8月7日(日) 2011 J2リーグ戦 第3節
湘南 2 - 2 大分 (19:04/平塚/6,850人)
得点者:9' 前田俊介(大分)、39' 作田裕次(大分)、47' 菊池大介(湘南)、73' 永木亮太(湘南)
スカパー!再放送 Ch185 8/9(火)前06:30〜
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幕間を経て主役が入れ替わるような、もしくは二幕で明と暗を映し出すような、まるでそんな舞台を見ているかのような90分だった。
前半の一幕は大分が主導した。ポゼッションで優位に立ち、相手陣内で過ごす時間も長い。9分には最終ラインからビルドアップを図る湘南のミスを逃さず、ボール奪取からショートカウンターを繰り出し、締めは前田俊介がきっちりと仕上げた。かのストライカーは、アウェイゴールが多いという前評判を試合開始間もなく先取点に結んだのである。
「前半は守備が後手になってしまった」とは、湘南の選手たちから口々に聞かれた言葉だ。実際、大分はスペースに顔を出しながら相手のプレッシャーをかいくぐり、ボール回しには余裕すら感じさせる。立ち上がりの得点の影響も少なくなかろう。かたや湘南はといえば、自陣でマイボールにしても効果的な攻撃に繋げられない。パスの出し手と受け手の意図が合わぬ場面が散見され、ダイレクトパスもない。ボールホルダーの内へ外へと駆け上がる右サイドバックの臼井幸平の動きは推進力を喚起したものの、全体的には単調なリズムに終始した。時折りスタジアムを沸かせた攻撃も出会い頭の印象が拭えない。コーナーキックから作田裕次が押し込んだ39分の大分の追加点はそうした流れの先で生まれている。
だが後半の幕が上がると、主導権はシステムを4−3−3にシフトした湘南に移った。高山薫と菊池大介の両翼に坂本紘司と永木亮太、加えて両サイドバックが絡み、サイドの攻略にかかる。練習の賜物だろう、47分、山口貴弘のスローインを機に佐々木竜太が折り返し、なかに走り込んだ菊池がヘッドで追撃のネットを揺らした。
「後半立ち上がりの失点がすべて」作田はそう振り返り、悔しさを滲ませている。組織に流動性が加わった一方の湘南は、リズムを呼び込むとともにチャンスをつくっていく。待望の同点ゴールは、互いに攻め合った先で生まれた。73分、その3分前に交代出場していたアジエルがバイタルエリアで前を向き、右へはたく。「アジエルがよく見てくれていた。コースは狙い通り。撃つと決めていた」。フリーで受けた永木はトラップから右足を一閃、ファーサイドを射抜いた。
その後、大分は森島康仁がこの日2枚目のイエローカードによって退場となり、ひとり少ない戦いを強いられる。逆に湘南は永木のパスから菊池が枠を狙い、またアジエルのスルーパスに臼井が裏を狙うなどして攻め立てる。だが勝負を決する千両役者はともに現れず、試合はドローのまま幕を閉じるのだった。
「勝ち切れない試合を今シーズン何度もやっている。どこかしら隙が出てしまう。これを払拭していかなければ私たちは上の段階に行けないと思う」大分の田坂和昭監督は語った。湘南の反町康治監督も、「今日は課題がたくさんあった。ここから何ができるか。もう一度整理して全体的な層を上げていかなければならない」と、今節を踏まえたうえでこの先に目を向けた。互いに明暗を分けあったこの日の試合には、よい面と悪い面が同居していた。こと湘南にあっては、初めて2点のビハインドを追いついた後半の粘りと、自らゲームを難しくした前半の忸怩があろう。手にした勝点1に詰め込まれた教訓を、成長の種にしなければならない。そうしてチームの幹を太くしていきたい。より高い舞台に立つために。
以上
2011.08.08 Reported by 隈元大吾
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