8月6日(土)J1 第20節 浦和 vs 神戸(19:00KICK OFF/埼玉)
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夏場に来て、浦和が調子を上げてきている。ヤマザキナビスコカップを含めた公式戦5試合では4勝1分。今季はずっと連勝ができずに苦しんでいたが、現在は3連勝中(リーグ戦では2連勝)と勝ち星を重ねている。
苦しんだ時期と比べ、何かが大きく変わったわけではない。川崎F戦後、ペトロヴィッチ監督が「そんなに変わっていないというのが正直なところ」と語り、柏木陽介も好調の原因を「よくわからへん」と小首をかしげたように、ターニングポイントとなるような大きなきっかけがあったわけではない。
最近の好成績にはツキの要素も確かに絡んでいる。特に4勝のうち2勝を挙げた川崎Fとの2試合では、いずれも相手の方が優位に試合を進めていたなかで白星をつかむことができた。前節は3倍以上のシュートを打たれながらオウンゴールで勝利を収め、「最近はラッキーゴールで勝てているけど、それもサッカーだと思う」と山田直輝も苦笑していた。
しかし、運だけで勝てているわけでもない。気まぐれにやってくる幸運の女神の前髪をつかむ準備はできている。浦和の場合、それは守備の改善。ここ9試合で2失点以上喫した試合は1つもないのだ。永田充が「1点取れば勝てるという雰囲気になっている」と自信を見せるのも納得できる。
今はチーム全体の守備意識が非常に高い。攻撃の選手も労を惜しまずプレッシャーをかけにいくことで、守備陣がより安定した力を発揮することができている。マルシオ リシャルデスが「人生の中で今までにないほど、ものすごくディフェンスをしている」と話すほど前線の選手も守備に貢献している。
選手たちのフィジカルコンディションが良好なのも、好調を呼び込む要因となっている。ここ数年、浦和は夏場に崩れていたが、今年はスタミナ面で不安を感じる試合を見せていない。高橋峻希は「後半になっても足は止まらない」と頼もしいコメントを残している。
その背景には、ペトロヴィッチ監督のコンディショニング調整に関する的確なマネジメントがある。2002年のワールドカップで韓国代表のフィジカルコーチを務めたほか、オランダ代表やロシア代表などでも手腕を発揮したレイモンド・フェルハイエン氏から指導を受けたという方法で選手たちのコンディションを調整しているが、それが奏功している。名将ジョゼ・モウリーニョも取り入れていると言われる「ピリオダイゼーション」の実践者から教わった理論が、今の浦和を支えている。
ペトロヴィッチ監督は「サッカーの中の一部にすぎない。それだけで勝てるわけではない」と念を押しつつも、今年の浦和が夏場に強いところを見せていることについては「コンディションの問題」と矜持を覗かせる。
一方、対戦相手となる神戸は公式戦5試合で2勝3敗と黒星が先行。シーズン序盤は勝点をうまく稼いでいたが、最近の成績を見ると連敗をなんとか止めようと苦戦している状況だ。浦和戦には今季2度目の連勝をかけ、埼玉スタジアムに乗り込んでくる。
神戸はここ5試合で11得点とゴールを荒稼ぎしているが、主導権を握るためにアグレッシブに仕掛けていくチームではない。前節の甲府戦では4ゴールを挙げたが、攻撃的なサッカーをしていたわけではない。ボールを持ってある程度のプレッシャーを受けたら、可能性が低くても前線にボールを放り込み、いい形でセカンドボールを収めることができたら勝負に出るというのが基本的な手筋だった。
あまりリスクを負わず、前線に当ててみてチャンスになりそうだったらチャレンジしてみるというサッカーを見せる時間帯が多い。ボールを拾ったらサイドにつけて、アタッキングサードまで行けたらクロスを入れる。ポジションから外れて幅広く動き回ることもそれほど多くない。オーソドックスと言えばオーソドックスなスタイルで、リスクとリターンのバランスを考えた効率重視の戦い方をしているように見える。今の浦和に似ている部分もある。
攻撃の起点になることが多いのは中盤のボッティ。スペースがあるなかで前を向いてボールを持つと、精度の高いパスが出てくるため、浦和としてはフリーにしないことが大切になる。また、右サイドバックの石櫃洋祐が高い位置を取り、オーバーラップから好クロスを上げる形も攻撃パターンになっているので注意しなければいけない。最近の神戸の前線には高さがあまりなかったが、新加入のペ チョンソクは187cmと長身のため、出てくるようなら空中戦の警戒が必要になってくるかもしれない。
昨季、浦和は神戸に最終節で0−4の大敗を喫し、1年を締めくくるべきホームゲームで屈辱にまみれた。そして、今季開幕戦ではリベンジを誓って敵地に乗り込んだが、返り討ちにされた。現在、浦和は神戸にリーグ戦で4連敗中。調子のいい今こそ、これまでの大きな借りを返す時だ。
以上
2011.08.05 Reported by 神谷正明
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