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【J1:第20節 名古屋 vs 磐田】レポート:敵将も認めた力の差を見せつけ、名古屋が6連勝でクラブ記録の14戦連続無敗を達成。負傷者の不在を感じさせない盤石さで、上位をきっちりキープした。(11.08.08)

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8月7日(日) 2011 J1リーグ戦 第20節
名古屋 2 - 1 磐田 (19:03/瑞穂陸/14,230人)
得点者:19' 金園英学(磐田)、28' 小川佳純(名古屋)、73' 永井謙佑(名古屋)
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圧倒的な差、ではない。目には見えないディテール、というのも少し違う。名古屋と磐田の間には、ピッチ上で当たり前のように見える部分で確かな差があった。「先制されても慌てずにゲームを進められる」と言ったのは名古屋の小川佳純。「久々に先制できて、勢いに乗れると思ったんですけど」と言ったのは磐田の金園英学だ。彼らの言葉のニュアンスに、名古屋の逆転勝利という結果の実相はよく現れている。

名古屋は守備に不安を抱えての一戦だった。中盤守備の要であるダニルソンがここ数試合でずっと違和感を抱えていたというハムストリングの治療のため欠場。さらには試合前日の練習で楢崎正剛が右足首を負傷し、こちらも欠場が決まった。長期離脱の可能性も出てきた守護神の離脱はチームにとって大きな痛手。代役の高木義成も実力者だが、それでもチームに与える影響は小さくはない。ダニルソンの穴埋めとしてストイコビッチ監督が選んだのは、ブルザノビッチの起用だった。シュート力とキープ力に強みがある反面、守備力には欠ける彼をトップ下に配し、藤本淳吾と中村直志の2名で中盤の底をカバーする。守備には最低限のフォローをしつつ、攻撃的に出る。それがこの試合で名古屋がとった姿勢だった。

一方の磐田もエース前田遼一を負傷で欠き、前線で新たな一手を試してきた。3日前のスルガ銀行チャンピオンシップで試した山田大記のFW起用に加え、その相棒に同じくルーキーの金園英学をチョイス。「練習したことがなくても感覚で通じる部分はある」と金園が言うようにほぼぶっつけのツートップに、前線は託された格好だ。中盤より後ろは小林裕紀が戻ってきたことでベストと言えるメンバー構成。フィニッシャーがどれだけ仕事をしてくれるか、といったところだったが、この選択がまずは功を奏することになる。

気温30.4℃、湿度58%という厳しい環境の中キックオフした試合は、まずは名古屋ペースで始まった。4分のブルザノビッチのファーストシュートを皮切りに、7分、10分と立て続けに玉田圭司がゴールを襲うと、14分には直接FKから玉田が際どいシュートを放つ。これは川口能活の好セーブにあったが、まず主導権を握ったのは名古屋だった。

しかし、その中で先制点を奪ったのは磐田だった。序盤の名古屋の猛攻をしのぐと、ロングボール主体のカウンター戦術がじわじわと効果を発揮し、支配力を取り戻す。その矢先の19分に金園が起用に応える先制点を挙げた。左サイドから切り込んできたジウシーニョからの縦パスをペナルティエリア内で受けると、DFを背にしながら反転して逆サイドへ鋭く左足を一閃。「理想的な得点」と自画自賛のゴールで、先手を取った。

ただ、ここで慌てないのが名古屋の真骨頂だ。得点後はいったん自陣に引いた磐田を攻めあぐねたが、その状況は何度も経験済み。「サイドを使って散らして、下げて一回引き出す。その形をいつもやって、自分たちのリズムを作る」(増川隆洋)。落ち着き払った対応で突破口を見出すと、わずか9分後に同点に追いつく。右サイドでのパス交換からバイタルエリアに侵入した藤本がスルーパスをケネディへ。ペナルティエリア内でDFを背負った長身FWは無理をせずにすぐ近くへ落とすと、走り込んだ小川がニアサイド上に豪快に叩き込んだ。小川はこれが待望の今季初ゴール。「この動き出しが自分の特徴」と、こちらも自画自賛のゴールで試合を振り出しに戻した。

前半はその後、一進一退の攻防へ。ここで存在感を見せつけたのは磐田の守護神だ。「マツに問いかけながら試合をしていた。彼が力を貸してくれた場面は何度もあった」と亡くなった松田直樹さんの後押しを受けた川口が好セーブを連発しゴールを死守。ケネディを起点に名古屋は再び猛攻を仕掛けたが、ことごとく川口の壁に阻まれた。

後半は暑さで体力的にも厳しかったためか、両チームのガードが甘くなり、前半にも増して打ち合いの様相が強まった。形勢はやや磐田優位といったところだったが、ここは名古屋の高木も奮闘を見せ、ゴールは許さない。次の1点が勝負といった中で試合を動かしたのは、名古屋の交代策だった。65分、ブルザノビッチに代えてジョーカー・永井謙佑が投入されると、背番号18はそのまま右サイドへ。ケネディと玉田をツートップとする4-4-2への布陣変更は、永井に走るスペースを与えたと思われる。そしてこれが見事に結果を出した。73分、左サイドで玉田がキープし、中へ鋭いグラウンダーのパスを送る。小川がスルーしパスを受けたのは永井。簡単にケネディへ預けると、一気にゴール前へと加速した。タイミングを見たケネディのスルーパスを受けた永井はDFとGKのプレッシャーをあざ笑うかのようなチップキックでゴールに流し込み、嬉しいリーグ戦初ゴール。結果的に、決勝点をチームにもたらした。

試合はそのまま名古屋が虎の子の1点を守りきり、勝利。勝ち越し後は磐田の猛攻にさらされたが、何とかしのぎ切った。「こういう試合でも勝ちきれた、それだけ」という玉田の言葉は、試合をコントロールしきれなかった反省からくるものだが、そこできっちり勝点3をキープするのが王者の貫録。それは磐田の柳下正明監督も「個人に特徴がある選手が揃っている。そしてボールを持った時に慌てない、落ち着いているのは我々との差」と認めるところである。この勝利で名古屋は6連勝、そしてクラブ記録更新となる14戦連続無敗を達成。守備の要である2選手を欠いてもなお強さを見せつけ、首位をうかがう位置もしっかりとキープしてみせた。次週からは広島、G大阪、仙台という上位陣との中3日での連戦が待つが、この日の戦いが継続できるならば心配はない。名古屋の無敗記録がどこまで伸びるのか、今後の戦いの行方が楽しみになってきた。

以上

2011.08.08 Reported by 今井雄一朗
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