9月10日（土） 2011 J2リーグ戦 第27節
北九州 1 - 1 徳島　（18:03／本城／4,021人）
得点者：53' 関光博（北九州）、60' 柿谷曜一朗（徳島）
スカパー！再放送 Ch185 9/11（日）深02:00〜
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２連敗中の徳島と３戦続けて引き分けの北九州の対戦。勝ちきれない試合が続く理由が図らずも見えてしまう試合となった。「北九州にもチャンスがあったし、我々にもチャンスがあった。どちらも決められなかった部分があり１対１というのは妥当な結果」（美濃部直彦監督）。試合が終わった以上、『決めていれば』という後ろ向きの振り返りは不要かもしれないが、決定的なチャンスをものにできないと勝点を分かつやじろべえは「３」には振れない。

前半は互いの守備が機能した。ＦＷに林祐征ではなくＤＦ出身の長野聡をチョイスした北九州は「セカンドボールへの反応、ファーストアプローチの厳しさ、激しさ、集中力、そしてスピーディーな切り替えが前節よりも良かった」（三浦泰年監督）。得点力こそ落ちてしまうが、長野が素速くプレッシャーを掛けに行き徳島の出足を遅らせた。徳島も攻撃陣から守備の意識は徹底。佐藤晃大、津田知宏の両ＦＷも積極的にボールホルダーにアプローチした。

その結果、前半は30分近くまでペナルティエリア内でのプレーがほとんどなかった。しかし時間とともにプレッシャーが弱まってくると、決定的なチャンスが何度も訪れるようになる。34分には橋内優也の右サイドのクロスから佐藤晃大がダイビングボレー。36分には北九州・木村祐志のゴール前へのスルーパスに長野が抜け出してゴールを狙った。いずれも惜しくも枠を捉えられず、前半が終了。

ハーフタイム。
ざわめいたままのメーンスタンドから空を見上げると、秋めいた丸い月が霞の向こうに見えていた。

後半の立ち上がりでリズムを掴んだのは前線への供給スピードが上がった徳島。48分には左からのコーナーキックに島村毅が合わせるもクロスバーの上、その直後にも佐藤晃が左サイドをえぐっていくがセンタリングが合わずチャンスを逸してしまう。
その徳島の時間帯にゴールネットを揺らしたのは北九州だった。バランスを失い気味の徳島のボランチと最終ラインの間でボールを引き出した安田晃大が右サイドのフリースペースに入ってきた関光博にパスを送る。関はＤＦと対峙しながらも、巧みなドリブルでひらりとかわして左足でミドルシュート。ＧＫも及ばずポストに当たりながらゴールに吸い込まれた。関は２試合連続ゴール。「ディフェンスだけど中盤のように前に前にやっていければ相手も嫌だと思う」と話す関の積極姿勢が呼び込んだ先制点だった。

ただ北九州はこのリードを守りきれない。60分。北九州は安田と池元友樹が絡んでチャンスを作っていたが、その前のめりになっていたところを突かれてしまう。徳島・橋内が右サイドをドリブルで突破。北九州は守備陣形が整わず、その橋内のクロスに抜け出した柿谷曜一朗がヘディングで鮮やかに同点ゴールを決める。

その後の時間帯は、徳島にも、北九州にも決定的な場面が何度も訪れるが、徳島は衛藤裕のミドルシュートがクロスバーを叩いたり、北九州は終盤の波状攻撃も実らず、結局、１−１のドローゲームに終わった。

チャンスに決めきれなければロースコアのゲームになるのは当然。その中で「集中したスピーディーなサッカーができた」と三浦監督が振り返るように、関の得点場面をみても北九州は十分に手応えを得た試合だった。あとは、霞の向こうの勝点３を得るための決定力を磨きたい。シュートが枠を捉えるという精度ももちろんだが、もう少しリスクを負った攻撃をしたり、ためらわずにシュートに行くことも必要。打たなければゴールには入らない。

徳島は流れを変えるべき選手としてディビッドソン 純マーカスを74分に投入したが、ラフプレーから86分と87分に連続してイエローカードを受け退場。コンタクトプレーの多いイライラの募る試合だったとはいえあまりにも勿体ない。ディビッドソンは猛省しなければならないが、この一件が示すように徳島はメンタル面の弱さが垣間見えた。昇格がかかるチームにとってこれからの時期は今日のような苛立たしい、難しい試合が増える。徳島にはそれに耐えうるだけのチーム力が求められている。

以上

2011.09.11 Reported by 上田真之介