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【ヤマザキナビスコカップ 川崎F vs 横浜FM】プレビュー:窮地に立たされた川崎Fは、コツコツと1点ずつ返すしかない。有利な立場の横浜FMを攻め崩せるのだろうか。(11.09.28)

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9月28日(水)ヤマザキナビスコカップ 川崎F vs 横浜FM(19:00KICK OFF/等々力チケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
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勝ち上がるにはあまりに高いハードルを前にして、頭の中で勝手に音楽が流れはじめる。Aerosmithが演奏するI don't want to miss a thingである。ブルース・ウィルスが主演した映画アルマゲドンのテーマソングというと分かりやすいかもしれない。悲壮感を漂わせ、困難なミッションに立ち向かう男たちの映像が今の川崎Fの選手たちの立場と重なっていたのだろう。

2週間前にアウェイで行われた第1戦の結果は0-4だった。失点を4つ重ねてしまう一方で川崎Fはアウェイゴールを1点も奪う事が出来なかった。試合内容も厳しいもので、横浜FMの激しく、かつ組織的な守備を真正面から受け、全く自分たちの攻撃の形を作ることができなかった。その3日前に行われていた神戸とのリーグ戦第25節も酷かったが、それに輪をかける内容で、絶望的な気持ちに陥ったことを覚えている。

今季の横浜FMは、リーグ戦では仙台についで2番目に失点が少ないチームである。先週末行われたリーグ戦で仙台を相手に3失点してはいるのだが、それにしても中澤佑二、青山直晃のCBコンビが立ちはだかる守備陣は鉄壁を誇っている。そんな横浜FMを相手に4得点するのが困難なタスクであるのは間違いない。ただ、選手たちは希望を捨ててはおらず、共通の言葉を口にしていた。それが「まずは1点」というものである。

選手たちは先に1点とれれば川崎Fに流れはくるのだと信じている。川崎Fはホーム等々力で戦えるという大きなアドバンテージを手にしているからである。選手が信じる等々力の力については中村憲剛がこんな事を口にしていた。

「あの雰囲気が戻ってきたのは大きいと思います」

中村が言うところの「あの雰囲気」とは、先週末の清水戦の空気を指す。勝利を望み、選手たちを後押しするサポーターの前向きな応援が作り出す雰囲気のことである。

ブーイングも出た神戸戦の等々力は、何もかもが壊れかけた状態にあった。そんなスタジアムがそれ以前の状態に戻ったのだと中村は喜んでいた。そしてフットボーラーとしての本能と川崎Fでの経験によって、サポーターが作り出す雰囲気が彼らの背中を押してくれるのだと確信したのだろう。そして等々力に火をつけるために、まず1点が必要なのである。

川崎Fが勝ち上がるには横浜FMを無得点に抑えた場合でも、4点差を付けてようやく引き分けて延長戦へ。90分で試合を決めるには5点差が必要となる。仮に失点した場合、4点差以下の勝利では敗退が決まる。1失点でもした場合、勝ち上がりには6点が必要なのである。だからこそ、無失点のまま先制しなければならない。そしてもし仮にそうなった場合、確実に等々力はヒートアップする。それは勝利を目指した清水戦の終盤の空気が証明している。

自信をなくし、自らのサッカーを見失う時期もあった川崎Fは、26節の山形戦での勝利により息を吹き返しつつある。例えば柴崎晃誠はスタンドから見た27節の清水戦について「決定機もあったし、攻撃も良い感じで守備でも危ないところはなかった」と振り返り、出場が予定されるこの横浜FM戦にむけ「4点取る気持ちで行きます。思い切って攻撃を仕掛けて、自分たちから行きたい」と話していた。清水戦で得点に絡んだ楠神順平は「ガンガン行くしかない。点を取りに行くしかない。そういう点で割り切れるので試合には入りやすいと思う」と話している。

そんな川崎Fに対し、3失点までは許容範囲という横浜FMはまさに有利な立場に立っている。しっかり守り、手薄になった川崎F守備陣に対しカウンターを繰り出せばいい。また今季の川崎Fはカウンターから失点を積み重ねてきたという傾向がはっきりと出ている。横浜FMにとっては与し易い相手であり、状況にあると言える。2回戦第1戦ではわずか25分の出場で2得点。リーグ戦第2節の対戦でも1点を挙げている大黒将志はこの状況での川崎Fとの対戦で、そのの特徴を最大限に引き出されそうである。つまり大黒は両チームにとってのキープレーヤーになると考えていいだろう。

その一方で、横浜FMにとって気になるのが小林祐三の出場停止である。また前回の対戦時に、川崎Fの攻撃の芽を摘み続けた小椋祥平の肩の脱臼がどの程度まで回復しているのか、試合展開に及ぼす影響を考えると大きな要素と言えそうだ。

守備に重心を置けるという点で横浜FMは無理をする必要はないのだが、守る意識が強すぎても苦しい試合展開を強いられる可能性が増えてくる。そのバランスをどう取ってくるのかは見所の一つといえるだろう。

冒頭で言及したAerosmithは、I don't want to miss a thingの中で「夢の中の君も素敵だが、本物にはかなわない。だから、何一つ見逃したくない」と歌っている。微妙にこの歌詞の文脈とは違うのだが、今の川崎Fが置かれた立場と符合させられる部分も多々ある。

頭の中で夢想する大逆転劇は、もちろん、実現の世界での出来事ではない。そしてそれが困難な道程であることも理解している。ただ、そうなる事を信じて固唾を飲んで試合に見入る展開を期待したいと思う。勝利を信じ、等々力に足を運ぶサポーターのためにも、選手たちは頑張らねばと口にしていた。そしてそのサポーターの心に希望の火を灯すためにも、無失点のままできるだけ早い時間帯での先制点を期待したい。川崎Fにそのポテンシャルは十分にある。

「信じてやるかどうかは大事だと思う。ひとりでも信じていないと、難しくなる。信じて見に来てくれる人もいると思う。1点を取れば流れも変わると思う」

選手同士はもちろん、サポーターとも信じ合いお互いのためにやること。それが大事なのだと中村は話していた。その結果がどう転ぶのかはわからないが、等々力で久しく歌えていない後半アディショナルタイムの「アバンテ」につながればいいと思う。そしてそれが準々決勝への進出が決まる状況でのものならば、格別なものになるのだが、どうなるだろうか。

以上

2011.09.27 Reported by 江藤高志
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