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浦和は現在リーグ戦6試合負けなしと悪くない結果を残している。ただ、素直に喜ぶこともできない。確かに勝点はそれなりに積み上げているが、そのうち4試合は引き分けだ。これまでの全17試合で引き分けはリーグ最多の9試合。だいたい2試合に1回は引き分けている計算だ。負けはしないけど、勝ちもしない。そんな今ひとつ甲斐性のない姿を見せている。そろそろ稼げる力のあるところを示していきたい。
序盤に比べて負けることが少なくなってきているのは、失点が抑えられているからだ。前節の磐田戦では3試合ぶりに失点を喫してしまったが、それは終了間際のPKによるもので、流れのなかでチャンスは作らせなかった。前々節の川崎F戦では、逆に失点しなかったのが不思議なくらい決定機を作られたので、守備が安定しているとまでは言えないものの、つまらない失点は減ってきている。特にセットプレーで簡単にマークを外して痛い目を見る場面が少なくなってきているのはいい傾向だろう。
逆になかなか勝てないのは、しっかりした攻撃の形がまだまだ少ないから。原口元気が前を向いてドリブルを仕掛けた際の期待感は高く、「わかっていても止められない」という領域に入りつつあるのは頼もしいが、それ以外の手札が乏しい。そして困ったことに、原口は磐田戦で右足首をねん挫したため、甲府戦欠場の可能性が出ている。
引いて守るチームを簡単に料理できるチームは少ないが、浦和は相手に引かれると非常に苦しむチームだ。そして甲府は攻撃に枚数をかけず、後ろに人が余ることが多い。数的不利でも局面を突破でき、チーム最多6得点を決めている原口を欠くことになると、チャンスはなかなか作れないかもしれない。
ただ、甲府はG大阪戦を見る限り、三浦俊也監督の代名詞であるMF4×DF4の2ラインを敷くゾーンディフェンスを基本に戦っていたが、コンパクトにできずにバイタルエリアを含めてライン間がかなり空いていて、そこをG大阪に使われていた。これまでクリーンシート（無失点試合）が1試合しかないのは、その辺りの守備対応に原因があるのではないだろうか。浦和としても、そのおいしいスペースを使わない手はない。マルシオ リシャルデスや柏木陽介あたりがバイタルにスッと入ってボールに絡むことができれば、おもしろい攻撃が見られそうだ。
甲府戦ではセットプレーも狙い目になるかもしれない。甲府のGK荻晃太はG大阪戦でCKのボールに対し、目測を誤ることが何度かあった。遠藤保仁のキックだからこそエラーが起きたという可能性は否めないが、浦和では柏木が最近いいボールを蹴っている。鋭く曲がるボールを蹴ればチャンスは生まれるはずだ。
甲府はおそらくハーフナー マイク、パウリーニョの2トップにできるだけ早くボールを入れて攻撃を仕掛けてくるだろう。浦和としてはチーム総得点の6割強を稼いでいるFW2人をケアするのは当然だが、特にハーフナーには注意したい。あの高さは非常に脅威で、体勢不利な状況でも後ろから相手を抑え込んで強引に先手を取れる。「ハーフナーに合わせて高いボールを蹴ってくるので気をつけないといけない」とペトロビッチ監督も警戒している。
とりわけ、クロスの際にはいっそうの警戒が必要だ。DFとしてはボールと相手を同一視野で捉えにくくなり、抑えているつもりでも体格を生かして無理矢理ヘディングで合わせられる危険性が増える。実際、G大阪はそうやって失点している。スピラノビッチ、永田充の両センターバックはいつも以上に集中しないといけない。
浦和は勝点18で14位、甲府は勝点17で16位。どちらも下位に沈んでいる。ただ、10位にいる鹿島も勝点は19。J1順位の下半分は山形と福岡を除き、だんご状態になっている。浦和はこれまで甲府に7勝1分と相性はいい。ここで相手の苦手意識を克服させることはない。お得意様を確保しつつ、順位を上げていきたい。
■この試合注目のHOT BALLER：柏木陽介（浦和）
以上
2011.07.22 Reported by 神谷正明
