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【J2:第26節 岐阜 vs 鳥取】レポート:前半だけいいでは勝てない。90分通したゲームマネジメントが求められる岐阜。(11.08.28)

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8月27日(土) 2011 J2リーグ戦 第26節
岐阜 2 - 3 鳥取 (18:04/長良川/3,519人)
得点者:16' 西川優大(岐阜)、29' ハメド(鳥取)、37' 押谷祐樹(岐阜)、62' 実信憲明(鳥取)、67' 住田貴彦(鳥取)
スカパー!再放送 Ch183 8/28(日)後02:30〜
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攻撃はいい。しかし、守備が…。
試合後の率直な感想だ。はっきり言って、この試合は岐阜の勝ちゲームだった。だが、それは前半のみに当てはまる。立ち上がりから岐阜の猛攻はすさまじかった。DFラインがぐっと高い位置まで張り出し、両サイドバックが積極的に攻撃参加をする。中央からサイド、サイドから中央と、矢のように攻めていく岐阜の専売特許と言えるショートカウンターが、前半は何度も繰り出された。
この要因は、染矢一樹の負傷を受け、代役として右MFに入った東海学園大4年の特別指定選手である地主園秀美の存在が大きかった。サイドに張り出し、縦の突破を得意とする染矢と違って、地主園は高校時代はトップ下もこなしていたように、中へ入ってのドリブル、パス、シュートを得意とする。そのため、FW西川優大をターゲットに、前線にクサビを集約すると、トップ下の嶋田正吾、左MF押谷祐樹、地主園が一気に中にしかけ、時にはDFラインの裏へ抜けだしていくプレーをするため、よりバイタルエリアが活性化され、両サイドバックがオーバーラップを仕掛けられるスペースが生まれる。
6分には右サイドバックの野田明弘のクロスボールからチャンスを作ると、8分にはサイドの崩しから、中央でバイタルエリアに侵入したボランチの橋本卓が強烈なミドルシュート。これはGKのファインセーブに合い、バーに嫌われた。さらに13分にはカットインした押谷の縦パスを、西川が左の嶋田に落とし、嶋田がそのままドリブルを仕掛ける。中央には西川と地主園がいたが、センタリングはDFにブロックされた。
この3つの形は、まさにサイドの展開から3人目の動きが関わって、複数で完全に相手DFを崩していた。そして、16分の先制弾もまさにサイドの展開3人目の動きが結実した形となった中央の嶋田から、右のスペースに走った橋本へパス。橋本の浮き球のループパスに抜け出したのは西川。右足のワンタッチコントロールでDFを交わすと、左足で冷静に流し込んだ。
29分に鳥取のFWハメドに壁に当たるFKをねじ込まれ、同点に追いつかれたが、37分にはロングボールを右寄りの位置で西川がワンタッチで落とし、これを受けた地主園がドリブルでゴールに平行に運び、DFを引き付けて、左に走り込んできた押谷へパス。押谷は豪快に右足を振り抜いて、勝ち越しゴールを叩き込んだ。
これも3人が近い距離感を保って連動したことで生まれた、流れるようなゴール。岐阜は2本のビューティフルゴールで、2−1とリードした状態で前半を終了した。
完ぺきな内容の前半。これだけ見ると、完全に岐阜の勝ちだった。だが、後半状況は一変する。一変させたのは、ほかでもない、岐阜の消極的姿勢だった。鳥取は岐阜の徹底したバイタルエリアの攻略の対応策として、服部年宏のワンボランチから20分に負傷した鶴見聡貴に代えて投入したトップ下の吉野智行を一列下げ、ダブルボランチにした。しっかりと対応策を打ってきた鳥取に対し、岐阜は前半の積極性が嘘のように、【4−4−2】のDFラインとMFラインがブロックを作り、リトリートディフェンスにシフトしていた。
これは2−1のリードを守るために、後半はリスクを負わず耐えきる狙いかと思ったが、試合後の選手たちのコメントを見ると、そうではなかった。
「前半と同じように主導権を握りたかったのですが、相手はベテランの選手を中心につないできて、セカンドボールがとり切れなくなった。前半は守備がいい感じではまっていたのに、後半はそれが維持できなかった」(押谷)。
「前半がいいのに、後半は悪い。後半ボールを保持できなくなってしまっている。前半は出来ているのに、後半は中途半端なロングボールとなっている」(西川)。
前半とやるサッカーを変えているわけではないのに、変わってしまう。それは選手同士、選手とベンチの共通理解がまだ取れていないのに起因する。思惑が一致せず、ふたを開けてみると別物のサッカーになってしまう。ならば、リトリートのブロックディフェンスにシフトしてしまったのならば、それを貫けばいい。しかし、「前半、岐阜は前からどんどん来て、直接的にボールにプレスは来ていたが、一つ外したらフリーになる展開だったので、そこを狙った」と鳥取の松田岳夫監督に見抜かれたように、岐阜の守備は人数が足りていたり、誰かがボールプレスに行っていても、肝心のそのファーストアプローチに対する連動性がほぼない。誰かがプレスに行ったら、行った後のスペースを誰かが埋める。さらにその選手が行った後のスペースを誰かが埋める。時には一人カバーリングに入って、2人がかりでいく。こういう守備の連動性がないからこそ、松田監督が言ったように、一人はがせばOKの攻撃で攻略できてしまう。ブロックディフェンスを敷いてもそれは同じで、鳥取はその狙いを単純に実行すればよかった。
62分に中央のハメドから右サイドのDF丁東浩が突破し、クロスを送り込む。これに飛び込んだのはMF実信憲明。岐阜のマークのゆるさを突いて、後方から飛び込んで、どんぴしゃヘッドを合わせた。
2−2。畳み掛けたい鳥取は、精彩を欠いたFW梅田直哉に代え、FW住田貴彦を投入。すると4分後の67分、DF野垣内俊のクリアミスを受けた住田が、右サイドでキープからハメドに一旦預け、中へ。リターンパスを受けると、鋭く反転して、右足アウトサイドで流し込んだ。
そして、70分に押谷が2枚目のイエローカードで退場した時点で勝負あり。岐阜が前半とは全く違うサッカーで、あっさりと逆転負けを喫した。

「前半はよかった…」。
ここ数試合、「前半はよかった…」、「後半はよかった…」という言葉を聞き飽きるほど聞いている。サッカーは前後半90分で成立するスポーツ。どちらか一方が良かっただけでは勝てないし、岐阜は前後半の格差が大きすぎるから、より顕著に結果に出てしまう。サッカーは90分。もう一度そこからやり直してほしい。いつまでもどちらかが良かっただけで光を見出していては、前には進めない。

以上

2011.08.28 Reported by 安藤隆人
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