7月13日(水) 2011 J1リーグ戦 第4節
柏 3 - 1 広島 (19:03/柏/7,887人)
得点者:7' 佐藤寿人(広島)、10' レアンドロドミンゲス(柏)、55' 北嶋秀朗(柏)、90'+3 工藤壮人(柏)
スカパー!再放送 Ch183 7/14(木)後05:00〜
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試合を圧倒した片方のチームが一方的な数のシュートを放つというのはよく見られるケースであるが、この対戦では柏が23本、広島が17本と、双方合わせて40本のシュートが飛び交い、試合を通じてゴール前の場面の多いスリリングな90分が繰り広げられた。
7分、広島は青山敏弘のフィードから、柏DF増嶋竜也とGK菅野孝憲との連係ミスを突き、抜け目なくこぼれ球に反応していた佐藤寿人が菅野よりも一瞬早くボールにコンタクトして先制点を奪う。だが、柏も10分にレアンドロ・ドミンゲスがゴール正面のフリーキックを直接決めてすぐさま同点とした。いきなり両者が点を奪い合った試合は、それから一気に攻撃色を強めていく。
柏と広島は戦術面の違いこそあれ、ともにJリーグ屈指の成熟度を誇る。李忠成とムジリに縦へのクサビのパスが入り、広島らしい連動した攻撃を展開すると、この2人を大谷秀和、栗澤僚一のダブルボランチが見るのか、それとも彼らの入るゾーンによってマークを他の選手に受け渡すのか、そこが曖昧だったために広島に起点を作られ、なおかつ佐藤が見せる見事な動き出しによって好機を生み出す。ただ、柏もレアンドロ・ドミンゲスのクリエイティブなプレーや北嶋秀朗のポストプレーを利用して広島の守備を引き剝がし、際どいシュートを何本も浴びせた。時間帯によって試合の流れが両チームの狭間で揺れ続けた前半となった。
ハーフタイムにネルシーニョ監督が、前半での曖昧なポジショニングについて修正を施す。「僕とクリさん(栗澤僚一)が広がるけど、しょうがないと割り切った」(大谷秀和)と、前半はフリーになることの多かったムジリ、李忠成には、柏のダブルボランチがマンマーク気味でケアに入る。これによって広島のボールの収まりどころを封じた柏は、後半は中盤でのボール奪取率が飛躍的に高まり、ピッチ全体をワイドに使いスペースを巧みに突く柏のスタイルを披露してゲームをコントロールした。
だが、さすがは広島である。従来、柏はボランチがサイドバックのフォローへ向かい、サイドで囲い込んでボールを奪い取る守備の形があるのだが、大谷と栗澤がムジリと李忠成のマークに付くことで、その守備の形には持ち込めない。したがって、サイドでは1対1の局面が出来上がる。前半よりは中央からの攻撃は減ったものの、ミキッチのドリブルや山岸智を使った外からの攻撃で打開策を見出すのであった。
その中で、勝敗の行方を分けた最大のポイントは「決められる時に決められなかった」(横内昭展コーチ)という点に尽きる。前半同様、後半も柏と広島はほぼ同数のチャンスを作り出した。55分、DFのクリアミスがあったにせよ、澤昌克とGK西川周作が交錯したこぼれ球を、DFのカバーリングの位置を見極めて北嶋が落ち着いてゴールへ流し込んだ柏が「決めるところで決めた」のなら、広島は65分の李忠成のダイビングヘッドや、82分、ムジリの折り返しを混戦の中、李忠成が放ったシュートシーンは間違いなく絶好の得点機会であって、そのチャンスを逸したことが横内コーチをはじめ、広島の選手たちが「決めるところで決められなかった」と悔やむ点だ。
さらに、チャンスに決め切れなかった部分のほか、もうひとつ気掛かりな点は森崎浩司が「なんでもないところから失点している」と振り返ったように守備面にも問題を抱えていると思われる。人数はいるが守備陣が見合ってしまう場面、あるいは攻撃時のリスク管理が行き届かず、柏のカウンターをまともに浴びる場面いうのが特に後半は目立っていた。
ただ、次節は森崎和幸が出場停止から復帰する。『右下肢蜂窩織炎、敗血症』を発症し、今節は不在だったペトロヴィッチ監督も福岡戦には戻れるという。指揮官と主軸・森崎和幸の復帰が、これらの問題を解決の方向へ導く可能性は十分にあるだろう。
また、柏はアディショナルタイムに工藤壮人がカウンターからトドメの1発を見舞って3−1とし、久々に連勝を飾った。北嶋の2点目の後、何度もチャンスがありながら、試合を決める3点目を早い時間帯に決められなかったのは柏にとって課題であり、決定力に関してはより精度を高めていく必要性がある。
それでも、90分間を通じて柏と広島が見せたアグレッシブな試合内容は、「ゴールを奪う」というサッカーの本質と魅力を改めて感じさせてくれるものだった。
以上
■この試合のHOT BALLER:北嶋秀朗(柏)
2011.07.14 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第4節 柏 vs 広島】レポート:両チーム合わせて40本のシュートが飛び交った攻撃的な一戦。90分間スリリングな攻防が繰り広げられた好ゲームは、決定力の差で柏に軍配(11.07.14)
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