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【J2:第26節 東京V vs 熊本】レポート:全ての得点に見どころアリ。東京Vが今季2度目の5ゴールで苦手熊本を一蹴。熊本はまたしても聖地・国立での大量失点に泣く。(11.08.28)

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8月27日(土) 2011 J2リーグ戦 第26節
東京V 5 - 2 熊本 (18:03/国立/4,602人)
得点者:12' マラニョン(東京V)、37' マラニョン(東京V)、43' 小林祐希(東京V)、62' ソンイニョン(熊本)、78' 河野広貴(東京V)、85' 根占真伍(熊本)、90'+3 市川雅彦(東京V)
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前半のうちに3点リードとしながらも、選手交代でも飯尾一慶、巻誠一郎、市川雅彦と攻撃選手を投入し続け、試合終了まで「点を取りに行け」のメッセージを発し続けた川勝良一監督率いる東京Vが、今季2度目の大量5ゴールを挙げる猛攻で難敵熊本を下し、昇格争いに喰らいついた。

要求高い川勝監督が、久しぶりに満足げな表情を浮かべていた。
特に前半の戦いぶりには、ハーフタイムに「前半のプレーは素晴らしい」とのコメントが聞かれたほどである。その大きな要因、きっかけとなったのは、マラニョンの先制弾だった。

「毎試合、前半から必ず僕にチャンスがある。そこで決められればもっとチームがやりやすくなる」と、先制すればめっぽう強いというチームの特徴を引き出すための値千金弾を望んでいたマラニョン。宣言通りの一撃を決めたのは前半12分だった。移籍後初先発となった左サイドバック中谷勇介の高い位置でのスピードアップしたプレスが相手を焦らせ、パスミスしたところを、この日のマラニョンは逃さなかった。1対1でGKを落ち着いて交わし、しっかりと枠に収めた。
続く2点目のPKも、ほぼ同じ形から奪ったもの。小林祐希のプレスが誘ったパスミスをマラニョンがカットし、一気に仕掛けたペナルティエリア内で受けたファウルだった。
「1点目、2点目の点はウチが大量得点で勝ったゲームのスタイルとまったく違う」。指揮官が、これまで4回あった4得点以上の量産ゲーム(ちなみに、3点以上は7回)での得点パターンとの変化を高く評価したのは、これらの形が、昨季終盤まで昇格争いを続けられた要因ともいえる「局面の粘り強さ」から生まれたものだったからだという。「今季はそういうところ(=局面の粘り強さ)が徐々に緩くなって、逆に攻撃のスピードアップとか得たものがあったけど、失ったものがまたある。それを、最初の1点目の取り方とか、2点目の取り方とかで、全体的にもう一度思い出してやれたというのが非常に大きい」今後への手応えを見出し、大きく喜んだ。

この試合でもう1つ大きかったのが、『初』が出たこと。それも、誰よりも得点意欲に燃える2人に生まれた初ゴールだっただけに、チームメイト、スタッフ、関係者なども大いに盛り上がった。
まず3点目の小林だ。2点を挙げ余裕のできたマラニョンが、相手ボールをカットしペナルティボックス内深くえぐってから入れた右からのパスに、右足で合わせた。「キレイな形じゃなかったけど、点は点」と、待望のプロ入り初ゴールを喜んだ。
さらに大きかったのが、試合終了間際で決めた市川雅彦のゴールだろう。4分間とられた後半アディショナルタイム2分にピッチに立った市川の、まさにファーストタッチだった。「練習試合や紅白戦でもユウキから良いボールが来て、点を決めてた。今日は決められる気がしていたんだ」予感通り、小林から出た縦への好スルーパスを、そのまま1タッチで流しこんだ。決まった瞬間、迷いなく走ったベンチでは、皆が抱き合って歓喜の輪ができた。日頃の努力と、使命感から結果を人一倍強く求めていることを知っているだけに、恩師・川勝監督はじめチームメイトたちは、自分のことのように喜んだのだった。登場わずか1分間での大仕事に「やっと決められてよかった。今日はゆっくり眠れそう」と、本人もホッと胸をなでおろしていた。
こうした、新しい力が結果を出したこともまた、今後波に乗らなければいけないチームにとっては非常に重要なことといえよう。また、小林、市川の2人から共通して聞かれたことばは「こんな大事な試合で自分にチャンスをくれた監督に恩返しがしたかった」。指揮官への敬意の念は、チーム和合の原点とも言えるのではないだろうか。ここからさらに波及し、いま一度結束力を高めるきっかけとしたいところだ。
終始攻め続けるもなかなか点を奪えず、逆に失点してイヤな雰囲気が漂いそうだった後半34分、阿部拓馬のクロスに河野広貴が飛び込んだ4点目も含め、点をとるべき立場の選手が最後までしっかりと闘争心を示し、得点に絡んだところに、前節からの着実なるステップアップが見られたのではないだろうか。

