8月7日(日) 2011 J2リーグ戦 第3節
横浜FC 1 - 0 水戸 (18:03/ニッパ球/3,934人)
得点者:90'+7 野崎陽介(横浜FC)
スカパー!再放送 Ch186 8/9(火)前05:00〜
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前回のこのカードの対戦は、7月9日にケーズデンキスタジアムで行われた。この試合では、ホームの状況を生かして主導権を握る水戸に対してアディショナルタイムのPKで横浜FCが粘り勝ち。そして、約1ヶ月後の再戦となるこの試合では、主導権を握る横浜FCと守ってカウンターを狙う水戸という、前回とは異なる構図ながら、同じようにアディショナルタイムでの劇的なゴールで横浜FCが勝点3をもぎ取り、再び粘り勝ちを見せた。
水戸に対して警戒すべきポイントは、鈴木隆行に入るボールとその後の連携。横浜FCの守備陣は、このポイントに対して立ち上がりから冷静な守備を見せる。さらに、チャンスとあれば相手DFラインに対して前線からプレッシャーを掛け続けるなど、ペースを握ったのは横浜FCだった。一方の水戸は、横浜FCのビルドアップにサイドではプレッシャーを掛けるものの、中央でのプレスはあまりせずに、横浜FCがボールポゼッションをする、いわゆる遅攻になると、一気に守備ブロックを下げる形の守備を取る。水戸・柱谷哲二監督は「思ったより暑くて、2トップが追い切れなかった」と、水戸の前線からの守備が機能しなかったと振り返ったが、この水戸の守備スタイルが、この試合の基調となった。その中で前半のシュートの本数は、横浜FCの5本に対して水戸が6本。横浜FCのポゼッションの割には、フィニッシュにたどり着ける場面は少なく、一方で28分の鈴木のクロスバーを叩くシュートや31分の小澤司のフリーでのヘディングシュートの場面など、決定機を作っていたのは水戸の方だった。「お互いがやりたいことをやって、お互いにアグレッシブにやった」という柱谷監督の言葉通り、水戸としてはゲームプランに近い戦いをしていたし、横浜FCとしてもゴールこそなかったが、激しく奪いポゼッションしながら攻めるという狙いは出せていた前半だった。
後半に入っても、試合の基調は変わらず。しかし、ホーム・ニッパツ三ツ沢球技場で1勝しか挙げておらず勝点3が至上命題の横浜FCは、暑さで守備が間延びする状態ながらも、時間を追う毎にリスクを負って攻めに出る。そして水戸は、その状況を利用してカウンターを仕掛ける構図がより鮮明になってくる。それでも、水戸の低い位置での人数を掛けたブロックを崩せない一方、水戸のカウンターをGK関憲太郎を中心に最後のぎりぎりで防ぐ状況が続き、ニッパツ三ツ沢球技場にはスコアレスドローを予感させる暗雲を立ちこめる。この暗雲を振り払ったのは、最後までゴールをあきらめなかった姿勢だった。
4分というアディショナルタイムが示されるが、その4分を過ぎた後の佐藤謙介の退場もあり時計は、90+7分まで進む。スタンドから見る人にとっては「もうこれがラストプレー」と思われるプレーが何度も続く中、2種登録されたばかりの途中出場小野瀬康介が中央に切れ込む。3人目はかわせなかったが、そのこぼれ球を野崎陽介が右足一閃、ゴールに叩き込んだ。そこで試合終了となる「ブザービーター」で、横浜FCが劇的なホーム2勝目を挙げた。
試合後の記者会見で、岸野靖之監督は開口一番に攻守における課題を述べた。水戸の引いたディフェンスは、横浜FCのボランチへのプレッシャーがなく、攻撃の選択肢は多く取れる状況だったが、その状況を生かすことはできなった。しかし、「アディショナルタイムがいつ終わるとかは考えていなかった」(野崎)というように、攻め続ける姿勢を最後まで緩めなかったことが、勝点3に大きく繋がったと言って良い。ニッパツ三ツ沢球技場での水戸戦と言えば、2009年9月6日の試合。この試合では89分に荒田智之が先制点を挙げるが、ラストプレーで中野裕太がゴールを決めるブザービーターで引き分けに持ち込んだが、その試合の再現となった。ラストプレーで勝点をもぎ取れるチームは強い。前節・千葉戦での好ゲームに続き、反撃の狼煙は上がった。
水戸としては、前回の対戦とは異なる戦い方になったが、その中で何度か訪れたカウンターのチャンスを仕留められなかったことが勝点3を取れなかった要因となった。また、本間幸司が「アウェイで0-0の状況を考えれば、失点の前にやってはいけないプレーはあった。勝点1を持ち帰るためのプレーはできていなかった。全員の意識が統一されていない気がした」と振り返ったように、最後のプレーまで統一感を持ちきれなかったことが、勝点1をも失う原因となった。前回の対戦と比較すると、鈴木が入ることで戦い方に幅が出てくる予感をさせたが、一方で鈴木を生かすという意味では今後の熟成の必要性を感じさせた。
お互いの持ち味を出した試合であったことは間違いない。その中で試合を分けたのは、最後まで集中を切らさないあきらめない気持ち。かつて、偉大なDF松田直樹が気持ちを見せ続けたニッパツ三ツ沢球技場で、その気持ちの大事さを改めて学ぶことができたのではないだろうか。
以上
2011.08.08 Reported by 松尾真一郎
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