スカパー！生中継 Ch184 後05:50〜
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「相手や結果を恐れてビクビクするのではなく、メンタル面を充実させて、自信を持って戦う必要がある。ここまで結果は出ていないし、順位も最下位。けれど、戦う以上、そういう気持ちを持っていないと勝てない」（丹羽大輝）。前節の鹿島戦で受けたショックを払拭し、いかにメンタル面を戦える状態に戻すか。それが、この２週間の福岡の最大のテーマだった。そんな中、浅野哲也監督がチームに求めたのは、自分たちの戦い方をもう一度確認し、徹底することだった。
「（鹿島戦で）６失点したからには原因がある。防げた失点は当然あるし、それはメンタル面を含めて修正できる範囲。やり方を変えたり、新しいことを取り入れるのではなく、自分たちがやって来たことを、もう一度確かめようということ」（浅野監督）。
奪われたら、もう一度奪い返しに行く。周囲と連動してボールを追い込んでいく。遠いところから素早く正しいポジションへ戻る。それは守備の基本の徹底と言えるが、同時に、いい守備をベースにして、自らが仕掛けていくサッカーを志向する福岡の原点とも言えるものだ。そこには、自分たちのプレーに立ち返ることで、やるべきことを改めて整理しようとする狙いが見える。そして福岡は、戦う準備を整えてラスト10に臨む。
その初戦の対戦相手は横浜FM。勝点47で首位のＧ大阪に３差に迫る３位に位置し、木村和司監督のもと、７年ぶり４度目のリーグ優勝を狙っている。最大の特長は、仙台に次いでリーグ２番目の失点の少なさ。中澤佑二、栗原勇蔵の不動のＣＢに穴はなく、中盤の底では、中澤、兵藤慎剛と並んで、全試合先発フル出場を続ける小椋祥平が相手のチャンスの芽を積んでいく。そして、統制のとれた守備ブロックは滅多なことでは崩れない。昨シーズン、８位という不本意な成績に終わったチームが優勝争いの真っただ中にいるのは、この堅固な守備によるところが大きい。また、攻撃陣に目をやれば、一瞬にして相手の裏を陥れる大黒将志や、スピードあるドリブルを武器に、常にゴールへ向かう高い意識を持ってプレーする小野裕二の他、流れを変える切り札として余りある活躍を続けるキム クナンら、強烈な顔ぶれが揃う。
その横浜FMに不安材料があるとしたら、中村俊輔不在の影響か。中村を欠いて戦った前節は、中盤でアクセントをつけられずに、前線にロングボールを送る単調な攻撃に終始。守備こそ相変わらずの安定感を見せたが、攻撃が活性化せずにスコアレスドローに終わった。首位Ｇ大阪や２位の名古屋とデッドヒートを演じている現在、福岡との試合では勝点３が必要だが、木村監督が攻撃面をどのように修正してくるのかが興味深いところだ。
もちろん、福岡にとっても絶対に落とせない試合であることに変わりはない。現在、Ｊ１残留圏内に留まる15位の大宮との勝点差は16。残留を現実のものにするには、残された10試合すべてに勝って、大宮の結果を待たなければならない立場にあるからだ。求められるのは、第21節の川崎Ｆ戦で見せた姿勢。球際で負けず、走力で上回り、抜かれても、抜かれても、他の選手がカバーに回る。あの魂の戦いとも言われた試合を再現することで初めて、勝利への可能性が広がる。
「怖がったら確実にやられてしまう。押し込まれる時間帯はあるだろうが、前線からプレッシャーをかけ、それに連動して、粘り強く、泥臭く守らないといけない。そして、こちらが主導権を奪うために、自分たちで仕掛けて、ボールを奪いに行くという姿勢を、90分間出し続けたい。横浜FMは３位だが、すべての試合で勝点３を取らなければいけない我々にとって、相手の順位は関係ない。相手に向かって行くという意味では、川崎Ｆ戦のようなゲームをすることが最低限になる」（浅野監督）
先制点をやらないこと。そして、奪ったボールを素早く攻撃につなげること。それが横浜FMの守備網を崩す最大のポイントだ。
そして、ホームの力を結集することも勝利への条件。スタジアム全体がひとつの意思で結ばれ、ともに戦うことで福岡の勝利が見えてくる。ここからは総力戦。ただ目の前の１戦だけを見つめてスタジアム全体で戦いたい。我々の想いはどれだけのものか。それをサッカーの神様は見ているはずだ。
以上
2011.09.09 Reported by 中倉一志
