9月25日(日) 2011 J2リーグ戦 第29節
水戸 1 - 1 岡山 (13:04/Ksスタ/3,022人)
得点者:7' 尾本敬(水戸)、38' 金民均(岡山)
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ともに力を出し合った実力伯仲のゲームであった。ただ、だからこそ、両チームの足りないところもはっきりと見ることができた。「(ゴール前に入る)精度と回数と迫力を増やしていく必要がある」(影山雅永監督)。それが両チームともに内容では成長の跡を見せながらも、勝ち星に恵まれない大きな理由と言えるだろう。この試合でも狙いとするサッカーができてはいたが、相手の守備を崩すことができずに勝点1を分け合うこととなった。
序盤に主導権を握ったのは、水戸であった。今節は、これまでの4−5−1から4−1−4−1に変更。1トップの鈴木隆行が岡山のパスの供給源であるストヤノフにプレスをかけ、そしてロメロ・フランクと小澤司のトップ下の2人が岡山のダブルボランチをしっかりケア。さらにボールを奪ってからは、両サイドMFが3バックの横のスペースを突いて、主導権を握った。そして7分、CKのこぼれ球を拾った小澤が右サイドに展開。パスを受けた島田祐輝が上げたクロスを尾本敬が頭で叩き込んで、先制点を挙げる。7試合ぶりの先制ゴールを決めて勢いに乗る水戸は、その後も両サイドから果敢に攻め立て、岡山を押し込む展開が続いた。しかし、サイドやバイタルエリアまでボールを運ぶことはできても、ペナルティエリア内にはなかなか入れず、決定機を作るまでには至らなかった。
すると、徐々に岡山が息を吹き返していく。ターゲットマンのチアゴは水戸の加藤広樹に封じ込まれたものの、セカンドボールに対して、2シャドーの臼井仁志と妹尾隆佑が鋭い反応を見せ、水戸の1ボランチの横のスペースで起点を作り、そこからサイドに展開して攻撃を組み立てる。そして38分、右サイドからのFK、ボールはファーサイドに流れるものの、水戸DFが処理をミス。金民均がその一瞬の隙を突いて冷静にゴール右隅に流し込んで同点に追いつく。水戸にとってはもったいない失点であったが、相手のミスを確実に突いた金の技術が光ったゴールであった。
後半に入ってもがっぷり四つの展開。両チームともにシステムの優位性を生かそうと、一進一退の攻防が続いた。互いに集中力の高い守備を見せて、相手をゴール前に入れさせない。水戸は加藤がチアゴを封じ込め、岡山はストヤノフが巧みなカバーリングで水戸のスピーディーな攻撃を食い止めた。「お互いにいいところを消しあった」(柱谷監督)拮抗した緊張感あふれる展開となった。
どちらが相手の守備をこじ開けるか。勝負はその一点に絞られた。しかし、どちらに転んでもおかしくない展開、常にナイフを突き付けられている状態だっただけに、ともにバランスを崩したくないという気持ちが強く、リスクを冒したプレーを出すことができなかった。水戸ならばフランクと小澤が鈴木隆を追い越すプレーを、岡山は金と竹田がチアゴと近い距離でプレーをしたかったところだろう。だが、そうしたプレーをほとんど見ることができなかった。
両チームが現状打破するために必要なことは、“ほんのちょっと”の壁を超えること。ただ、そこがサッカーにとって、最も難しいところである。そこを乗り越えるために求められるもの。それはさらなる勇気なのではないだろうか。この試合でもお互いにシステムの長所を生かしながら、うまくゲームを運ぶことができていた。ただ、そこにプラスアルファを加えることができなかったことに、両チームの苦悩が感じられた。
岡山の影山監督は「ハードワークやハツラツさというファジアーノらしさを取り戻したい」と語り、水戸の柱谷監督は「もっと遊び心が必要」という言葉でチームの現状を表した。型にはまるだけでなく、機を見て型から飛び出す勇気を持たなければ、壁は乗り越えられない。あくまで戦術はベースであり、それを守るだけでは試合には勝てない。個々が現状の殻を破らなければ、チームが目指すところまでたどり着くことはできない。
怖れることなく、飛び出す勇気を、そして、チャレンジ精神を。長期ビジョンでチーム作りを行う両チーム。いち早くこの壁を乗り越えられるのは、果たしてどちらのチームだろうか。そこにチームの未来が懸かっている。
以上
2011.09.26 Reported by 佐藤拓也
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