大分の青野浩志社長は、「残念ながら目標数値に届きませんでした」と悔しがったが、表情は厳しいものではなかった。「バックスタンドの３階席が埋まり、メインスタンドの２階は全部埋まった。ほぼ満杯のスタジアムをお客さんも選手も体感でき、ワンプレーごとに歓声があり一体感があった」と時折笑みを浮かべていた。
試合は「勝って（３万人プロジェクトを）完結したかった」（田坂和昭監督）が、相手が絶好調のＦ東京とあって引き分けに終わった。内容はマッチレポートに書いたので触れないが、強者を相手に弱者の戦法で決定的なワンチャンスを作ったし、内容の濃い試合であったと思っている。観客の皆さんがこの試合をどう感じ、リピーターとしてスタジアムに足を運ぶか、次節のホーム試合が楽しみだ。
話は変わって、以前このコーナーで、３万人の観客が来なかったときは『角刈り』にすると公約した広報の豊東和夫氏と運営事業部チームマネージャーの水島伸吾氏の、その後はというと。試合翌日の10日に、ある大分スタッフの親父さんが経営している理容院に行った。「駐車場に入り切れず帰ったお客さんが多くいたらしいです。懸念材料ではあったのですが、そこが解消できていれば３万人は…達成できていたのに…」と悔やむ水島氏の後ろで、小学校低学年以来となるバリカンが動き始めた。「この結果を真摯に受け止めています。お願いしますっ」と男気広報は何のためらいもなくバッサリ。そして、なぜかクラブハウス担当の湯崎中臣氏も「豊東さんが角刈りになると聞いて」と男気が伝染したらしく、３人仲良く『男気刈り』に。「今回は目標が達成できませんでしたが、プロジェクトの過程で多くの方と築けた関係を大事に幹を太くし、次につなげたいと思っています」と水島氏はスッキリとした表情で話してくれた。
そして男気広報からこんな手紙が。
「大分トリニータを愛する皆様へ
７・９のＦＣ東京戦では２万７５１９人のファンの皆様が会場へ足を運んでくれました。また、会場にどうしても来られなかったファンの皆様はテレビやラジオでも応援を頂き感謝しております。
おかげ様で選手も最後まで一生懸命戦ってくれました。本当に皆様の「力」が選手やスタッフの闘志に火をつけてくれました。またいつか、皆様と一緒にこのような素晴らしい一日が過ごせれば幸せでございます。
本当に“暑い”なか“熱い”応援をありがとうございました。
今後とも大分トリニータの監督、選手、スタッフをよろしくお願いします。
7.10 豊東和夫」
チームを心から愛する豊東氏の手紙は、サポーター、ファンへの感謝の気持ちあふれ、ところどころに涙でインクがにじんだ跡があった。
そして、追伸として
「今回のリベンジとして３万人プロジェクトをしたいと思います。
そして、３万人達成の暁には『祝 丸坊主』をしたいと思います。」
と、力強く書かれていた。どんなときもエールを送り続けるサポーターとクラブを愛するスタッフがいる限り、トリニータは「大分の誇り」であり続けると改めて思った。
以上
■次回のホーム試合予定
7月23日（土）J2 第22節 大分 vs 湘南（19:00KICK OFF/大銀ド）
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2011.07.14 Reported by 柚野真也
