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【J1:第20節 浦和 vs 神戸】レポート:吉田孝行、魂の2ゴールを親友に捧げる。試合そのものは両チームの問題が浮き彫りになる内容だった。(11.08.07)

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8月6日(土) 2011 J1リーグ戦 第20節
浦和 2 - 3 神戸 (19:04/埼玉/32,231人)
得点者:14' 吉田孝行(神戸)、19' 吉田孝行(神戸)、47' 田中達也(浦和)、77' マゾーラ(浦和)、90'+3 大久保嘉人(神戸)
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この日、誰よりもゴールを渇望していた男は、喪章を天に掲げながら指を3本突き上げた。3本の指が意味するのは「背番号3」。吉田孝行は故・松田直樹さんに捧げる2ゴールを決め、天国へと旅立った大親友を弔った。

「自分のゴールは勝手に体が動いていたので、たぶんマツが入れさせてくれたんだと思う。マツやったぞ、ありがとう、と考えていた。一緒に戦って、見てくれているという気持ちだった」

かつて横浜FMでチームメートだった2人は奇しくも同じ1977年3月14日生まれ。活動する舞台は変わっても毎年、シーズンオフには必ず顔を合わせる仲だった。「試合前から絶対に点を取ると思っていた」。今日は亡き友のために必ずゴールを決めると誓い、心の中でかわした戦友との約束を守ってみせた。

試合は後半アディショナルタイムのPKで神戸が3−2で競り勝つという接戦となり、結果だけを見ればどちらが勝っていてもおかしくなかったが、90分を通した内容を考えると、神戸の勝利は妥当と言っていいだろう。浦和は前半の内容がひどすぎた。「前半を見れば自分たちが勝つべきではないサッカーをしていたのは明らかだ」とペトロヴィッチ監督も怒り心頭だった。

浦和は最終ラインからつなごうとしたが、前からプレスをかけてくる神戸の守備に完全にはまってしまい、変な形でボールをロストをしてはピンチを招いた。特に最悪だったのは2失点目のシーン。平川忠亮とGK加藤順大のバックパスの連携ミスでボールを奪われるというお粗末な対応から決められてしまい、平川も「あれは絶対にやってはいけない」と猛省していた。

また、ペトロヴィッチ監督は「守備に関してはリーグの中でも失点が少ないので、整っていると思う」と語っていたが、この日は守備の出来も悪かった。裏を狙っているのがわかる神戸の攻め方に対し、DFラインは簡単に裏を取られていた。裏を取りやすくしようとセンターバックとセンターバックの間、またはセンターバックとサイドバックの間にポジションを取るFWに対してあまりに無警戒だった。マンツーマンで見るのが基本になっているという事情もあるが、みんな自分のマークに注意を取られ、DFの背中に入って死角から飛び出そうとする選手をまったくケアできていなかった。自分のマークする相手の動きにつられて危険なスペースを空けてしまうことも少なくなかった。絞ったり、スライドしたりして対応する術を持っていないことが弱点となり、試合中に修正することもできなかった。

ただ、DFラインだけに問題を押し付けることはできない。守備陣の対応に問題があったのは間違いないが、ボランチが前に出ていった状態でボールを失い、速攻を受けるというパターンが多かったので、DFラインが無防備に相手の攻撃にさらされていたという事情もある。

試合後、大久保嘉人が浦和の守備対応について「(スペースが)裏にもあったし、センターバックの前にもあった。取りにきてもあまり激しくないので簡単にキープできたし楽しかった。取りにきたら、バックパスでいなす楽しみもあった」と手厳しいコメントをしていたが、実際にその通りだったので反論できない。陣形が間延びしてしまい、DFラインの前にも裏にもスペースがある状況では、サンドバックにされるのも当然だ。この日は組織としての守備も破綻していた。

一方、攻撃面では、後半に入ってポテンシャルの高さを見せることができた。後半開始から投入された田中達也はドリブルで何度もチャンスを作り、開始早々に1点を奪って反撃ムードに火をつけた。同じく後半からの出場となったマゾーラも奮闘し、ゴールを決めた。そして、一際異彩を放っていたのが原口元気。数的不利などものともせずにドリブルで切り裂いていく姿は非常に頼もしく、「わかっていても止められない」という強烈な印象を与えていた。浦和は高い個の技量を生かした攻めでゴールに迫り、0−2の状況から2点を奪って同点に追いつくことができた。その底力は評価されてもいいはずだ。

ただ、神戸の試合運びに問題があったからこそ、浦和は盛り返すことができたという側面はある。神戸は2−0で前半を折り返したにもかかわらず、まるで0−0のような戦い方をしていた。追いつくためにギャンブル的な攻撃姿勢を取った浦和に対し、リードを生かした嫌らしい戦い方をすることなく同じ土俵で戦っていた。その結果、柏木陽介が「お互いカウンターになって」と言うような殴り合いのオープンな試合になり、浦和が2点を返すことができた。

神戸は前半に2点リードを奪った時点で試合運びを工夫していたら、もっと楽に戦えていたはずだ。しかし、前からプレスをかけるという姿勢や攻撃のパターンを変えなかった。その結果、前半は浦和を圧倒できたが、後半早々にガス欠を起こした。大久保が「最初から前からプレスをやって、90分はもたない。後半の5分過ぎからバテて点を取られているし、そのあたりのことをみんなもっと理解して試合をしてほしい」と指摘するのも当然だろう。甲府戦でも試合状況を考えずに戦って、3−0という余裕の流れから3−2まで持ち込まれていたが、この試合でも同じ轍を踏んでいた。

「勝っている時間帯の試合運びがチームに浸透してない。落ち着いてやれば問題なかった」。神戸・大久保はチームの問題点を厳しく言うだけあって、途中出場の彼がタメを効かせた組み立てを行うようになってから神戸は浦和に傾いていた流れを引き戻すことができるようになった。ただそれでも、すっかり慌ただしくなってしまった試合全体の流れを落ち着かせるのは難しかった。1人の力では限界がある。状況に応じた試合運びをチームとして身につけていく必要があるだろう。

以上



2011.08.07 Reported by 神谷正明
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