7月23日(土)J1 第6節 仙台 vs 大宮(19:00KICK OFF/ユアスタ)
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共に最近5戦の戦績は、2分3敗と勝利無し。最後の勝利を果たした第17節終了時点に比べ、仙台は2位から8位、大宮も8位から12位と、順位もこの5試合で下がっていった。後半戦に差し掛かる今節にして今季初対決となるこのカードだが、ここで悪くなりつつある流れを断ちきりたいのは双方同じ。普段以上に、勝点3へと比重が置かれた一戦になりそうだ。
仙台は前節の鹿島戦、文字どおりの完敗を喫した。昨年以上に手堅さが加わり、撃ち合いとなった第11節磐田戦の3-3以外、1試合で2失点以上すら喫していなかったはずの仙台が、立ち上がりのCKでの失点を皮切りに次々とゴールを割られて、終わってみれば0-3の大敗となってしまった。だが、試合後に手倉森誠監督が「完敗を認めよう」と選手に伝えたという話の通り、反省点しか見当たらなかったような一戦ゆえに、チームは悔しさを通り越したというか、とにかくこの課題を乗り越えて次へ向かおうというモードになっている。
ロングボールによってDFラインが下げられ、中盤との間で開いたスペースを使われててしまった守備に関しては、試合終了直後から監督、選手共に、例えば中盤も引いてブロックを組み直し、こぼれ球を拾うのに専念する時間帯を作るなど、チーム全体でメリハリに欠けていたことを指摘するコメントが。一方で、崩しにかかったところでミスを繰り返し、チャンスを作れないどころか鹿島のカウンターの起点を生み出してしまっていた攻撃も、「鹿島はFWと(仙台の)センターバックで2対2になっていた時は、そこを長いボールで抜け目なく使ってきた。その経験を踏まえたい」と、大敗を喫させた相手の長所をも吸収して新たに戦って行こうとする姿を見せている。
今節の大宮は、鹿島よりはロングボールではなく中盤を経由した攻めを行ってくると思われる(詳細は後述)が、それでも前節にあぶり出された攻守の課題を踏まえ、今節のカギと筆者が考えるのが、前線の2トップ。21日の紅白戦では赤嶺真吾と中島裕希の2人が務めていたが、彼ら2人のユニットならば、相手に楽にロングボールを蹴らせない前線でのチェイシングも、長いボールを拾い、追いつき、フィニッシュまで持って行ける仕掛けも可能かと思われる。
この紅白戦では、Aチームがボールを奪った際、赤嶺がポストプレーで中盤に降りてくると、「(赤嶺)シンゴは前にいろ!」といった意図の指示が周囲の選手から飛ぶ場面が。「もちろん状況によって、そうしたプレー(ポスト)が求められることもあるし、自分がゴール前にいてもチームとして攻めがゴール前まで行けなければ意味は無い。けれど、最近の自分は、ゴール前で勝負する機会が少なくなっていた。これからは全員守備という統一された役割やマイボールへの意識は持ちつつ、リスクを負ってでもゴールに向かって行ければいいと思う」と赤嶺自身も語っている通り、前節の反省とメンバー変更によって、相手ゴールに向かう攻めの意識を体現することができるのかに注目したい。またもし、そうした姿で大宮守備を脅かすことができれば、今度は柳沢敦を絡めた相手守備の隙間を突いていくショートパスでの崩しも効果が復活するはずである。
攻めだけでなく守備においても、万が一大宮がロングボールを蹴ってきた際は前節の反省を活かす対応を試み、中盤から崩してきたら、序盤戦のチームを牽引した、角田誠と富田晋伍による中央でのボール奪取力を発揮すれば良い、というように、メリハリをもって仙台は臨み、勝点3へと繋げる戦いとしたい。
大宮は少し触れているように、今季は中盤の戦闘能力が劇的に向上した感がある。大分から獲得のU-22代表東慶悟が、右サイドからチャンスメークとフィニッシュに八面六腑の活躍を見せれば、中央では磐田から獲得の上田康太が、左右への散らしという昨年までの要素に加え、3列目からの飛び出しでも今季は脅威を発揮。藤本主税からのスルーパスを受けて相手DFライン裏へ一気に飛び出し、ニアのラファエルの足元へ折り返して同点弾をアシストした前節の動きは、環境の変化による上田の成長をさらに示すものと言えるだろう。
正直、ここ数節の大宮の未勝利は、彼らの責というより、前節の横浜FMでいえば飯倉大樹のように相手GKの神がかり的なセーブなど、相手守備陣の大当たりによってそうした結果になっているとも思えるほど、大宮の特に攻撃は凄みがある。また、彼らが中盤の能力を活かしたポゼッションサッカー「だけ」をやってくるかといえば、迎え撃つ側としてはそこにいささかの疑念が湧く。2トップとして定着したラファエルと李天秀は、縦に抜け出すスピードも強引なフィニッシュもあるため、ロングボール一本で攻めきる力も持ち合わせていると考えるべき。となると、やはり仙台としても様々な想定が必要だ。
そうした双方の戦い方も含め、勝点3への渇望は持ちつつも、序盤は相手の様子を探り探り、という展開も考えられる。前節の仙台、そしてG大阪と対戦した際の大宮がそうだったように、カウンターの対応に若干のもろさがあると思われる両チームならば、先制点を許すことで自分たちが「無理攻め」を強いられる流れは避けたいはずだからだ。さて、どうなるか。
■この試合注目のHOT BALLER:赤嶺真吾(仙台)
以上
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