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【J2:第3節 栃木 vs 鳥取】プレビュー:共に走り、共に汗をかき、共に闘い、共に喜び、共に県民の歌を歌う。サポーターが訴えた「共闘」。その思いを意気に感じて、グリスタで勝ち切りたい栃木。立ちはだかる鳥取のGKは、元栃木の小針。古巣相手に連敗阻止を狙う。(11.08.06)

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8月6日(土)J2 第3節 栃木 vs 鳥取(18:00KICK OFF/栃木グチケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
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数多の決定機を作られながらも前節の岡山戦はスコアレスドロー。運良く勝点1が転がり込んできた。栃木にとって今節の鳥取戦は、勝点1を勝点3に繋げなければいけない一戦。再三に渡る好守で岡山にゴールを割らせなかったGK武田博行は言う。
「サポーターも勝利が見たいはず。勝つことだけを、勝ち切ることだけを考えたい」
栃木は“J2ルーキー”に対し、6月19日の北九州戦以来遠ざかっているホームでの勝利を狙い、“負けていないが勝ち切れない”というレッテルを剥がす。

今週の栃木は、「我々が上手くならないといけない局面に特化してトレーニングした」(松田浩監督)。具体的に言えば、相手を押し込んだ状態からの崩し方。引いて守る岡山に対し、DFラインで相手FWと2対1の数的優位を作りながらポゼッションはできた。しかし、ブロックに穴を開ける作業は、前線の動き出しが乏しかったこと、安易なミスが続いたことでスムーズに運ばなかった。

鳥取も岡山同様、人数を割いてブロックを形成する。崩しきるのは容易ではないが、「崩さないと点は取れない。カウンターに枚数を掛けるのもひとつの手」とは杉本真。杉本は続ける。「ボールを保持している時にどこでワンタッチを入れて、スピードアップして仕掛けるのか。メリハリが付けば、チームとして分かりやすいし、相手は嫌だと思う」。間でボールを受ける動きに長ける、チーム随一の“レシーバー”は、ボールを受けるタイミング次第でスピーディかつ迫力のあるカウンターが可能だとも話した。サッカーの基本であるパス&ムーブを繰り返し、攻撃にダイナミズムを生み出すことで、得意の高速カウンターを撃ち込みたい。

ビルドアップから強固なブロックを突き破る方策を練りつつ、松田浩監督は選手に「ボールへ集中する」ことも強調した。クロスを上げる際、中の状況ばかりに気を取られ、ボールを最後まで見て蹴らないことが精度の低下を招いている、と指揮官は分析。その指摘を受けて「ちょっと蹴り方を変えた」サイドバックの宇佐美宏和は、考え方も変えた。
「今まではピンポイントで合わせようとしていた。今は『ここに走り込んでくれれば』というイメージで蹴っている」
合わせるポイントが点から面に変わったことで宇佐美のクロスの質は向上。紅白戦ではアシストを記録した。これまでは超人的なフィジカルを活かした守備が目を引いたが、今節は高精度のクロスからのお膳立てに期待が持てる。宇佐美のサイドアタックが、久しく遠ざかっている流れの中からのゴールを生んでくれるはずだ。

「若くてスピードがあり、左足のパンチ力もアイディアもある」
大久保裕樹が、そう評したのは鳥取のキーマンであるハメドだ。ピッチを自由自在に動き回り、独特のリズムから決定的なパスを出し、意表を突くシュートも打てる。ハメドにボールを収めてタメを作り、その間に2列目、3列目が追い越すのが鳥取の持ち味。「細かくプレスを掛けて、イライラさせる対応をしたい」(大久保)栃木に対して、鳥取は当然ながら攻撃のスイッチャーを潰されずに活かし切ることが勝利への近道となる。痒い所へ手が届く服部年宏、“ミスターガイナーレ” 実信憲明の両ボランチを中心に、磨きを掛けているパスワークを駆使して、ハメドにボールを届けたい。

攻撃のキーマンがハメドならば、守備のキーマンは一昨年まで栃木に在籍していたGK小針清允になる。トレードマークのドレッドヘアをなびかせ、飄々とシュートを防ぎ、昔の職場グリスタでも華麗に舞うつもりだ。古巣の前に立ちはだかることで連敗を阻止を目論む。

「共に勝利を」
木曜日のトレーニング。栃木SC宇都宮フィールドには勝利を渇望するサポーターのメッセージが掲出された。
共に走り、共に汗をかき、共に闘い、共に喜び、共に県民の歌を歌う。
共闘を訴えるサポーターの思いを意気に感じない選手などいないはずだ。序盤戦で勝星を積み重ねられたのは、J1昇格へチャレンジする気持ちが全面に押し出されていたからだ。その気持ちが薄れつつある今、リーグ戦の折り返し地点となる鳥取戦から再び、チャレンジャー精神を発揮してサポーターと共にJ1昇格へ挑みたい。共に長丁場のリーグ戦を駆け抜け、共に感動のフィナーレを迎えるために。

最後に、松本山雅FCをJ2へ上げる志半ばで、この世を去った偉大なフットボーラー松田直樹選手に謹んでご冥福をお祈りいたします。2月の宮崎。キャンプ中に栃木は松本と練習試合を行い、松田選手は松本の中心にいて、栃木が佐藤悠介選手(現栃木SCドリームアンバサダー)という本物のプロフェッショナルが加入し、劇的な変化を遂げてJ2へ辿り着いたように、松田選手が松本をJ2へ導くことを期待し、Jの舞台で取材できる日を楽しみにしていたので無念でなりません。早すぎます。

以上

2011.08.05 Reported by 大塚秀毅
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