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【J2:第3節 岐阜 vs F東京】レポート:敗戦の中に見えた光。しかし、楽観視は最大の敵。岐阜よ、今を戒め、前へ進め。(11.08.08)

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8月7日(日) 2011 J2リーグ戦 第3節
岐阜 0 - 2 F東京 (18:04/長良川/6,684人)
得点者:17' 徳永悠平(F東京)、42' 谷澤達也(F東京)
スカパー!再放送 Ch186 8/8(月)後08:00〜
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負けられない一戦。相手は首位・FC東京。そしてホーム・長良川。日曜開催にもかかわらず、多くのサポーターが詰めかけたこの試合、岐阜に期待するのは唯一つ、気持ちを見せたプレーであった。

開始から15分までは岐阜の守備は非常によかった。高い位置をキープしながらも、サイドのキーマンにはサイドバックが押し上がって応対し、ボランチも三田光がアンカーとしてボランチの侵入を防いだ。
しかし、17分に一瞬の隙を突かれる。右サイドでDF徳永悠平がボールを受けると、すっと寄ってきたMF田邉草民にボールを預ける。次の瞬間、徳永は一気にバイタルエリアのスペースに走り込んできた。岐阜はこれまでしっかりとスペースに蓋をしていたが、この瞬間だけは前になだれ込んでいた他のアタッカーと田邉に気を取られ、徳永を空けてしまった。徳永は田邉からのリターンパスを受けると、勢いよく左足を強振。ボールはゴール右隅に突き刺さった。

いい流れの中で奪われた失点。ここからどう戦うのか。前回対戦の時はここから一気にイニシアチブを奪われ、ズルズルと失点を重ねていった。その二の舞を踏まないためにも、まさに岐阜の精神力が問われる状況となった。

失点から30分までは非常によかったと言っていい。慌てることなく、ラインを高く保ちながら、DFラインにしっかりと人を残して、中盤では交わされてもプレスバックを怠らなかった。そのため、FC東京はゴールシーン以外はチャンスらしいチャンスはなかった。
そんな中、またしても32分に一瞬の隙を突かれてしまった。左サイドでMF羽生直剛に運ばれると、人がついていながらも、ペナルティーエリア内で羽生、FWロベルト・セザー、MF谷澤達也と繋がれて、最後は谷澤のドリブルをプレスバックにいったDF田中秀人が倒し、痛恨のPK献上。しかし、セザーが蹴ったPKをGK野田恭平が横っ飛びでスーパーセーブ。ギリギリのところで試合の望みをつなぎとめた。

だが、このPKを献上したシーンで、実は岐阜の守備は機能しているようで、機能していなかったことがわかった。岐阜はこの試合、FC東京のアタッキングエリアでのパスワークを警戒して、DFラインに人数をかけて、相手の突破するスペースとギャップを与えないようにしていた。しかしよく見ると、ボールホルダーを追い込むような『積極的な守備』はしていなかった。ボールホルダーよりもパスを出す相手を意識しすぎて、ボールへのチャレンジがなかった。その証拠に、岐阜の守備がボールホルダーにプレスをかけず、運べば運ぶほリトリートしていくことに気が付いたFC東京は、それまではパスを急いでいたが、パスを選択せずにドリブルで仕掛ける回数が多くなった。アタッキングエリアに楽々入ってからは、食いついてきた時にパスを出せばいい。PKのシーンは羽生がペナルティーエリアまで仕掛け、食いついたらセザーへ横パス。セザーも食いついてきたのを見て、谷澤に横パス。そして前が空いた谷澤は仕掛けて、ファールを誘発させた。

そしてこのシーンをきっかけに、試合の流れは一気にFC東京へ。42分には左サイドでセザーがボールを持つと、同様にプレスがかかっていないのを見計らって、ドリブルでペナルティーエリアに侵入。放ったシュートはGKに阻まれたが、こぼれ球を谷澤が詰めて2−0。ペナルティーエリアには人数が揃っておきながらも、この2人を捕まえきれなかった。その後もセザーや羽生、田邉、谷澤に突破を許し、決定的なシーンを作られた。

ハーフタイムの木村孝洋監督の指示は、まさに前述した岐阜の守備に対するものだった。
「もっと後ろから押し上げて行こう。ボールを積極的に奪いに行くこと」。
攻撃時のDFラインは高い。しかし、それが守備時に派生しない。要するにリトリートの距離が異様に長かったのだった。
後半、その指示が利いたのか、岐阜は一気に攻撃に転じる。47分にMF染矢一樹がドリブルから左足ミドルシュート。これはクロスバーを直撃し、48分には染矢の左からのクロスを、ニアでフリーになった西川がヘッドで合せるが、バーの上。さらに49分には縦パスに抜け出した嶋田がゴールに迫るが、これはGKのブロックに合う。
積極的に前から仕掛けたことで生まれた3つの決定機を、一つもモノにできなかったのが痛かった。ここからFC東京も攻撃の手をさらに強め、決定的チャンスを作ると、岐阜も負けじと攻撃を仕掛け、75分の途中出場のFW佐藤洸一のバー直撃のミドルなど、双方がチャンスを作りあった。だが、消耗戦になった後半ではスコアが動かず、前半2点が重くのしかかった状態で、岐阜の敗戦を告げるホイッスルが鳴り響いた。

これで前半戦すべての試合で失点し、5試合連続の完封負け。泥沼からは抜け出せなかったが、後半開始の猛攻は光になった。やっぱりリスクを冒さないと相手は崩れない。守備に積極性を欠けば、ズルズルとやられてしまう。これが顕著に出た試合だった。
「何が良くて、何がダメかはっきり出たこと自体がプラスに捉えられる。今まではそれすらも出なかった。今日ははっきりと双方が出たことで、じゃあ次は何をすべきか考えられる」と西川が語ったように、確かに収穫があった試合であることは間違いない。

ただ、だからと言って奮闘したのか、凡戦だったのかは判断に迷う。正直、どっちにも捉えられる試合だった。ただ、ここは岐阜を愛する者として、希望的な観測を持ちたい。
ゴールの予感を与えてくれるだけで、試合の雰囲気はずいぶんと変わる。相手の警戒心も随分と変わる。正直、前半のFC東京のCB森重真人と今野泰幸は汗をかいていなかっただろう。なぜなら彼らは単純にその場にいればいいだけだったのだから。守っても、単発な攻撃をケアし、攻めても岐阜がリトリートする分、味方の裏への飛び出しがないから、押し上げてフォローに走らなくてもよかった。しかし、後半は岐阜が縦に仕掛けてきたことで、一気に仕事が増えた。先ほど西川が語ったように、この仕掛けがFC東京を相手にでも通用することが分かったことが光であり、さらにその猛攻も2点リードされた状態では大きな効力を発揮するまでには至らないことがはっきりしたのも光だ。

この光を見失うな。この光で良くなったと楽観するな。まだまだそこにいることを忘れるな。今の岐阜にこの言葉を送りたい。

以上

2011.08.08 Reported by 安藤隆人
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