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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第23節 東京V vs 大分】レポート:崩しのシーン、攻撃アイデアの豊富さ、チャンス数などで上回りながらも、東京Vはまたしても決定力に泣くことに。大分は意図的なパス回しで自分たちのスタイルを貫徹し、連勝。(11.08.01)

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7月31日(日) 2011 J2リーグ戦 第23節
東京V 1 - 2 大分 (18:03/味スタ/3,273人)
得点者:5' チェジョンハン(大分)、20' マラニョン(東京V)、74' 前田俊介(大分)
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互いに自分たちのスタイル追求に特化した、非常に見応えのある一戦だった。
敗れたとはいえ、東京Vも「内容的には悪くなかったと思う」(和田拓也)。だからこそ勝ちたかったし、「勝たなきゃいけなかった」(河野広貴)。

ゲームは序盤から動いた。「あの時間がキツかった」と、河野が表情をゆがめて振り返ったのは前半5分。東京Vは、3−4−3システムの大分に対し、河野が通常より中に入ることで森勇介、和田拓也の両サイドバックをなるべく高い位置に上げ、攻撃の突破口を開く狙いを持っていたが、予想以上にワイドに張っていた相手への対応に戸惑っていると、そのサイドから失点を喫する。ボランチの宮沢正史が左サイドでフリーとなっていたチェ ジョンハンへとパスを送ると、チェはそのまま勝負。中へ仕掛けながら森を交わすと、ぽっかりと空いたシュートコースに完璧な弾道の一撃を放った。「あの(高精度の)シュートを打たれたらしょうがない。打った瞬間、入ったとわかった。しまった!と思った」と、河野も決めた相手の上手さを誉めるしかなかった。

その後も、「けっこう張られて、そこを選手が少し中に絞り過ぎて、もっと早く圧力かけられるエリアからだいぶ下がったので、前半はカウンターしかなかなかなかった」と、川勝良一監督が会見で振り返った通りの展開が続いた。
だがそんな中、同20分に佐伯直哉が大分のCKのボールを拾ってインターセプト。その右を猛スピードで駆け上がった河野は佐伯からの正確なパスを自陣深くで受けると、「完全にシュートを狙っていました」と、迷わずゴール目がけて得意のドリブルで勝負を仕掛けた。大分・姜成浩も必死で止めに入ったが、「切り返したら相手が引っかかったので、交わしてそのまま中に送った」。利き足とは逆の右足だったため、「丁寧に」と気を使ったという完璧なボールに、詰めたマラニョンもしっかりと枠に収め、同点とした。
この、圧巻のドリブルを魅せた河野を、この試合の『COOL BALLER』としたいと思う。

序盤こそ、大分のテンポ良いパスワークや絶妙なタイミングでのサイドチェンジに振られる場面も散見されたが、追いついたのを機に徐々に東京Vも打開策を見出しはじめ、ゴール前のシーンが増えていった。
両者、攻守が素早く切り替わる中何度も決定機を作るスペクタクルな展開がその後も続いたが、お互いに決め切れず前半を終えた。

後半は戦況が一変し、東京Vが一方的に攻める展開となった。
前半は、どちらかといえば東京Vの右サイドでの攻防が多かったところを、今度は菊岡拓朗、和田、そして阿部拓馬の上手さとスピードを生かして左サイドからも仕掛ける形も増えていくと、後半18分、19分、24分と決めるべき決定的なシーンを連続して作ったが、大分GK清水圭介の好セーブも手伝い、ゴールネットを揺らすには至らなかった。

すると後半29分、恐らく大分の後半ファーストシュートだったであろう、東京Vが与えたFKから前田俊介が決勝ゴール。攻めていたのは圧倒的に東京Vだっただけに、やはりショックは大きかった。
終わってみれば、まさに「決めるべきところで決めないと」の典型とも言える形となってしまった。

崩しのシーン、決定的場面など、チャンスの数・形から見て「勝てた試合」との印象を受けなくもないが、「でも、結果は負けちゃっているので何とも言えない」と、佐伯。どのような善戦も、最終目的である『勝利』に至らなければ意味はないということだろう。
「うしろはきちんと守ってくれている。あとは僕たちが決めるか決めないかの問題」と、河野が自分を含めた攻撃陣の決定力を猛省すれば、「最後失点しないこと。“勝ちきる”ことを徹底しなければ」(和田)、「失点しなければ負けることは無い。特に2失点目はセットプレーからの失点だったけど、そのFKを与えてしまうファウルを犯すことが問題」と、守備陣は決定力以上に失点を深く悔やみ、それぞれ自分の立場から敗戦を受け止めていることは重要だろう。
「やっぱり、僕たちは相手どうこうじゃなくて、自分たちがちゃんとやれるかどうか次第なんだと思う」という河野の言葉に尽きるのではないだろうか。
次節もホームでのゲームが続く。“自分たち次第”をより厳しく追及し、京都戦では確実に結果を残したい。

勝った大分は、なかなか勝てずにいたアウェイでの勝点3を手に入れたことも含め、内容ともども思い通りの試合だったと言えるのだろう。この試合で7試合目となる3−4−3システムだが、「守備の時はどちらかというと5バック気味になるけどそれは問題ない。中盤も戻って9人ででも守ろう。逆に、攻める時はウイングバックも上がって5バックで攻めるぞ」という、“全員守備・全員攻撃”の田坂トリーニータスタイルは、確実にフィットしているようだ。その中で、「あくまで『つなぐ』にこだわる」と、田坂監督は強調した。
また、「東京Vを戸惑わせた両ワイドに張り付いた戦い方についても、「別に東京Vだからというわけではなく、あれが僕たちのスタイルで、どの相手に対しても変わらないです」と、宮沢は胸を張った。そして、「ロングパス1本じゃつまらない。パスをつなぐことを徹底したい」と、指揮官の標榜するサッカーへの全幅の信頼を口にしていた。
また1つ自信を重ねた大分は、上位進出へ向け、自分たちの新しいスタイルの追求し続けていく。

■この試合のCOOL BALLER:河野広貴(東京V)

以上

2011.08.01 Reported by 上岡真里江
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