スカパー！生中継 Ch183 後02:50〜
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今季のＪ２リーグは、おそらく今節からの3連戦と、天皇杯を挟んで10月中旬から行われる5連戦で大勢を決すはずだ。まだまだ混戦が続くが、秋が深まる頃には昇格の可能性は数チームに絞られていくだろう。中2、3日でのゲームだ。いいサッカーよりも、勝点にこだわらなければいけない。つまり勝てるチームでなければ、生き残れない。
Ｆ東京は、失敗と成長を繰り返し、この連戦への備えを間に合わせた。きっかけは９月４日のホーム栃木戦だった。０−０で引き分けた、その試合後。不思議なことに普段なら引き分けでは、不満顔の選手たちが「ある程度、満足できる内容だった」と、話した。何らかの手応えと、収穫を得た試合だったことは間違いなかった。そして、続く京都、愛媛戦では、２戦合計11得点で大勝を収めている。変化は、確実なモノになって還ってきた。東京は、栃木戦を契機に次のステップを踏んだと言えるだろう。
ここ数年、Ｆ東京は、いいサッカーにこだわってきた。もちろん、それが間違ったことではない。ただ、いいサッカーは、あくまでも、勝利を挙げるための方法であることを忘れてはいけなかった。どこかでそれを履き違えてしまっていたのかもしれない。まさに、そうしたところを対戦相手に突かれ、Ｊ２降格という結果を招いた。
今季は、あまりに勝負にこだわりすぎたために、自分たちのサッカーを見失って苦戦した。そして、一から根気よく自分たちのサッカーを磨くことからやり直した。時間を掛けて、ようやくＦ東京のスタイルと呼べるパスを繋ぐサッカーを再構築して上昇曲線を描いたが、またもこだわりが先走ってしまう。8月下旬の栃木、富山と続いたアウェーゲームで今季初の連敗を喫した。そうやって失敗を繰り返しながら、ホーム栃木戦を迎えた。
見直したのは、球際の争い方や、前線からの守備だけではない。ゲームの入り方を大きく変えた。立ち上がりの相手は、体力的にも余裕がある。その相手にショートパスを無理やり繋ごうとしても、ボールを奪われて失点してしまう恐れがあった。そこで、プレスにくる相手に対して意図的に最終ラインから長いボールを活用するようになった。それによって前から来る相手を背走させて長い距離を走らせることに成功した。前からプレスを仕掛けられなくなると、丁寧にパスを繋ぐ普段のスタイルに切り替えて相手の体力を削り取った。その状況判断が、栃木戦以降は上手くいっている。
今節対戦する横浜FCは、岸野靖之監督が指揮する。「日本一走れるチームを目指している。だから、攻守にハードワークしてくる」と、大熊清監督は言う。彼らの代名詞は、前線からのプレスだ。ここ数試合のように、序盤は勝負に徹して長いボールも使いながら相手の体力を削りたい。ただ、横浜ＦＣは前節、２−７と東京Ｖに大量失点で敗れている。もしかすれば、ゲーム序盤から守備的に戦う可能性もある。そうなれば、最初からショートパスを繋いで、相手のポジションを崩す戦い方をしなければいけない。試合開始直後の横浜ＦＣの出方次第で、どちらのサッカーを選択するかを柔軟に切り替えなければいけない。
そして、彼らには、キングと、魔法使いがいる。国立男の異名も持つキングKAZUは「小学生の頃からのあこがれ。Ｊリーグの伝説」（中村北斗）「初対戦のときにナイスキーパーと言ってもらえて嬉しかった」（塩田仁史）「誰もがシザースを真似した」（石川直宏）、東京の選手たちにとっても特別な存在だ。そして、フランサには、Ｊ１や、カップ戦で何度も苦い思いをしている。一瞬の閃きや、感覚は決して錆び付いていない。「一瞬の隙を与えれば、仕事をされてしまう。90分間、隙を与えてはいけない」と、徳永悠平は話す。彼らは、ホームとアウェイの区別を無くすほどの存在感がある。スタジアムの雰囲気を一変させるため、絶対にゴールを許してはいけない。
Ｆ東京は、魅力的なサッカーをしつつ、勝てるチームへと変貌してきた。それを証明するには、横浜ＦＣは格好の相手だ。試合は明日15時、国立霞ヶ丘競技場でキックオフする。多くの人に、強さの真偽を見定めて欲しい。
以上
2011.09.24 Reported by 馬場康平
