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上昇一途をたどる17位・富山が、昨季Ｊ１の14位・京都をホームで迎え撃つ。ともにアグレッシブなプレーを持ち味としており、激しい攻防が予想される楽しみな一戦だ。
富山はＦＷ黒部光昭とＤＦ福田俊介が累積警告による出場停止。けが人が多い中でさらに攻守の柱を欠いて今節に臨む。しかし、毎試合スタメンが変わっているにもかかわらず最近５戦は３勝１分１敗と今季最高の成績を残している。今の充実ぶりなら、この困難をも簡単に乗り越えしまいそうに思える。
前節の栃木戦は２−１で快勝。前線からの連動したプレスを最後まで続け、上位を走るＪ昇格同期クラブを倒した。前々節の湘南戦ではリードしてから引いた守りになって逆転を許したが、この課題を直後の試合で克服してみせた。ここ数試合、勝点を伸ばしているだけでなく、これまでの問題点を次々と解決している。
安間貴義監督は「うちの選手はミスを何かのせいにして言い訳することがない。だから課題を克服して成長できる」と言う。戦術だけでなく、サッカーと真摯に向き合う姿勢がチームに浸透している。「（黒部、福田の）２人がいないことは痛いが、代わる誰かが試合までに必ず台頭してくる」と選手たちへの信頼を口にした。
22日の練習で行ったミニゲームでは、全員がスタメンを狙って積極的にプレーした。人とボールが休みなく動き、ＦＷ平野甲斐は「プレーしている自分たちが熱気を感じるほど。ゲームに迫力があった」と振り返る。監督の期待通りに選手たちのモチベーションは高い。メンバー選考について監督は「調子の良い者を使いたい。（出場停止の）２人と同タイプの選手をそのまま入れてもよいし、ポジションを動かしてもよい」。最終決断を待ちたい。
14位の京都は前節、３−１で草津を下した。前半24分までに３点を奪う強烈な先制パンチが利いた。17歳のＦＷ久保裕也がドリブルでの仕掛けとミドルシュートで２ゴールを挙げた。最近10戦は５勝２分３敗。若手が躍動してチームは軌道に乗っている。
率いるのは甲府時代に安間監督がコーチとして仕えた前日本代表コーチの大木武監督。テンポ良くパスをつなぐ攻撃、前線からのプレス、素早い攻守の切り替えなど、京都と富山に共通点が多いのは両監督のサッカー観が反映されているからにほかならない。ともに、エンターテイメント性あるサッカーが観客を惹き付けるだけでなく、選手の意欲と潜在能力を引き出すことを知っている。「レベルの高い京都の選手が（大木）武さんのサッカーに本気に取り組めばすごいチームになる」と安間監督。「前からどんどん行かせることで目指すサッカーを浸透させようとしている。Ｊ１から降格してきたクラブは周囲からの期待が大きくプレッシャーがある。そんな中で、若手を育ててチームを作り直すという難しい仕事。武さんが覚悟を決めて取り組んでいることが伝わってくる」と話している。
今回の試合には、大木監督＆安間コーチのサッカーに魅了された甲府サポーターも数多く足を運ぶ予定だという。
５月の前回対戦は０−０で引き分けた。前半は京都が主導権を握り、後半は富山が盛り返した。京都の立ち上がりの勢いはデータ的にも裏付けられており、前半15分までの得点「10」はリーグトップだ。富山はこの時間帯をしのぎ、粘り強く前半を守り切りたい。
京都の久保や19歳のＦＷ宮吉拓実とＭＦ伊藤優汰ら若きアタッカー陣はドリブルで仕掛けて単独で決定機をつくる力がある。富山のＭＦ谷田悠介は「なるべく１対１の状況をつくらせないよう、サイドでも数的優位をつくって対応したい」と話した。
ボールを巡って局地戦が激しくなることは必至だ。狭いエリアでの競り合いをいかに制してゴールに迫る回数を増やすか、前回対戦からの両チームの成熟度が問われる。
以上
2011.09.24 Reported by 赤壁逸朗
