9月23日（金） 2011 J2リーグ戦 第29節
草津 1 - 1 大分　（16:04／正田スタ／2,864人）
得点者：49' 御厨貴文（草津）、85' イドンミョン（大分）
スカパー！再放送 Ch182 9/24（土）深01:00〜
☆totoリーグ秋の大感謝祭☆開催中！
----------

虎の子の１点を守りきれなかった。後半早々セットプレーから１点を奪った草津だったが、終盤に痛恨の失点を喫し、白星はドローへと摩り替わった。試合後会見で草津副島監督は「こういうゲームをモノにする精神的な力がチームには必要だ」とため息まじりに答えた。13位草津は９位大分を倒して上位追撃の号砲を上げたかったが不発となった。肌寒さを感じた試合後のスタジアムは秋の予感が漂っていた。

草津は、小林竜樹をトップに配置、後藤涼を２列目に下げる布陣で大分を迎え撃つ。「高さのある大分の３バックに対して小林の機動力を生かしたかった」（副島監督）。さらに７試合ぶりに起用されたCB中村英之が大分FW森島康仁にマンマークで対応。３−４−３の攻撃的なシステムを組む大分に対して、草津は攻守の対策を練ってゲームへ入った。

ただ草津が描いた目論見は、想像を超える大分の迫力によって根本から崩れてしまう。草津は、前線から激しい圧力を加えてくる大分のプレスに自由を奪われ攻撃が組み立てられない。不安定なビルドアップからボールを奪われると、空いたスペースへと次々に走り込んでくる大分の選手をつかまえられずに防戦一方。ゴールこそ奪われなかったが再三に渡り決定機を作られロープ際に追い込まれながら、ハーフタイムのホイッスルを聞く。

劣勢の中、草津は起死回生の一針を大分の急所へと突き刺す。後半早々の49分、右サイドを突破した古林将太がライン際でファールを誘いFKを得る。「大分の守備をみて絶対にハマると思った」というキッカー熊林親吾がトリックプレーを決行、ゴールへ向けてグランダーのボールを送る。ニアへ入った永田拓也がプラン通りに相手を引き付けてスルーすると、フリーになった御厨貴文が右足で合わせて今季初ゴール。「（トリックプレーは）クマさんから指示が出ていた。タイミングを合わせてうまく決めることができた」（御厨）。草津はワンチャンスを決めてゲームをひっくり返す。

息を吹き返した草津はその後、大分の反撃をゴール前で必死に凌ぎながらカウンターで応戦、逃げ切りを図る。だが攻撃のギアを上げて猛攻を仕掛けてきた大分に次々とシュートを打ち込まれる。選手交代とポジションチェンジによって迫力を増す大分は終了間際の85分、三平和司の絶妙なアーリー気味のクロスに、前線へ上がっていたイドンミョンがヘッドで合わせて同点ゴール。GK北一真は「それまではなんとか防ぐことができていたがあの１点だけは完全にやられた。あの時間まで守れていたので勝ちたかった」と悔やんだ。守る草津、攻める大分がしのぎを削ったゲームは痛み分けとなった。

３−４−３のシステムで攻撃的な戦いを実行した大分は、３バックまでもが果敢に攻撃参加するなどリスクを負った清々しいサッカーを演じてみせた。西弘則、三平和司はもちろん途中出場した為田大貴らが強烈な個性を発揮。田坂監督のもと若い選手たちが能力を伸ばす下地が出来上がっている印象を受けた。この日のメンバー平均年齢は草津の26.50歳に対して大分は23.06歳。若いタレントが揃うチームはシーズン終盤さらに成長することだろう。

３試合連続で白星から遠ざかる草津はリズムがつかめないゲームが続いている。シーズン序盤と比較して攻撃的なスタイルが影を潜め、チームとしてまた個人としてもゴールへ向う推進力が薄れている。このドローで草津の昇格戦線参入は非常に難しい状況となった。その重みを選手がいかに感じたのか。チーム全体に漂い始めた停滞感を払拭しなければ残り12試合を乗り切ることはできない。

以上


2011.09.24 Reported by 伊藤寿学