とはいえ、一方の守備面では、カウンターからの2失点という同じパターンでの失点の繰り返しに、DF陣は大きな不満を抱いているようだ。「試合後、勝ったにもかかわらずバウルさん(土屋)とサエさん(佐伯)とシバくん(GK柴崎)が、失点について本気で言い合いをしていたから理由を聞いたら、次に同じミスを繰り返さないための反省と修正だと言っていた」と、小林が証言したが、実は前半2点目が入ったシーンでも、周囲の歓喜をよそに、森勇介、土屋、佐伯らDFラインでは真剣な修正の話し合いが行われていたし、他の場面でも、同様のシーンが何度か見受けられた。「勝ったのに、もう次の勝利のことを考えて本気で言い合ってる。こんな向上心の高いチームはJ2に他にないと思う。J2なのにこんななんだったら、J1だったら・・・なんて、J1なんて簡単に口にできないですよね」と、小林は『J1』のレベルを、経験者たちのこうした姿を通して本当の意味で感じつつあるようだ。「ヴェルディのボランチとして監督にも、チームメイトにも、サポーターにも認められるプレーをしなければいけない」初ゴール以上の衝撃を受けたという守備面での成長も、19歳ボランチは誓っていた。

「勝っている時だからこそ前向きにできる修正がある」と、常々選手たちは口にしている。次節は上位・千葉戦を迎えるだけに、今週はぜひともこの勝利を最大限生かした有意義な一週間としたい。

熊本は、またしても国立の地で5失点の大量失点を喫してしまった。
長身の長沢駿にロングパス1本を入れ、そこから打開するというのが一つのスタイルだが、その長沢にボールが入る前にの時点で相手のプレスに引っかかり、焦りからパスミスを繰り返したことが、大きな敗因と言えよう。特に前半の3失点はすべてそのパターンだった。

ただ、その中で前節までからの改善が見られたのは、後半立ち上がり10分での失点をしなかったことだろう。逆に、その時間帯を自分たちがリズムを生みだし、同16分にソン イニョンが点を決めたことは価値があったのではないだろうか。その後、4点目を奪われながらも根占真伍が加点したことも、次に繋がると捉えたい。あえての収穫に、根占は「5点取られても、最後までゴールへの意欲を失わなかったこと」を挙げる。そして、「失点についての課題は多いけど、絶対にナイーブにならずやっていきたい」と、必死に前を向いた。

熊本・高木琢也監督は、今後へ向け「まずは精神面の立て直し」を明言。そして、「ここでくじけるわけにはいかないので何とかこの状況を打開できるように頑張っていきたい」と、語った。熊本が、高木監督の下この状況をどう乗り越え、チームとして成長していくのか。ひとつの正念場とも言えるのではないだろうか。この大敗を良いきっかけにしたい。

以上

2011.08.28 Reported by 上岡真里江
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