9月10日（土） 2011 J2リーグ戦 第27節
千葉 3 - 3 鳥栖　（19:03／フクアリ／8,680人）
得点者：37' 深井正樹（千葉）、40' 深井正樹（千葉）、45'+2 木谷公亮（鳥栖）、56' ファンゲッセル（千葉）、68' 國吉貴博（鳥栖）、90' 呂成海（鳥栖）
スカパー！再放送 Ch181 9/12（月）前10:30〜
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前節までの勝利なしの４試合（２分２敗）での千葉の得点は２。それを考えれば１試合３得点の数字からは攻撃面の改善が感じられるが、攻撃全体の内容はまだまだだった。そして、３点を取りながら勝てなかったのは、千葉の試合運びのまずさによるものが大きい。

前半の千葉は、鳥栖の攻撃でサイドにボールが入った時のアプローチが速く、サイドで優位に立った。６分には左サイドバックのＤＦ坂本將貴のロングパスに合わせて右ウイングのＭＦ太田圭輔がペナルティエリアに走り込み、得点機を作った。その後も長くボールを保持し、縦のロングパス、サイドチェンジのパス、中盤でのつなぎのパスを織り交ぜて攻撃を組み立てたが、テンポが遅いために鳥栖の守備網を破れずシュートで終われない。

一方、サイドでなかなか起点が作れない鳥栖は16分、ＭＦ藤田直之のロングパスに合わせてＦＷ豊田陽平がディフェンスラインの裏に飛び出すが、千葉のＧＫ岡本昌弘との一対一の決定機は岡本が好セーブ。しかし、このあとから中央での仕掛けで千葉陣内に入り込み、ミドルシュートやＦＫからの攻撃で千葉ゴールに迫った。

鳥栖がチャンスを作り始めたが、先制したのは千葉だった。37分、ＭＦ村井慎二のＦＫのクリアボールを拾ったＦＷ深井正樹が、すかさずシュートしてゴール右隅に決めた。さらに深井は１分後に鳥栖の選手をかわしてドリブル突破からシュート。これはサイドネットの外だったが、40分には村井のクロスのクリアボールに左足のジャンピングボレーで合わせて２点目。この試合の深井は攻撃だけでなく、ボールを懸命に追った守備も光った。
鳥栖に嫌なムードが漂い始めたのを一蹴したのが、前半アディショナルタイムのＤＦ木谷公亮の素晴らしい直接ＦＫでのゴールだった。だが、追いすがる鳥栖を、千葉は56分にＭＦファン　ゲッセルが豪快なミドルシュートを決めて突き放す。ＦＫでの失点はあったし、細部には問題点があったものの、３−１とした時点までの千葉の試合運びは勝ちゲームのものだった。だが、このあと、千葉は３を手中にしかけた勝点を自らこぼしてしまう。

鳥栖は59分から出場したＭＦ國吉貴博の積極果敢なプレーが奏功した。千葉は65分過ぎ頃から、前半はうまく上げ下げしたディフェンスラインが下がり、全体も下がった。「後ろ（守備）の選手が下げたいと言った」（深井）ためだが、疲労もあってか千葉の選手の足が止まり始める。ボールへの反応が遅れるが、千葉のドワイト監督は動かない。68分、マークが外れて抜け出した豊田のシュートは岡本がセーブするも、こぼれ球にいち早く反応したのは國吉。さらに鳥栖は70分、藤田のクロスに逆サイドの國吉がフリーでヘディングシュートしたが、岡本が俊敏な反応でセーブ。だが、流れは完全に鳥栖のものだった。

千葉は大島秀夫しか残っていない前線への精度の低いロングパスが多くなり、ボールを保持できずに鳥栖に押し込まれた。83分、ドワイト監督が村井に代えて入れたサイドプレーヤーのＭＦ渡邊圭二は一度サイドを突破してチャンスを作りかけたが、流れを引き戻す仕事ができるタイプではなかった。疲労で選手はロングパスが精一杯なら、それを収められるタイプのＦＷ久保裕一やＤＦの背後に飛び出してパスを受けられるＦＷ青木孝太を入れる策もあったと思う。『跳ね返されて攻められる』の繰り返しでは苦しくなる一方だった。

ゴールへの執念を燃やす鳥栖は、90分、クリアボールを拾った國吉のシュートをＤＦ呂成海がコースを変えて同点。連勝は４で止まったが、２点差を追いつく粘り強さを見せた。

選手がパスをつないでシュートで終わろうとするもできず、ドワイト監督は消極的な采配で、千葉は直近４試合の中の２つの引き分けと同様に追いつかれた。選手と監督が勝つための試合運びに必要なことをしなければ、試合中はリードできても最後に勝つのは難しい。

以上

2011.09.11 Reported by 赤沼圭子