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【J1:第4節 名古屋 vs 鹿島】レポート:必殺の飛び道具で名古屋が鹿島に逆転勝利。連続無敗記録を10に伸ばし、4位に浮上した王者は「いるべき場所」を射程圏内に収めた(11.07.14)

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7月13日(水) 2011 J1リーグ戦 第4節
名古屋 2 - 1 鹿島 (19:03/豊田ス/12,845人)
得点者:2' 大迫勇也(鹿島)、35' ケネディ(名古屋)、79' ブルザノビッチ(名古屋)
スカパー!再放送 Ch185 7/14(木)後03:00〜
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「らしい勝ち方だったんじゃない?」と田中マルクス闘莉王が胸を張り、興梠慎三は「1点取って1−0で守りきるというのが鹿島の強さだった。それが最近なくなってきている」と漏らした。この対照的なコメントが、この一戦の内容を端的に表している。「らしく」勝った名古屋と、「らしくない」戦いで負けた鹿島。「らしさ」とは「勝負強さ」である。先制し、支配したのは鹿島だったが、ここぞの“飛び道具”で逆転し、リードを守り抜いた名古屋が、勝負強く勝点3をつかんだ。

この試合、記者会見でも質問が飛んだように、名古屋のメンバーは予想を覆すラインアップだった。現在得点ランク2位の玉田圭司、前節で強烈な決勝弾を叩き込んだ中村直志、そして6月25日の浦和戦で負傷し、全治4週間と診断されながら驚異的な回復力で戦列に戻ってきた守護神・楢崎正剛がいずれもベンチスタート。代わりにスタメンとしてピッチに立ったのは、永井謙佑、磯村亮太、そして高木義成だった。これでも戦力が落ちず、なおかつ前述の3人を切り札にとっておける充実の布陣は、敵将オリヴェイラをして「トップレベルの選手を揃えている。代わりに誰が出ても同じようにできる」と言わしめるほど。ここまで9戦連続で無敗を続けてきている要因には、分厚い選手層が生む安定感もある。

対する鹿島も前節からスタメンを4人入れ替えて名古屋との一戦に備えてきた。興梠と並んでチームトップの3得点を挙げている田代有三に代えて大迫勇也をスタメンで起用。中盤でもフェリペ・ガブリエルと小笠原満男を、左サイドバックには新井場徹をチョイスしてきた。会見で多くを語らなかったオズワルド オリヴェイラ監督だったが、名古屋という強豪を相手にベテランのゲームコントロール能力を期待したのではないかと推察される。その決断は、試合開始早々から奏功し、結果を出した。

キックオフ直後の攻防の中、自陣でボールを奪った鹿島が得意のカウンターを発動する。興梠がボールを運び、ペナルティーエリア前で小笠原に預けると、小笠原はすぐさま右サイドに展開。野沢拓也のクロスを逆サイドのフェリペが頭で中央に折り返し、最後はフリーで待ち構えた大迫がヘディングでゴール左隅に叩き込んだ。開始わずか2分という速攻で、鹿島が先制。あっけにとられる名古屋の選手たちを尻目に、鹿島が一気に試合の主導権を握った。

しかし今の名古屋はここからが強い。前半の序盤こそばたついたが、闘莉王を中心とした守備陣が追加点を許さず、前線ではケネディが安定したポストプレーで攻撃の流れを作る。18分にはケネディがCKからチャンスを迎え、23分にはダニルソンが強烈なミドルシュートを放つなど徐々に攻勢に。
そして35分、この日最初の“飛び道具”が発動した。小川佳純の左からのCKをケネディがニアで合わせ、ゴールに流し込んだ。18分の形とまったく同じ形でのシュートは、わかっていても止められない高さから放たれた。「あれが相手のやり方なんでね」と鹿島の本山雅志も諦めるしかない、独自の“型”で名古屋は前半の内に同点に追いついてみせた。

迎えた後半も鹿島が支配する展開は変わらなかったが、その状況を打破すべく動いたストイコビッチ監督の采配が勝負を決めた。後半開始から動きの鈍かった磯村に代え、中村を投入する。これで攻守にアグレッシブなムーブが加わった名古屋はシュートこそ少なかったが安定感はむしろ増すことに成功。相手の決定機も水際、あるいはその手前で食い止め、虎視眈々と反撃の機会をうかがった。17分には永井に代えて玉田を、25分には田中隼磨に代えてブルザノビッチをピッチに送り込み、小川を右サイドバックとする攻撃的布陣で猛プッシュをかけた。

そして2度目の“飛び道具”が試合を決める。左サイドからの攻撃で、一度はクロスを跳ね返された阿部翔平が再び鋭いクロスを中央に送ると、ケネディが胸で落として藤本淳吾が飛び込んだ。これはDFが弾いたが、こぼれ球をブルザノビッチが拾い、冷静に処理して豪快にゴールへ蹴りこんだ。守備に難があり、ここ数試合でも報道陣の評価がそれほど高くなかった男が見せた意地の一撃。これが決勝点となり、名古屋はストイコビッチ監督体制下で初めてホームで鹿島から勝利を収めた。

軽率なミスで先制点を奪われながら、粘り強く90分間で逆転し、その後の相手の猛攻をシャットアウトする。昨季のような勝負強さが戻ってきた名古屋だが、今回の試合の貢献度でいえばケネディの存在が非常に大きい。1得点1アシストという数字もさることながら、「早めに点が取れて、いい流れだったとは思うんですけど、やっぱりケネディに収まって、そこからやられる」と興梠が振り返ったように、流れを取り戻すための起点としての働きは出色だった。特に「押し込まれて、しのいで、前線にクリア」というプレーを、「押し込まれて、しのいで、ケネディでキープしてカウンター」という形に持っていけることは、反撃の質を高め、相手の波状攻撃を防ぐという一石二鳥の効果がある。今季序盤ではどこか覇気のないプレーを続けていた男の本領発揮で、名古屋は連続無敗記録を10試合に伸ばし、順位も4位とジャンプアップさせた。

名古屋の勢いは本物だ。優勝した昨季も夏に首位となり、そこから一度も順位を落とさずに栄冠を手にした。その流れはにわかにできつつある。「勝った相手より、勝っている流れを切りたくなかった」。勝負の機微を知る闘莉王は、この勝利の意味をそう語った。決勝点のブルザノビッチの言葉も頼もしい。「自分はなんとしても勝点3を獲るという気持ちでピッチに立ちました。我々は全員が絶対に勝つという気持ちを共有している。そしてこれから、いるべき場所へ戻りたいと思っています」。場所とはもちろん首位の座。この戦いを続けていければ、それは自ずと達成される。

以上

■この試合のHOT BALLER:ケネディ選手(名古屋)



2011.07.14 Reported by 今井雄一朗
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