9月25日（日） 2011 J2リーグ戦 第29節
富山 1 - 1 京都　（16:04／富山／3,586人）
得点者：19' 内藤洋平（京都）、66' 朝日大輔（富山）
スカパー！再放送 Ch183 9/26（月）後09:00〜
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富山、京都とも最後まで力を尽くして攻め合った。「面白いゲームだった。（監督ではなく）第三者として見たかった」。富山の安間貴義監督は彼らしい言葉で最大級の満足感を表現した。よき選手がいて、よきライバルいる。ともによく戦い、見ている人をドキドキさせた。京都の大木武監督も「富山に感謝しなければいけない。このようないいゲームができたことは素晴らしい」と語った。１−１の引き分けで決着はつかなかったが、スタジアムに足を運んだ観客は両監督のコメントに納得したはずだ。

激戦を象徴するシーンは後半44分。京都のFW久保裕也のシュートがクロスバーをたたく。そのこぼれ球を拾って今度は富山が切り返してMF大西容平がアーリークロス。FW平野甲斐がヘディングシュートを放ったがこちらもクロスバーに弾かれた。
続く４分間のアディショナルタイムも熱っぽかった。富山が立て続けにゴールを襲う。京都もロングフィードから勝ち越し点を狙い、富山の大西はあきらめることなくスライディングをしてキッカーにプレッシャーをかけた。最後は富山のFW苔口卓也がカウンターから抜け出し、DFを交わしてシュートしたがわずかにゴール右へと外れた。

前半は激しい密集戦が展開された。富山が［３-２-４-１］、京都は［３-１-４-２］で中盤より前に人数を割くシステム同士。ともに攻守の切り替えが早く、ハイプレッシャーによって互いにパスがつながらず競り合いが続いた。その中でも京都が地力を発揮するかたちで主導権を握り、じりじりと富山ゴールに迫った。19分、MF伊藤優汰が左サイド深くからセンタリングし、ファーサイドで待ち構えていたMF内藤洋平が右足ボレーで先制点を叩き込んだ。

安間監督は劣勢になった理由を「京都のようなサッカーをしようとして自分たちのプレーができていなかった。同じようにやっては技術のある相手には勝てない」と話した。局地戦に執着し、ゴールに向かってダイレクトにプレーする富山らしさを欠いていたという。前線でターゲットになってきたFW黒部光昭が出場停止で不在だった影響もあっただろう。
しかし、失点後は開き直り、サイドからの縦にスピーディーな攻めで反撃にかかった。25分に敵陣でボールを奪ったDF舩津徹也のスルーパスからFW木本敬介がシュート。28分には左サイドから木本がクロスを上げてMF西野誠が狙った。MFソ・ヨンドクも左サイドを何度も突破して起点をつくり、ペースをつかんで前半を終えた。

ハーフタイムに安間監督は「富山のサッカーで勝負しろ」と檄。攻勢を強めるために後半最初から平野を投入した。両チームとも前半ほどのハイペースは望めず、徐々にオープンに攻め合う展開になる。勢いは追う側の富山にあり、京都は「走り負けた感じになった」（大木監督）。後半21分、富山は敵陣の左サイドでボールを奪って素早く攻め、中央のMF朝日大輔が冷静にさらに右へと流す。走り込んだ平野のシュートがニアポストに当たり、それを朝日が蹴り込んで同点に追い付いた。朝日はクラブ初の３試合連続得点。

安間監督が、「尊敬する指導者」の大木監督との対決に燃えていたのは間違いない。采配に勝利への執念が宿っていた。同34分に苔口を入れ、［３-２-３-２］の攻撃的な布陣で逆転を狙う。同39分には京都のドリブル突破を警戒して負傷明けのDF池端陽介を投入。池端はゴール付近で２度あった相手アタッカーとの１対１を止めて役割を完遂した。

京都の大木監督は、富山との激戦によってチームの収穫があったと言う。「Ｆ東京戦では25分まで、草津戦では前半45分しかよい流れが続かなかった。しかし今回は、押し込まれる場面はあっても、もういちど盛り返すことができた。これによって今後、また違ったものが見えてくると思う」。

両チームとも発展途上にあるが、確実に前進していることを今回のゲームでも示した。ともに残り12試合。混戦のJ２をかき回す存在になっていく可能性は高い。

以上

2011.09.26 Reported by 赤壁逸朗