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【ヤマザキナビスコカップ 浦和 vs 大宮】レポート:ピッチで躍った! 浦和が今後に光となるサッカーを披露して大宮に勝利(11.09.15)

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9月14日(水) 2011 ヤマザキナビスコカップ
浦和 2 - 0 大宮 (19:30/埼玉/13,036人)
得点者:52' マルシオリシャルデス(浦和)、65' 原口元気(浦和)
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浦和の選手たちが躍動した。「今日は久しぶりにサッカーをしたという感じがある」と柏木陽介が目を輝かせたように、この日の浦和は呪縛から解き放たれたかのようにイキイキとプレーしていた。山形戦(リーグ戦第25節)の惨敗を受け入れ、やるしかないと吹っ切れた部分もあったのだろう。選手たちは自ら動いて何をすべきか確認し合い、結束した力を大宮にぶつけた。

「流動的にやらないと勝てない、点が入らないと思っていたので、昨日や試合前に話していた」(柏木陽介)

これまでの浦和は型にはまりすぎて身動きが取れなくなる場面が目立ったが、この日はピッチを自由自在に走り回った。与えられた役割をこなすことだけ考えるのではなく、状況に応じて自分たちで判断してプレーした。選手たちは流動的に動き回ることでマークのズレやパスコースを作り出し、相手を揺さぶった。

最初からうまくいったわけではない。「前半は今までのサッカーが頭のなかにあって、なかなか思うように動けなくて慌てた部分もあった」と山田直輝が振り返ったように、序盤はギクシャクして噛み合なかったり、テンポが速すぎてミスが出る場面も見られたりした。

大宮もスタートから前に行く強気の姿勢を見せたため立ち上がりからオープンな試合になり、「前半はどっちが先にやるかみたいな感じで、どっちもシュートまで行っていた」と片岡洋介が話すように、どちらが先に点を取ってもおかしくない試合だった。

52分にマルシオ リシャルデスのPKで浦和が先制したが、それは大宮にとっては悔やんでも悔やみ切れないミスから生まれた。PKか直接ゴールかという違いはあれど、DFラインでのパスミスを奪われた結果の失点という、まさにG大阪戦で見せたのと同じような種類の致命的なミスでビハインドを負った。「今日はG大阪戦と同じような負け方をしてしまったので悔しい」と東慶悟は唇を噛んだが、大宮からすれば本当にもったいない失点だった。

この先制点で浦和は勢いに乗り、リズムをつかんで優勢の度合いを強めていく。そして65分にはリスタートから小島秀仁が高めに設定されていた相手DFラインの裏にボールを送り、タイミング良く飛び出ていた原口元気が絶妙なトラップからGKとの1対1を制した。

浦和は大宮に2−0で勝利したが、この試合が持つ意味は大きい。選手たちはリーグ戦で苦境に立たされたことで1つにまとまった。この苦しい状況から抜け出すためにどうすればいいのか。選手たちは考え、1つの答えを出した。試合後、多くの選手たちから「流動的」というキーワードが聞こえてきたが、それが彼らの出した回答であり、自分たちが信じた方向性を貫いて結果を出したことは今後に向けてプラスになるはずだ。

「また新しいやり方を1つ手に入れたと思う」と山田直輝は言う。実際、そのプレースタイルは昨季の戦い方に近い馴染みのあるだったが、今季ここまでトライしてきたやり方でなかなかうまくいかないなか、それまでとは異なるアプローチで結果を出したことで“新しい”可能性は広がった。「自分たちがボールを持っている時に動きがよかった」と指揮官も手応えを感じていた。

ペトロヴィッチ監督の采配も冴えた。エスクデロ セルヒオの1トップ起用は当たりだった。「僕の特徴なので、そこでは絶対に負けない」と自信を見せるキープ力を生かし、体を張ったプレーでボールの収まりどころになっていた。シュート精度は大きな課題として残ったが、そのマイナス分を補って余りある貢献度だった。前線で起点を作れることで、流動的に動く中盤の機能性も高まっていた。泣き所だった最前線の駒に目処が立った意味でも、この試合の意義は小さくない。

小島秀仁の抜擢も奏功した。高卒ルーキーは久しぶりの試合とは思えないほど落ちついたプレーを見せ、攻守に効いていた。柏木とボランチコンビを組んだが、「陽介くんのプレースタイルはわかっているし、陽介くんが前にいくので自分はバランスをとってゲームメイクに専念しようと思っていた」とクレバーなプレーで年上の相方を支えた。

浦和がこの試合で得た収穫は大きい。もしかすると勝利という結果以上に。「若い選手のパフォーマンスを見ると浦和の未来は明るいと自分は思う」と指揮官が話したように、才能ある若武者たちがここ最近の方向性とは違った道筋を照らし出してくれた。あとはこれを一過性のものにしないためにも、この日につかんだものを再確認し、リーグ戦にもつなげられるようにしていきたい。

一方、大宮も何度かチャンスを作るなど明るい材料はあったが、全体的にパスをつなごうとする際のミスが多かった。特に1失点目の場面のように、後方でのパス回しをカットされてピンチを招く場面が何度かあり、早急な修正が必要だ。ライン設定の高さとリスクマネジメントのバランスを取る必要もあるだろう。

以上


2011.09.15 Reported by 神谷正明
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