先週、横浜ＦＣの練習に参加したことで話題となったフランサ選手。本日、加入が発表されました。かつてはレバークーゼン（ドイツ）などに所属し、２００５年に柏レイソルに移籍してからも、数々のアイディアとテクニック溢れるプレーをまるで魔法のように見せてくれた選手です。

実は昨年７月に柏との契約を解除してから今日に至るまで、フランサ選手はこれまでにない地獄を見たと言ってよいでしょう。「なんで日本のチームは自分を必要としないんだろうか。サッカーやめたほうがいいのかということも頭をよぎった」（フランサ）と言うように、これまでの華やかな経歴からは考えられない状態でした。
治安がよいことや日本人気質も好きだと言うフランサ選手は、クリスマスに一度ブラジルに帰りましたが、今年１月には再び日本に戻ってきました。そして、日本のとある大学で練習をする日々。特にどこかのチームに所属して練習するということはありませんでした。
今回の横浜ＦＣへの練習参加も、よくある代理人からの売り込みというわけではなく、大学で練習しているという情報が横浜ＦＣにもたらされ、スカウトが見に行ったことから始まりました。ですから代理人もいないとのことです。フランサ選手自身は、お金のことは抜きでもよいと申し出たぐらいだったそうです。日本でプレーできることの感謝を胸に、今までと異なる新しい気持ちでプレーすることは間違いありません。

気になるのは、フランサ選手が横浜ＦＣにフィットするかどうか。岸野靖之監督のスタイルは走るサッカー。フランサ選手は、そのサッカーに必ずしも合っているとは言えません。事実、先週参加した練習試合でも運動量はさっぱり。岸野監督とスカウトの間で、顔を見合わせたほどだったそうです。それでもフランサ選手を獲得したのは、得点に絡める質の高いプレーができること。１点差ゲームが多く、それをなかなかモノにできずにきた横浜ＦＣにとって、点を決められるプレーヤーは必須。さらに、フランサ選手がいることで、横浜ＦＣ全体の技術基準を向上させられることがもう１つの獲得の理由だそうです。

フランサ選手は、２００６年に横浜ＦＣがＪ２優勝したシーズン、昇格争いのライバルとしても戦いました。その時のことを聞くと、「よく憶えている。しかし今は状況が違うし、これからは新しい自分の１ページ。自分の全力を出して活躍することが第一の目的」と、心機一転、日本での活躍に気合いを入れています。

正式加入後の初練習となった今日は、グラウンドで三浦知良選手と何やら話をしていました。内容が気になるところですが、三浦知良選手が自身のポルトガル語での会話力を少し試してみた…ということのようです。フランサ選手の採点によると「ブラジルにいた時はもっとうまかったと思うけど、よいポルトガル語だよ」とのこと。今後、いろいろなコンビネーションが高まっていくことを期待したいと思います。

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2011.08.11 Reported by 松尾真一郎