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【J1:第20節 川崎F vs C大阪】レポート:急造のシステムで臨んだ川崎Fにとって、重すぎる2失点。C大坂は死に物狂いで勝点3をもぎ取る。(11.08.07)

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8月6日(土) 2011 J1リーグ戦 第20節
川崎F 1 - 2 C大阪 (19:04/等々力/15,781人)
得点者:11' 清武弘嗣(C大阪)、36' 倉田秋(C大阪)、64' 登里享平(川崎F)
スカパー!再放送 Ch181 8/9(火)後09:00〜
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試合が開始されてから、異変が発覚する。突如として配られた「新しいメンバー表」から小宮山尊信の名前が消えていたのである。試合直前のウォーミングアップ中にふくらはぎに違和感を感じたのだという。どうりで試合前に行われた故松田直樹氏に対する黙祷の輪の中に見つからないはずである。そしてそれは川崎Fにとって深刻な事態をもたらす事となる。不動のレギュラー左サイドバックを失った川崎Fは、これにより最終ラインの組み替えを余儀なくされたのである。

川崎F・相馬直樹監督の決断は、本来右サイドでプレーする田中裕介を左サイドバックに回し、ボランチでの先発が予定されていた田坂祐介を右サイドバックに。そしてベンチスタートの予定だった柴崎晃誠をボランチに入れて中村憲剛と組ませるというもの。相馬監督が「ケガで小宮山が外れましたので、その中で急遽、今季一度もやっていない形になると思います」と振り返るシステムは、この試合の大半の時間帯で機能する事となる。

川崎Fは、開始2分にリーグ戦で3試合ぶりの先発となった柴崎が強烈なミドルシュートを放って試合にダイナミズムを注入すると、前半7分には鋭いカウンターによってジュニーニョが左サイドから切り崩し、最後はファーサイドに走りこんだ小林悠が決定機を迎える。しかし、この2つの場面で川崎Fに立ちはだかったのが、C大阪のキム・ジンヒョンだった。その奮闘ぶりは、まるで前節のミスを取り返そうとするかのようにも見えた。

立ち上がりの時間帯は、前線からしっかりとしたプレスを掛けるC大阪の戦いぶりにアグレッシブさが満ちていた。前に出てきてくれていたという点で、川崎Fが付け入る隙があったという事も言えるのかもしれない。そして実際に2度の決定機を迎えていたがゆえに、川崎Fの選手たちに僅かな油断が芽生えていたのかもしれない。

川崎Fが大きなチャンスを外してからわずかに4分後。前半11分にC大阪はCKからあっさりと先制点を手にする。中後雅喜のキックを頭で合わせたのは、清武弘嗣だった。

1点を先行された川崎Fはしかし、追いつけそうな雰囲気を醸し出しながら試合をすすめる。ただ、その一方でパスミスの多さが気になる展開となっていた。縦に縦にとボールを運びたい気持ちもわかるのだが、それが時に難しいチャレンジになっており、ミスからターンオーバーされる場面が少なくなかった。急造の布陣ではあったが、それをうまく吸収していただけにもう少し丁寧に試合を組み立てても良かったようにも思えた。ただ、そう時間をかけるわけにも行かないという事情もあった。川崎Fは1点を失っており、C大阪は守備への意識を徐々に高く持ち始めていたからである。

今季だけの傾向ではないのだが、川崎Fはセットプレーから得点が奪えずに苦労してきた。新潟戦では12本。浦和戦でも8本のCKを奪いながら無得点。そうした状況だった事もあり、最近の川崎Fではセットプレー、特にCKから得点を奪おうと意識を高めてきていた。そんな36分に川崎FがCKを手にする。キッカーは試合開始時の田坂から中村へとスイッチされていた。しかし、小林をターゲットとしたボールはクリアされてカウンターへと移行。そのままキム・ボギョン、清武とつながれて最後は倉田秋に。これが決まり、C大阪が2点目を手にする。川崎Fにしてみれば目を覆いたくなるような試合展開となる。

この試合におけるセレッソのポイントは、移籍した乾貴士の穴をどう埋めるのかにあった。そういう点では、ミスがなければ勝てていたとも思える前節のメンバーからは、その乾が抜けて、清武が入っただけの変更である。

そうした観点でこの試合を見ると、清武の働きぶりは見事なものだった。時にボールを落ち着かせ、時に左右にボールを振り分け、時に、果敢に仕掛けた。特にセレッソにとって重要だったのが、ボールをためて時間を作るプレーだった。川崎Fの選手たちはうかつに飛び込めない事を理解し、彼に時間を与えるしかなく、パスコースは刻々と増えていくのである。

前半で2点差を付けられた川崎Fは、後半に入ってペースを上げていく。そんな、前にかかって来た川崎Fに対しC大阪は勝ちにこだわる戦いを展開。徐々に守備意識を強めていくのである。

そうした試合展開になったことについて上本大海は「相手の長所を消すには引いてスペースを消すしかない。前半は前にかかっていたんですが、相手のリズムでやられた時間帯もありました。2点入った後の試合展開は一番難しいので」と後半の守備的な戦いを解説する。

慣れない左サイドバックをこなしながら2点差を付けられ、そして自陣の深いところで守備を固めはじめたC大阪に対し、田中裕は諦めない気持ちを持ち続けていた。

田中裕は、「2点を取られてからでも最後まで戦わないとダメだと思っていました。等々力でサポーターの声援も聞こえていましたし」と語ると「どこかで(松田直樹氏が)見てくれているという思いもありました」と付け加える。偉大な先輩である松田直樹氏の悲報を戦う気持ちへと切り替えていたのである。

そうした中で川崎Fの得点が生まれる。64分に中村からのクロスを田坂が合わせたこぼれ球を、登里がねじ込むのである。勢いづく川崎Fではあったが、C大阪は集中を切らすことがなかった。あと1点を狙う川崎Fの攻撃は、あと一歩のところにまで持ち込まれるが、その最後のところでC大阪の守備網に絡め取られてしまう。

そんな終盤の戦いについて上本は、C大阪が直面する現実的な問題を理由に説明する。上本は、C大阪が降格圏に近づいているという事実を真正面から見据え「今日は勝つことが大事だった。死に物狂いでやろうとして、やった」と述べる。そう言われると確かにC大阪の後半の戦いぶりに華麗さは微塵もなかった。しかし、川崎Fがタイトルを目指すのと同じように、彼らもなりふり構っていられないという緊張感の中で戦っていたのである。

4分間だったアディショナルタイムが、C大阪の選手のケガの治療により6分へと増やされ、その間にも川崎Fは猛攻を見せる。しかし、川崎Fはその1点を追いつくことができなかった。田中裕によると左右を代えざるを得なかったポジションに「守備に関してはやりにくさはなかったですが、攻撃で思うようにやれないところはありました」という事情があるにはあったが、それにしても川崎Fは激しく攻め立て、C大阪は忍耐強く守り通した。その結果としての2−1というスコアは、改めて検証すると、やはり川崎Fの不用意さによって失った2点が全てだったのだろう。そうして手にした2点のマージンを、1点に縮められながら、C大阪がよく逃げきったと、そういうことも言えるのだろうと思う。

タイトルと、残留と、それぞれに違うモチベーションの中で戦った両チームの対決は、残留をかけたC大阪に軍配があげられる事となった。

以上


2011.08.07 Reported by 江藤高志
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