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【J2:第27節 札幌 vs 栃木】レポート:虎の子の1点を守り切った札幌がホームで見事な勝利!順位を2位に上げ、今シーズン初の昇格圏内入りに成功。一方の栃木は4位に後退。(11.09.12)

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9月11日(日) 2011 J2リーグ戦 第27節
札幌 1 - 0 栃木 (13:04/札幌厚別/10,110人)
得点者:5' ジオゴ(札幌)
スカパー!再放送 Ch183 9/12(月)後03:00〜
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立ち上がりは札幌が攻勢をかけた。2分に右サイドから近藤祐介がオープニングシュートを放つと、3分には岩沼俊介が続く。「前半に少し、相手の勢いを受けたような形になってしまったのが残念」と栃木の松田浩監督が振り返ったように、開始直後は札幌が積極的に仕掛けて、栃木がそれを受け止めるといった展開となる。そして5分に札幌が左サイドで得たFKからジオゴのヘッドで先制し、早い時間帯からゲームのシチュエーションに大きな変化が生まれてしまったのである。

チームのスタイルとしては、札幌は高い位置から連動したプレスを仕掛け、そこで奪ったボールを素早く動かしてショートカウンターを繰り出すというもの。一方の栃木は4−4−2のシステムでしっかりと守備ブロックを作り、相手が進入してきたところで一気に囲い込み、そこからのターンオーバーでスピードのあるカウンターを仕掛ける堅守速攻のスタイル。前節のF東京戦でも相手の強力な攻撃をしっかり受け止めながら、リカルド・ロボを軸としたカウンターで何度も相手を慌てさせていた。

しかし、札幌が先制点を挙げたことでゲームのバランスは大きく一変することになる。なにしろアウェイの栃木の堅守速攻は、相手チームが前に出てきてくれてこそ威力が増す戦術。先制点を奪った札幌は、リードをしている限りは必要以上に前に出ていく必要はない。むしろ、同点を狙って栃木が前に出てきたところで、逆にカウンターを見舞えばいいわけである。つまり栃木にとっては難しいシチュエーションであり、同時に彼らの能動的な攻撃力、つまり、自分たちで攻撃を組み立て、人数が揃った相手守備をどれだけ崩せるのかが問われる展開にもなっていた。

そうしたなかで松田監督がハーフタイムに打った策は、まずは的確かつ堅実なものだった。守備的MF小野寺達也に代えて左MFの位置に河原和寿を投入し、左MFだった高木和正を守備的MFの位置にスライドさせたのだ。

河原は縦に突破できるだけでなく、内側に切れ込んでシュートを打つこともできるアタッカー。そして左サイドで攻撃の起点作りを担っていた高木も守備的MFとして残すことで、攻撃的な選手を増やしながらもシステムバランスは崩さない。リスクマネジメントをしながら攻撃のパワーバランスを上げる的確な采配を行った。得点は欲しいが、カウンターを受けて追加点を奪われてしまっては勝負が決まってしまう可能性がある。そうした状況下での最良のベンチワークをしたと言っていいだろう。

そして、このベンチワークによって徐々に栃木がゲームをコントロールするようになる。リードを持つ札幌があまり前に出ていく必要がなくなったこともあって、多くのプレーが栃木のボール保持から開始されていた。

ただし、栃木にとって残念だったのは中盤の軸であるパウリーニョを出場停止(および負傷)で欠いていたことだ。栃木のセンターバック、渡部博文と大久保裕樹は守備のパワーこそあるものの、パスさばきの得意な選手ではない。また、サイドバックにボールをつけても、こちらも上下運動をするスタイルの選手であって攻撃の組み立てが得意な選手ではない。結果、独力で敵陣までボールを運ぶことのできるパウリーニョがいないことで、栃木は前線にダイレクトでハイボールを蹴る攻撃がメインとなってしまった。「パウリーニョと同じことをやれる選手はいない」と松田監督も、中盤のキーマン不在について言及をしている。

そうしたゲーム展開で存在感を示したのが札幌の守備陣だ。栃木のハイボールに対して、山下達也、櫛引一紀が体を張ったエアバトルで対応。サイドからのボールにも左右サイドバックが内側に絞ってしっかりとケア。GK李昊乗の思い切りの良い飛び出し、シュートストップも加わって、栃木の攻撃をシャットアウトしていた。

ベンチの石崎監督も、押し込まれた状態になっても安易に守備の人数を増やすのではなく、トップ下とアウトサイドにキープ力のある岡本賢明、古田寛幸を投入し、ボールを奪った際の保持時間を少しでも長くすることでチーム全体の守備を安定させたのだ。そして、1−0のスコアのまま、タイムアップの笛を聞くことになる。

この結果により、勝点を43へと伸ばした札幌が2位へと浮上。栃木は4位へと後退し、J2はさらに混戦の様相を呈してきた。もちろん、石崎監督が言うように「一番大事なのは、シーズン終了時の順位」であることは間違いない。とはいえ、それを理解しながらも、毎週のように目まぐるしく入れ替わる順位に一喜一憂するのもまた、サッカーの楽しみ方のひとつかもしれない。これから秋そして冬にかけて、リーグの姿はどのようなものになっていくのか。試合を重ねるごとに、面白くなっていきそうだ。

以上

2011.09.12 Reported by 斉藤宏則
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