8月6日(土)J1 第20節 甲府 vs 広島(18:30KICK OFF/中銀スタ)
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「暑いですね」の次に「ヴァンフォーレ、上手く行きませんなぁ」が山梨の挨拶になりそうなここ数節。厳しいステージでの勝負だから負けることもあるのだが、選手が懸命だけれど個々の能力をチーム力に変えることが出来ずに戦って負けてしまうことが悔しい。1ドル=76円台になったり日経平均株価が1万円を切ったりと国の将来に不安なことが多いが、今年の12月に向けた甲府の未来に対する不安も解消できない。で、降格圏内やそれに近い場所にいるチームがやるのが外国籍選手の補強。甲府はダヴィと金珍圭(元韓国代表)を補強した。この補強は素晴らしく、2人とも確実な戦力になってくれそう。今シーズンの目玉…になるはずだったフジネイ(すでに帰国)がフィットしなかったことを帳消しにするほどの人材を獲得できた。
ただ、上手く行かないときの補強・補強という流れは、それがいい補強であってもどうも何かが心に引っかかる。補強も必要だろうが、今いる選手の能力を引き出したり育てたりしている側面もしっかりと見せて欲しい。それがあってこそみんなが共感し応援したくなるチームになるし、現場もイチガンになれるはず。「結果が全て」という考え方も理解できるけれど、それは「強いチーム」を作りたいクラブの考え方で、甲府は「強いだけのチーム」ではなく「地域に根ざしたクラブ」を作っている最中…のはず。「勝たないとお客さんを集められない」と思っているクラブは「強いチーム」を作ればいいが、甲府は「強いチーム」を作りながらも「勝てないときでも応援したくなるクラブ」という魅力は持ち続けたい。
新戦力のダヴィは十分に力があることが分かったし、金も今節で3試合目とチームメイトも能力や特徴を理解し始めている。今週は3バックを試してきたが、これはオプションとして今後に残すことになる可能性が高い。今節最大のポイントはJ1リーグ2位の失点の多さをどう改善するか。G大阪のように3点取られれば4点取るようなことは10試合に1回出来るかどうかなので、失点を減らすことなしに勝点3は望めない。ディフェンスラインとボランチの間のスペースで、相手に前を向かれてボールを持たれてミドルシュートでゴールを献上することが多かったが、今節こそ、このエリアをガッチリと守りたい。三浦俊也監督は「ボールの出所にプレッシャーが掛かっていないことが原因の一つ」と話すが、90分間それを前線の選手に求めることも難しい。ボールがゴールから遠ければディフェンスラインは思い切ってラインを上げるという判断をしてもいいかもしれない。
金とダニエルのセンターバックのコンビがどういうラインコントロールをするのかは注目点。そして、山本英臣と伊東輝悦が組むボランチの活動量と読みが守備でも舵を取ることになりそう。神戸戦では山本のボランチ起用がよかっただけに期待は出来る。問題は攻撃でのボールの配給。安全な配給になりすぎればハーフナー マイク、ダヴィ、パウリーニョらの攻撃陣を活かすチャンスが少なくなるし、ボランチからのボールを失うことが増えれば広島にカウンターのチャンスを与えることになりこのチャレンジは諸刃の剣。ここのサジ加減を山本、伊東のコンビがどうするかは期待してハラハラと見守るしかない。
広島は悪夢のような7月を過ごしてきたがペトロヴィッチ監督の右膝の状態もよくなり、ベンチ入り停止も明けて今節は思う存分指揮を取ることが出来る。今節は間に合わないが水本裕貴もヘッドギアをつけて練習に戻って来たといういいニュースもある。ペトロヴィッチ監督は今でも甲府は戦いにくい相手だと思ってくれているようなので、甲府はその通りの戦いを見せたいが、広島の佐藤寿人、李忠成、高萩洋次郎の攻撃的な3人は怖い怖い。甲府は金とダニエルのフィジカル兄弟がいるので簡単にはやられないと思うが、コンビ歴が浅いことがやや不安。ゲームを左右するのは攻守の切り替えの意識の高さになりそうな気がするが、前半からスイッチが入っても点が取れなかったり、失点して後半になってようやくスイッチが入ったりと不安定な甲府の戦いぶり次第ということになるかもしれない。今の甲府は相変わらずセットプレーからも点が取れないので対戦相手云々ではなく、主導権を取る時間をどれだけ長くするかが重要。いい補強をして戦力は充実しているのだからそれを活かすことが出来るかどうかだけ。降格エリアでウロウロしているような戦力ではない。これ以外に出来ることは試合前にFRISKを口に入れるくらいしか思いつかない。
以上
2011.08.05 Reported by 松尾潤
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