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【J1:第24節 広島 vs 新潟】レポート:スーパー・リベロ=森崎和幸、抜群の存在感。広島、新潟に決定機を与えず、4試合ぶりの勝利を完封で飾る。(11.08.28)

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8月27日(土) 2011 J1リーグ戦 第24節
広島 1 - 0 新潟 (19:04/広島ビ/14,852人)
得点者:81' ムジリ(広島)
スカパー!再放送 Ch185 8/28(日)後02:30〜
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稲光が何度も上空を切り裂いた。雷鳴が何度も轟き、後半からは雨も落ちた。試合前の空は青く澄んでいたのに、神様はなんと気まぐれなのだろう。
この日の神様はさらに、広島に徹底的な試練を与えた。李忠成のシュートは2度までバーに弾かれ、もう1本は新潟GK東口順昭のスーパーセーブに阻まれた。東口はさらに、前半にはミキッチ、後半開始早々にも中島浩司が放ったループシュートを指先で弾くなど、ファインプレーを連発。ワンタッチパスとスルーの連続で完璧なコンビを見せた森崎浩司のシュートは東口も届かなかったが、惜しくもポストをかすめた。ペナルティエリア内でフリーとなった高萩洋次郎のシュートも、ポストの外。
ボールを圧倒的に支配し、数々の決定機を迎えながらも、シュートがどうしても入らない。天を仰ぎ、芝を蹴っても、シュートが入らないことは変わらない。
こんな時、神様はさらに追い打ちをかけるものだ。チャンスを逃し続けたチームに鞭を打つかのごとく、相手に得点を与える。これまで広島が何度も受けてきた「罰」だ。
だが神様はこの日、これ以上の冷たい仕打ちを与えなかった。それは「これまで我々は十分に罰を受けてきた」(ペトロヴィッチ監督)からなのかもしれない。ただ、たとえゴールできなくてもバランスを崩さず、しっかりと90分間をデザインして闘う。本当の意味での「大人のサッカー」を広島が取り組んだことを、神様も認めてくださったのかもしれない。
その中心にいたのは、間違いなく森崎和幸だ。ミスなく的確なプレーは技術・判断が高いレベルにあることの証明。試合の流れを読んでボールをリズミカルに動かすゲームメイクも含め。攻守共に一級品のプレーを見せるリベロは、逸機の連続でチームが下向きになった時、プレーで活力を注入した。
例えば33分、縦パスをカットした三門雄大がスルーパス。飛び出したのはミシェウだ。大ピンチの予感。だがその時、風のような猛スピードでミシェウの足下に飛び込み、完璧なタイミングのタックルで森崎和はボールを刈り取った。
もしこの時、一瞬たりとも躊躇していたら、彼の足はミシェウの身体をひっかけ、PKを新潟に与えられたはずだ。だが、自分のスピードと相手までの距離を正確に把握し、ゲームの状況を読み込んでいる森崎和は、決断から行動までの時間が短く、そして迷いがない。
「ペナルティエリア付近は戦い。一瞬でも逡巡したらやられる。PKを与えなくても、シュートが僕の足に当たって入ることもある」と言いきる森崎和は、その後もミシェウにほとんど仕事をさせなかった。後半も中盤での激しいタックルでボールを奪い、1対1でもほとんど勝利して起点にさせない。「ミズ(水本)と(森脇)良太、3人でいい関係をつくって守ることができた」(森崎和)ことも守備に安定をもたらし、新潟に決定機を与えなかった。それが「神様の罰」を受けずにすんだ、最大の要因である。
チャンスを逃し続けた攻撃陣も、守備陣の頑張りに応えるべく得点機を伺い続け、81分、ついに成果を出す。コンビネーションパスで新潟を振り回し続けた広島だったが、最後に決めたのは個人技。ダビド・ムジリという男の存在だ。
細かく何度も動き直しながら相手を揺さぶり続け、その動きの中からほんのわずかに見えたシュートコース。振り足が小さくてもインパクトが強烈なムジリのシュートは、そのコースにミリ単位の精度を保って飛びこむ。この試合、再三のファインセーブでチームを救った東口も、どうしようもない。グルジアのファンタジスタのスーパーゴールは、広島に4試合ぶりの勝利と「内容はいいが結果は」という閉塞感からの打破をもたらした。
攻守にわたって広島に圧倒された新潟は、失点後もビッグチャンスをつくることができずに敗戦。「これが今のチームの現状」と黒崎久志監督という言葉どおりなのだろうが、それでも守備陣は東口を中心に奮闘していた。やはり課題は攻撃。8本のシュートのうち、西川周作を脅かしたものはほとんどない。破壊力を持つタレントはいるのだが、得点へのアイディアを見せるのはミシェウのみ。彼が抑えられれば得点の香りがしなくなる現状を打破するには、組織としての工夫が必要。そのためにも「ボールを簡単に失わない」(黒崎監督)ことが、まず優先される。

ここから次の試合まで約2週間の時間があく。広島も新潟も、疲労した身体と頭を休め、最後の10試合を走りぬくための準備を行うことになる。この準備期間に何が必要なのか。それは、両監督の頭の中で、既にプランされているはずだ。後は、やるか、やらないか。全ては、そこにかかっている。
 
以上

2011.08.28 Reported by 中野和也
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