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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J1:第20節 川崎F vs C大阪】プレビュー:攻撃面の改善を意図してきた川崎FはC大阪の守備陣を崩せるのだろうか。得点も失点も多いチーム同士の対戦なだけに「見に来てくれる人を楽しませる」試合を期待したい。(11.08.06)

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8月6日(土)J1 第20節 川崎F vs C大阪(19:00KICK OFF/等々力チケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
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そこにいたのは、いつもの田中裕介だった。自らの車の隣に立ち「何か質問はありますか?」という表情で質問を待ってくれていた。本当に、いつもの田中裕介だった。

リーグ戦で連敗中の川崎Fは、このC大阪戦はどうしても落とせない試合になる。タイトルを目指しているチームにとって、これ以上の黒星はあり得ない。そう問いかけると、田中裕は「連敗しているという雰囲気でもない。やってるサッカーも悪くない。浦和戦はやりたいサッカーが出せていた。良い準備ができていると思います」と答えてくれた。実際のところ、浦和戦は敗れはしたが「ボールはしっかり持っていましたし、チャンスも作れていた」(田坂祐介)という試合だった。そういう意味で、浦和戦敗戦によるダメージは最小限にとどまっていた。

そんな川崎Fは、この1週間の時間を使い、浦和戦で出た問題の修正に取り組んできた。浦和戦後に、相馬直樹監督は敗戦の理由の一つとして「ゴール前の迫力の部分」を上げている。サイドを崩した際に、ゴール前に入る人数が少なかったのである。その点の修正を意図した練習が行われ、それについて田坂が「手応えはあります」と述べるなどの成果を出せていた。中村憲剛は攻撃面の改善について違った角度から考えている。「攻撃に関しては、ミスがなければ最後まで行ける。ただ、クロスを入れても人が足りていない。ただ、それなら地上戦に持ち込めばいい。裏をとったり、一人飛ばしたり、斜めに走ったり」と彼なりのアイディアを披露していた。体調不良により戦線を離脱していた中村ではあるが、この試合に向けていよいよ本格的な復帰が望めそうである。

そんな川崎Fと対戦するC大阪は、攻撃の柱の一人である乾貴士をドイツへと送り出したばかり。だからこそ残された選手たちは厳しい戦いになるとの下馬評を覆そうと、高いモチベーションで臨むはず。特に来週の日韓戦に向けてフル代表に招集されたキム ジンヒョンは、もちろん彼一人の責任ではないのだろうが、前節の鹿島戦で不用意な失点を繰り返してしまっており、その汚名を返上すべく気持ちを引き締めなおしている事だろう。そもそも、鹿島戦は旅立つ乾を勝利で送り出そうとしたが故のミスが続いたものだった。だからこそ、この試合での茂庭照幸を中心としたC大阪の守備ブロックを攻め崩すのは容易ではないだろう。

またC大阪は8月3日付のリリースでMFのファビオ ロペス選手の獲得をアナウンスしている。全くの未知数の選手なだけに、この試合に使われるのかはわからないが、ベンチ入りすることがあるのかどうかというところから、注目したいところだ。

乾はもちろん、5月の対戦で得点をマークしたピンパォンも既にクラブを去っており、そういう点ではC大阪にとって傷は深い。ただ、川崎Fがホームで敗れた昨季の11月の対戦で1得点している小松塁を起点とした攻撃陣は、重厚感を持っている。日韓それぞれのフル代表に招集された清武弘嗣とキム ボギョンを中心とした3枚のシャドーストライカーを止めるのは手が焼けるタスクとなるはずだ。

その3シャドーが絡む攻撃に関し、田中裕は「3シャドーを含めてSBが高い位置を取る。そこでいいところで上げさせないようにしたい」と話していた。そして気をつけるべき選手としてマルチネスの名前を上げていた。

終始落ち着いた口調で、そしていつものように、受け答えしてくれた田中裕は、昨日、会いに行ったばかりの松田直樹の死を受け止められずにいた。そこに寝ている松田が、松田ではないように感じていたという。ご家族の厚意により、ICUの内側で松田と対面した田中裕は、目の前の松田の姿を信じられない思いで眺めていたという。だからまだ、実感がわかないと話していた。
ただ、現実は非情である。彼が慕っていた松田という愛すべき選手は帰らぬ人となってしまった。だからこそ、その松田に教えられた思いを胸に戦いたいと話してくれた。
「ボクらができることは、見に来てくれる人を楽しませること。それを松田さんに教わりました。松田さん自身、『楽しもう』と常に口にしていました」と、田中裕は話してくれた。

あまりに早すぎる偉大な選手の死に際し、川崎Fの選手たちは沈痛な表情を浮かべることしかできなかった。松田は川崎Fに所属したことのない選手ではあるが、ライバルチームの選手として印象に残るプレーを数多く見せてくれていた。そうしたことを踏まえ、川崎Fの練習場には半旗が掲げられ、最大限の弔意が示されていた。サポーターはもちろん、会いたくても会えなかった、松田直樹を知る多くの選手の無念さを念頭に田中裕は「いい試合を見せたい」と決意を口にしていた。

Jリーグの事務局からは、この週末に行われる全てのJリーグの試合において、(1)半旗掲揚、(2)キックオフ前の黙とう、(3)選手・スタッフ(審判団含む)の喪章着用がアナウンスされた。

そこまでして送り出される選手だったという事を思うだけで、泣けてくる。勝っても負けても、たぶん涙が出てくるんだろうと思う。こんな気持で試合を迎えるのは初めてだ。

最後に。急逝された松田直樹選手を悼み、心より哀悼の意を表します。たくさんの思い出をありがとう。お疲れ様でした。

以上

2011.08.05 Reported by 江藤高志
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