9月23日(金) 2011 J1リーグ戦 第27節
名古屋 3 - 1 神戸 (14:03/瑞穂陸/15,987人)
得点者:4' 朴康造(神戸)、10' 田中マルクス闘莉王(名古屋)、61' 藤本淳吾(名古屋)、86' ケネディ(名古屋)
スカパー!再放送 Ch308 9/26(月)後07:00〜
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1ヵ月ぶりにして9月唯一のホームゲーム、さらには3戦ぶりの勝利がかかった大事な一戦で、ようやく名古屋に役者が揃った。前節で復帰した楢崎正剛に加え、負傷で2試合を欠場していた中村直志がスタメンに復帰。さらにはコンディションを上げてきた金崎夢生、そしてベテラン吉村圭司も戦列に戻ってきた。基本布陣であるアンカーを置く4−3−3の適任者たちがピッチに並び、ベンチメンバーも実力者が名を連ねた。何よりベンチには前節をスタンドから見守ったストイコビッチ監督が戻っている。まさしくベストメンバーといえる顔ぶれで、名古屋は神戸を迎え撃った。
立ち上がりからゲームを支配したのはアウェイの神戸だった。DFラインにまでプレッシャーをかける怒涛のハイプレスで、キックオフ直後から主導権を握った。リーグでも屈指のポゼッション力を誇る名古屋のパス回しをむしろ歓迎するように、神戸が次々と中盤あるいは敵陣でボールを奪い、素早く速攻に移る。前半4分に手にした先制点は、全員が前向きに守備を行い、守備から攻撃への切り替えをスムーズに行えたからこそ生まれたもの。こと前半に関して言えば、神戸の作戦はほぼ完璧に近かった。
だが、名古屋もただ手をこまねいていたわけではない。細かいパスワークに狙いを定めた神戸のプレッシングに対し、ロングボールを増やすことで最初の一手を打つ。その結果が10分の田中マルクス闘莉王の同点ゴールにつながるわけだが、これも前半の間はそこまで効果を挙げたとは言えなかった。ロングボールのほとんどは神戸のDFに跳ね返され、セカンドボールは敵陣でプレッシングを仕掛けていた神戸の選手に拾われた。45分間で放ったシュートは神戸の9本に対して名古屋はわずかに3本。いかに神戸が優勢を保っていたかがわかる数字だ。
後半もスタートからしばらくは神戸が主導権を握った。48分、49分と続けて決定機を作り、前半同様のプレッシングで名古屋のビルドアップを抑えにかかる。しかし前半と違ったのは、そこからの名古屋のロングフィードが、効果を増していたことだった。「後半はトゥさん(闘莉王)やマスさん(増川)からのパスが増えて、相手のラインを下げられた」と小川佳純は語る。DFラインが下がれば中盤も下がる。50分には中村直志のスルーパスに玉田圭司が抜け出し決定機を迎えたことで、神戸の守備組織は一気に後退させられた。
そして試合を決める2点目が名古屋に生まれる。61分、ストイコビッチ監督が攻撃のテコ入れに金崎夢生と永井謙佑の同時投入を決めた直後、交代選手である背番号8が輝いた。オーバーラップした田中隼磨から右サイド深くでパスを受けると、DF二人をかわして中央へ。軽く振り抜かれた左足から放たれたボールはGKの手をすり抜けるようにして、逆サイドネットへと吸い込まれた。「自分の好きな形でした」と語るテクニカルなゴールは、結果的にこの試合の決勝点となった。
その後のピッチは名古屋の独壇場となった。金崎と永井が入ったことで、布陣は4−3−3から4−2−3−1へと移行。小川とダニルソンのダブルボランチが中盤のフィルターとなり、金崎、玉田、永井の2列目が前線で自由にポジションチェンジを繰り返す。特にこの日は永井と金崎のコンビプレーが高い効果を見せた。65分、73分と連続して決定的なチャンスを演出すると、86分には永井がDFふたりをドリブルで置き去りにし、柔らかいクロスでケネディのゴールをアシスト。終了間際には金崎が二度のチャンスを迎えるなど、金崎と永井のコンビはチームの新たな攻撃オプションとして、期待させるに十分な活躍を見せた。
見事な逆転劇で3戦ぶりの勝利を手にした名古屋だったが、試合後の選手は不満顔だった。小川、そして闘莉王は「勝ったことだけが良かった」と話す。ハーフタイムには監督に喝を入れられ、ポゼッションではなくロングボールに活路を見出すことしかできなかった戦況を振り返れば、満足などできないのも当然だ。それぞれの主張も様々で、「もう少し裏を狙うオプションを持たなければ」と闘莉王が状況判断に課題を求めれば、玉田は「ああいうハイプレスも逆手にとれるといいんだけどね。できると思う」とポゼッションへの自信を崩さない。好対照な彼らの意見はどちらも正論で、どちらが正解ということもない。問題はその時に実行できるか否か、そしてどれだけ効果的なオプションを選択できるかということだけだ。
勝ってなお課題ばかりが口を突く。しかしながら、これは名古屋にとって悪くない状態だ。危機感と隣り合わせの中、一戦一戦への集中力を高めていった昨季と重なるのである。次戦は闘莉王が累積警告で出場停止となるため、なおさらに危機意識は高めなければならない。油断を排除し、ピッチ上の事象に集中する。しかし忘れてはならないことを、玉田は最後に付け加えた。
「(優勝を意識して)ちょっと固くなってる。サッカーを楽しむ気持ちを持たないと。ボールが来るのが怖いとか、そういうプレーが多少見えてきている。プレッシャーがかかるのはわかるんだけどね」
これで名古屋は暫定ながら2位に浮上。次戦の舞台は昨年、玉田のハットトリックなどで大勝した清水のアウスタだ。あの時のような伸び伸びした攻撃サッカーを表現し、さらなる上位獲りを果たせるか。自然体の名古屋に期待が集まる。
以上
2011.09.24 Reported by 今井雄一朗
J’s GOALニュース
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