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【J2:第4節 水戸 vs 札幌】レポート:“ほんのちょっと”が足りなかった水戸。苦しいときは続くが、ここで道を見失ってはいけない。勝利した札幌は昇格争いに名乗りを挙げる!(11.09.04)

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9月3日(土) 2011 J2リーグ戦 第4節
水戸 1 - 2 札幌 (18:04/Ksスタ/2,748人)
得点者:6' ジオゴ(札幌)、45'+1 ロメロフランク(水戸)、51' 砂川誠(札幌)
スカパー!再放送 Ch183 9/4(日)後00:30〜
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試合終了間際、右サイドCKをゴール前の遠藤敬佑が合わせる。ボールはクロスバーに当たり、地面にたたきつけられた。一瞬ゴールかと思われたが、ゴールラインを割ってはおらず、そのままゴールの外へとはじきかえされてしまった。ほんの数cmずれていれば、違う結果となっていたことだろう。
しかし、その“ほんのちょっと”が勝負の世界では命取りとなる。シュート17本対5本という数字が示すように、90分を通して主導権を握ったのは水戸であった。しかし、またしても“ほんのちょっと”が足りずに、水戸は敗戦を喫してしまった。

6分、水戸が勢いよく攻めた隙を突かれてしまった。左サイド、保崎淳とのワンツーで飛び出した西岡謙太がクロスを上げる。ゴール前、鈴木隆行がDFを背負いながらボールをキープし、村田翔へバックパスを送る。村田がボールを受けようとしたところ、札幌の選手に激しくプレスをかけられてボールをカットされてしまう。そこからの速攻、左サイド砂川誠のクロスをジオゴに叩き込まれ、先制を許してしまった。札幌のカウンターの精度の高さが光った場面であったが、ポイントは村田がボールを奪われた場面だろう。きわどい球際の争いで勝っていれば、水戸が札幌ゴールを脅かしていたに違いない。だが、そこで負けたことが失点につながってしまった。

2失点目もわずかなプレーが引き金となった。相手陣内でのFK、DFラインを上げるのが一瞬遅れ、その裏のスペースをジオゴに突かれ、右サイドからの折り返しを砂川に決められてしまった。最終ラインがしっかりとジオゴに対応していれば、やられることのなかった場面であった。
「何かパワーが足りない、意欲が足りない、気持ちが足りない。全体的にちょっとずつ足りないのが大きな差になっている」と柱谷哲二監督は語った。これまで喫した12敗中10敗が1点差であり、1試合がアディショナルタイムに2失点喫したもの。つまり、シーズンの半分以上が過ぎた段階で手も足も出なかった試合はわずか1試合のみ。“ほんのちょっと”の差に水戸は泣き続けてきたのである。その積み重ねが、18位という“大きな”低迷に結び付いてしまっている。

しかし、その“ほんのちょっと”の差こそが、水戸の可能性でもある。その差を隠す戦い方はいくらでもあるだろう。守備を固めて、相手のよさを消してカウンターを狙う受動的な戦い方をすれば、もっと勝点を稼いでいたに違いない。だが、今季の水戸の使命は目先の勝利だけにこだわることではない。今後、「水戸のサッカーはこれだ!」ということを示すための基盤を作っている最中。勝利のために戦い方を変えるのではなく、自分たちのサッカーを高めていって、相手より上回って勝利を手にすることを主眼に置いたチーム作りが行われている。

今節も上位につける相手に対して、水戸は真っ向勝負を挑んだ。前線から連動したプレスをかけ、ボールを奪ってからポゼッションしながら攻め立てた。そして、前半終了間際、右サイド鈴木隆からゴール前に送られたボールを受けたロメロ フランクが相手を振り切ってシュートを放ち、同点に追いつくことができた。それ以外にも多くのチャンスを作った水戸。相手がどこだろうと、戦い方を変えず、攻撃サッカーを貫いている。だからこそ、“ほんのちょっと”の差として、自分たちの本物の力を知ることができているのだ。

ご存じの通り、水戸は補強をしてチーム強化できる経営状況にない。それならば、若い選手たちを育てていくしかないのだが、それには魔法はない。様々な痛みを乗り越えることで、たくましく力をつけていくしかないのである。
結果が出なくて苦しい状況が続いている。それはプロとしては許されないことだ。しかし、ここで進むべき道を見失ってはいけない。今が若い選手たちが“本物の”プロに脱皮できるかどうかの瀬戸際である。この悔しくて悔しくて悔しい思いを次にどうつなげるか。そこに水戸の未来は懸っている。もう少しの我慢と辛抱の先に本当の笑える日が待っているはず。夜明けは、あと“ほんのちょっと”のところまで近づいている。

「厳しい戦いだったけど、勝ててよかった」と試合後、砂川が胸をなでおろしたように、札幌にとっては大きな勝点3となった。前節岡山戦では守りを固める相手をこじ開けることができずに敗戦。昇格争いをするためにも、今節は絶対に勝たないといけない試合であった。

6分にカウンターから先制するものの、「1点先に取って少し消極的になってしまった」(砂川)札幌。その後は水戸のアグレッシブなサッカーに対して後手に回ってしまう苦しい展開を強いられた。前半終了間際にゴールを決められて同点とされるが、後半開始早々に追加点を挙げて再び突き放す。終盤には水戸の猛攻を浴びるも最後まで集中を切らさずに守り抜き、勝点3を獲得したのであった。これで暫定4位に浮上。昇格争いに名乗りを挙げることとなった。

苦しい試合でも勝利を手にすることができるのは、強さのしるし。当然、内容のいい試合を増やさないといけないが、昇格のためには内容の悪い試合でも勝ち切る強さが求められる。この日のような粘り強い試合を続けられるか。そこに札幌の命運がかかっているように思われる。

以上

2011.09.04 Reported by 佐藤拓也
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