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【J1:第27節 川崎F vs 清水】レポート:両チームにあった勝てるチャンスを活かしきれず、ドロー決着。それぞれに出た課題と向き合いたい。(11.09.25)

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9月24日(土) 2011 J1リーグ戦 第27節
川崎F 1 - 1 清水 (19:03/等々力/20,973人)
得点者:56' アレックス(清水)、65' ジュニーニョ(川崎F)
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白状すると、今日も負けてしまうのかなという後ろ向きの考えが脳裏をよぎってしまった。逆説的ではあるのだが、試合経過が良かっただけに嫌な試合展開だった。

失点した場面を除き、川崎Fの良さをもたらした理由の一つが大島僚太だった。累積警告により出場停止となった柴崎晃誠の穴を感じさせないその活躍はなかなかのもの。コンビを組む中村憲剛とうまくバランスを取り、中盤の深い位置ではシンプルにパスを散らし、スキあらば前線へと飛び込んでいく。そのバランス感覚の良さが川崎Fの中盤に躍動感をもたらしていた。

その一方で、この日の清水は、シンプルにアーリークロスをいれるスタイルで川崎F攻略を狙っていたように見えた。中盤での勝負を避け、一般的に弱いとされる川崎Fの最終ラインの裏を狙うスタイルは理にかなっている。しかし、川崎Fの最終ラインは集中してこの攻撃を弾き返し、付け入る隙を与えることがなかった。

清水を押しこむ時間帯が続いた川崎Fは、ミドルレンジからではあったのだが、可能性を感じさせるシュートも複数放っている。しかし前半は無得点。危なげない試合展開ではあったのだが、0−0で終われば試合はどう転ぶかわからない。そしてそれは苦境の8連敗中に限らず、今季よく見て来た試合展開だったのである。

そんな試合展開の中、川崎Fは先制点を許す。56分に縦パスを奪われて自陣の深い位置で攻守が交代。決定的だった第一波は凌いだものの、セカンドボールを拾われた二次攻撃を防ぎきれず失点してしまう。典型的な負けパターンだった。

もともと流れの悪かった清水にしてみれば、そこで守備に注力するのはセオリー通り。65分に枝村匠馬に代えて村松大輔を投入し、ワンボランチだったカルフィン ヨン ア ピンと並べ、守備的な中盤の数を増やしたのである。

そんな清水の選手交代と、相手を圧倒しながらも先制を許す試合展開を目の当たりにし「今日もダメなのか?」と考える一方、ピッチ上の選手たちの動きががっくりと落ちることはなかった。選手たちはそこで冷静だったという。

先制点を奪われた後の戦いについて「慌てずにやれました」と口を揃えたのは、田坂祐介と井川祐輔。実際の所、チーム全体は落ち着いてプレーを続けていた。自信を失っているように見えた神戸戦やヤマザキナビスコカップの横浜FM戦とは見違える試合運びだったのである。

清水がディフェンシブな選手交代をしたこともあり、川崎Fは攻撃のトーンを強める。59分には、中村からのパスを受けたジュニーニョがGK山本海人との1対1を迎える。その2分後には、ジュニーニョを起点としたサイド攻撃で、田中裕介の絶妙なクロスを呼び込むが得点にはならず。

そんな中、相馬直樹監督が切った1枚目のカードは63分の山瀬功治から楠神順平への交代采配だった。楠神は、その交代出場からわずか2分後に決定的な仕事をしてみせる。

65分。ジュニーニョからのパスを受けた大島が左サイドをえぐってクロスを上げると、これを待ち構えていた楠神がシュート。GKが弾いたこぼれ球を蹴り込んだジュニーニョのシュートが相手DFに当たりゴールイン。川崎Fが同点に追いつく。

試合を振り出しに戻した川崎Fがホームでの2ヶ月ぶりの勝利を手にすべく攻勢に出る。しかし守備意識を高めていた清水を崩す事ができない。79分には「最後はクロスの攻防になる可能性」(相馬監督)を考慮して、ジュニーニョに代えて矢島卓郎を投入するが、この采配により試合展開が雑になってしまう。

ジュニーニョと小林悠のコンビでフィットしていた2トップでの戦いから、矢島と小林の2トップに戦いを合わせるまでに時間をロスしてしまった感があったのである。単純に彼を狙ってもよかったとは思うのだか、それでは精度の高いサッカーはできない。より可能性を高めるために、単純な蹴り込みサッカーとは一線を画した戦いを続けようとしていた事による時間のロスに思えた。

川崎Fが勝利への強い気持ちを前面に出すのと同様に、清水も勝利への意欲を見せる。74分に鍋田亜人夢に代えてユングベリを投入すると、そのユングベリが絡んだ攻撃で87分に決定的な場面を演出する。左サイドからのクロスを受けると、ゴール前のアレックスにラストパスを送るのである。対する川崎Fも90分に楠神がエリア内でダイレクトボレーを放つが、山本のファインセーブに阻まれてゴールならず。決まっていれば決勝点になったであろうこれらの場面に見られるように、勝つチャンスは川崎Fにも清水にももたらされていた。しかし、両チームとも試合を決め切ることができなかった。

「こういう試合を勝ち切るために必要なものは?」との筆者の愚問に、思考を巡らせて、真摯に「決定機に入らないのが勝てなかった理由です」と答えてくれた田中裕の言葉が全てであろう。そしてそれを自覚する小林の「悔しいです。自分たちのせいです。決めるところを決めないと」との言葉が重かった。

「試合内容は悪くはないが負けてしまう」からは半歩前進であろう。しかし、勝てない事実に変わりはない。勝利のために必要なものである得点を手にするには、パスを繋ぎ、ゴール前へとボールを運び、決定的な機会を作らなければならない。そして川崎Fは決定的な機会を作るところまではできている。あとは、それを確実にゴールに押しこむだけ。言うだけなら簡単なこの最後のステップを、どう乗り越えていくのか。おそらくはまだまだ改善できるポイントはあるのだろうと思う。それをとことんまで突き詰めて欲しいと思う。じわじわと背後から迫る他チームの動向も気になるが、後ろばかり見ていても仕方ない。

一方の清水は1点をリードした後、逃げ切り態勢に入りながら逃げ切れなかったという点で悔しさの募る試合だった。ただ、小野伸二や高原直泰といった選手がいない状況で勝点1を手にしたという点ではよくやったとも言えるのかもしれない。さらに言えば、川崎Fの攻勢をしのぎつつ、アウェイながら一時はホームチームをリードしたその試合運びを自信にしていいのだろうと思う。負けなかったという点を、次に繋げたい試合だったと言えそうだ。

以上

2011.09.25 Reported by 江藤高志
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