターの方もプライド持って後押ししてくれている。僕達もプライドを持って戦わないといけない」

昇格圏内の３位・徳島との勝点差は７に拡がった。現状を考えれば、かなり水をあけられてしまった。しかし、諦めるのは、まだ早い。徳島とは直接対決を残しているし（１１／１２＠栃木グ）、リーグ戦も１１試合残されている。栃木のように不調に陥る可能性は、上位５チームにも考えられる。だから、諦めてはいけない。致命傷を負ったからといって倒れていられない。ファイティングポーズを取り続ければ、戦うことを止めなければ、必ず活路は開ける。

「このピッチでは長いボールを蹴って、相手の背後を取ることしかできないが、それに関しては相手のほうが徹底していた」とは、前半の立ち上がりに関する松田浩監督の弁。ツインタワーの佐藤洸一と西川優大をターゲットに、シンプルな攻撃を心掛けた岐阜がイニシアチブを握った。対照的に繋ぐのか、それとも裏に蹴るのか、サッカーに統一感がなかった栃木は、バランスの悪さだけが目に付いた。意思統一されていないからファーストパスが乱れ、セカンドボールワークに関してもパワーを使えなかった。精彩を欠き続けた栃木だが、徐々に裏への意識が浸透すると、直接ＦＫから高木和正が、連係プレーから河原がゴールに迫った。

幾分か盛り返して前半を終えた栃木だが、悪い流れがそうさせるのか、ゴール前での積極性が見られない。６０分には崔根植が、続く６１分には高木がシュートチャンスでパスを選択。「勝負にこだわり、結果にとらわれるな」と指揮官が協調しても、容易には改善されなかった。
拙攻を繰り返した栃木に対し、岐阜は６６分に先制に成功する。右から野田明弘が放った鋭利なクロスに、ニアで西川、ファーで佐藤が潰れ、大外に走り込んだ嶋田正吾が打ったシュートはＧＫ柴崎邦博の手を弾き、ゴールへ吸い込まれた。狙い通りのサイドアタックが歓喜を呼び込んだ。ビハインドの栃木は廣瀬浩二とサビアを同時投入し、４−４−２から４−１−３−２にシフト。いくつかチャンスは作ったが、体を張った岐阜の守備陣に阻まれ、スコアを動かせずに敗れ去った。

「ずっと今まで点を取られていたので無失点はうれしい」
今季初の完封勝利に、守護神・野田恭平は安堵の表情を浮かべた。内容が良くても我慢しきれずに崩れては失点を喫していたが、栃木戦では数的不利に陥っても動じずに最後まで全員でゴールを死守した。２７試合目で掴んだ零封は自信となり、岐阜をひとつ上のステージへと押し上げてくれるはずだ。次節は北九州を相手に、今季初の連勝を狙う岐阜。「チームとして１勝することの難しさを今日も感じた。それを忘れないで、強い覚悟を持って臨みたい」（野田恭）。

ハードワークしていない選手は、栃木にはいない。ただ、「何か噛み合わないという感じがする」（松田監督）。
必死に状況を打開しようとする思いが空回りしている部分は少なからずある。俺が、俺が、という思いが、逆にプレッシャーとなり、視野を狭くし、判断を鈍らせている。逆境でストレスを感じずにプレーすることは難しいが、失敗を恐れずに溌剌とプレーすることで課題を克服するしかない。チャレンジする姿勢と気持ちをなくしてはいけない。

以上


2011.09.29 Reported by 大塚秀毅